
●文/写真:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
’22年3月24日、警察庁から警視庁ならびに各道府県警察本部長宛てに、「地域の実情に応じた自動二輪車等に係る駐車環境の整備に向けた継続的な取組の推進について」という通達が出された。簡単に言うと、警察庁から各県の警察本部に対して、「地域の実情に応じた駐車環境の整備に取り組んでね」という内容だ。5年前にも「自動二輪車等に係る駐車環境の整備の推進について」という通達が出されており、3月末で有効期間が終わるため、再び発出されたものだ。今回はこの通達について考える。
通達を活用する動きを!
まず最初に、これだけは言っておきたい。こうした通達は過去に何度も出ている。そのたびに「バイクの路上駐車が可能になる」とか「取締り基準が緩和される」といった報道が出るのだが、それは間違い。これは警察庁から各県警への”協力お願い”に過ぎず、目標値もなければ達成期限もない。期待する相手を間違っている。
そもそも、警察(都道府県公安委員会)が駐車に関して所管するのは、規制の場所/区間/時間、そこにどのような道路標示や標識を設置するかということぐらいだ。通達でも、駐車規制の見直し推進にあたり、駐車規制の廃止、駐車方法の指定、時間制限駐車区間規制(パーキングチケット等)の実施検討、地方公共団体/道路管理者/民間事業者等と協議して駐車需要を把握し関係機関と連携する…、といった指示がなされているが、これを地域の警察が積極的にやることはない。というか、やれない。
道路管理者というのは、国道なら国、県道なら県、市道なら市といった地方公共団体等のことだが、歩道も含め、路上への駐車スペース設置に関する権限の多くはそうした自治体にある。商業施設に駐車場の設置を定める附置義務条例も、市町村が定めるものだ。警察は都道府県に置かれており、はなから縦割り行政なのだ。
二輪業界が目指している規制緩和のひとつに、駐車禁止区間の「二輪を除く」があるが、前回の通達時にも期待されながら、東京都内でも一向に増えていない。すべての市町村(東京なら区も)がバイク駐車の必要性を認識し、駐車場や駐車施設に関して協議の場を設けているわけではない。
通達まかせでは環境は改善しない
この通達は自治体など関係機関とやり取りする上では重要なツールとなる。警察を含めた地域行政に、サイレントマジョリティたるライダーの声をどう届けるのか。前通達時と同じく、自らが動かなければ何も変わらない。しかし役所や警察に要望する際などに活用すれば、必ずその効果を発揮できるはずだ。
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