![打倒ホンダの切り札 Z伝説の始動:[’69-]カワサキ Z1/Z2シリーズ【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2022/09/018-top.jpg?v=1662621300)
CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その雄姿をご覧いただこう。本記事では、現代にまでその血統が引き継がれる「Z」シリーズの始祖を取り上げる。 ※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
ホンダを完全に打ち負かすべし【カワサキ Z1 900 スーパー4】
ホンダCB750フォアは世界を驚かせた怪物だった。最も驚いたのはカワサキの技術陣だったろう。同社が水面下で開発していたN600は750ccのDOHC4気筒だったからだ。「ホンダを完全に打ち負かすには、さらに完璧を期すべし」と急遽開発方針を修正し、1000ccへの展開も考慮して900ccの排気量がZ1に与えられた。
このため発売は予定よりも遅れたが、’72年秋に米国や欧州で発売されるやいなや、爆発的な人気を得たのは言うまでもない。特にエンジンの耐久性については今もなお定評がある。これはすなわちチューニング素材としても最適なことを表す。各地のレースでも大いに猛威を振るい、先鞭をつけたのはホンダCBだったが、日本製4気筒車の優秀性は後発のZで強く決定づけられたとも言える。
外観も特筆に値する。4本マフラーはホンダも採用していたが、ティアドロップ型燃料タンクとテールカウルを備えた流麗なボディデザインは、明らかにその後の潮流を変えた。高性能と高い信頼性、多くが格好良いと認めるデザイン。この三拍子を揃えたモデルを30年以上前に実現したことが、偉大な名車として賞賛される所以だ。現在につながるカワサキのイメージは、この空冷Zシリーズから構築されたといっても過言ではない。
また、この年代の中古車の中ではとりわけ人気が高く、例外的に市場が活性化している点も注目に値する。優れた製品は時を越えて人々に愛される。まさにZはその好例である。
【’73 KAWASAKI Z1 900 Super4】ショートピッチの燃料タンク形状とオレンジの塗色から「火の玉オレンジ」と呼ばれた人気のカラーリング。■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 903cc 82ps/8500rpm 7.5kg-m/7000rpm ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ※輸出モデル
T-103試作車(後のZ1)とCB750フォアの性能を比較。ここでは750ccだが、DOHCエンジンによりゼロヨン、最高速度ともにホンダを上回っていたことがわかる。このメモはZ1開発計画に関わった大槻幸雄氏のものと思われる。
メーターは速度計(左)と回転計(右)の2眼式。マイル表示の速度計は160mph=256km/hまで刻まれた。903ccの大排気量ながらレッドゾーンは8500rpmからとなり、DOHC面目躍如だ。
Z1 900 スーパー4の系譜
【’74 Z1[A]】2年目のZ1Aはキャブレターの設定を小変更。火の玉パターンからストライプ入りのグラフィックに替えた。エンジンは黒→銀仕上げに。
【’75 Z1B[B]】変更点は車体色やエンブレムのほか、Oリング式ドライブチェーンの採用など。それに伴ってドライブチェーンへの自動給油装置が撤去された。
【’76 Z900[A4]】吸排気系や外装、灯火類を変更してモデルチェンジ。3系統ヒューズも装備する。欧州向けは前輪をダブルディスク化。以降の北米向けはKZが車名に。
排気量が1000ccを超え、名称もZ1からZ1000へ
初期型からZ900A4までは小変更を繰り返し、’77年には排気量をアップさせたZ1000A1にフルモデルチェンジされた。4mmボアアップでリッターオーバー化して、エンジン内部も強化。リヤディスクも新採用され、欧州仕様はフロントにダブルディスクも装備した。
【’77 Z1000[A1]】903cc→1016ccにスケールアップ。排気騒音を低減し、マフラーは2本出しに変更。フレームも強化されたほか、後輪にもディスクブレーキが与えられた。
【’78 Z1000[A2]】フロントブレーキキャリパーをフォークの後ろ側に移設してステアリング周辺の慣性モーメントを低減。フロントブレーキのリザーバータンクを角型に変更。
国内に君臨したゼッツー【カワサキ Z2 750RS】
排気量自主規制により、903ccのZ1は国内販売できず、スケールダウンの746ccが用意された。これが750RS、型式名Z2である。
車体構成に関してはZ1とほぼ共通とされたものの、排気量はZ1の903cc(66×66mm)に対して746cc(64×58mm)とショートストローク化され、キャブレターもZ1とは異なる専用のVM26SCを備えて69psを公称。当時は逆輸入車も一般的ではなく、Z2は事実上の最速マシンに君臨し、大人気を得たのである。’76年からはZ750フォアとなり、FX登場後も併売された。
【’73 KAWASAKI Z2 750RS】■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 746cc 69ps/9000rpm 5.9kg-m/7500rpm ■230kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:41万8000円
Z2 750RSの系譜
【’74 Z2[A]】前期はグラフィックがオレンジの火の玉から黄色のタイガーストライプに。後期はストライプパターンが変更され茶と青の2色になった。
【’76 Z750FOUR】外装の意匠やメーター、電装系などを一新して装備を近代化している。Fダブルディスクや新型キャブレター、Oリング式ドライブチェーンも採用。
新世代 弾丸ザッパー登場
【’76 Z650[B1]】軽量スポーツの通称はザッパー。メタル支持の一体型クランクを採用したエンジンは、Z750FX-II以降、ゼファー750やZR-7に至るカワサキ738ccシリーズの基となった。
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