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●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明)
一段とパワフルな走りに、欧州ビルダーのカスタムマシンを彷彿とさせるスタイリッシュさと懐かしいカラーを融合。スポーツ系ネオクラシックの雄=ヤマハXSR900がフルモデルチェンジを遂げ、大幅に魅力を増した[…]
MTより正統派スポーツのキャラクターは健在か
新型ヤマハXSR900は、’21でフルチェンジしたMT-09譲りの心臓+骨格を継承しつつ、数々の独自装備が与えられた。スイングアームはMT-09よりロングで、65mm長い軸間距離を実現。シートレールも高さを抑えた専用設計だ。
足まわりにはMT-09よりグレードの高いブレンボ製マスターシリンダーをフロントに奢る。フロントフォークはMT-09と同様にフル調整式ながら、ドリル加工を施した豪華なトップキャップで差別化。リヤサスペンションはMT-09のSTDより上級となるフルアジャスタブルの模様だ。
さらに、ステップはMT-09が鋳造アルミなのに対し、剛性が高い鍛造アルミ製を採用。MT-09と同様にポジション変更も可能だ。ヤンチャなMT-09に対し、XSRらしい正統派スポーツの走りが一段と磨かれているに違いない。
エンジン&メインフレーム
【888cc化した強心臓】水冷トリプルは現行MT-09譲りの最新版。3mmのストロークアップで排気量を845→888ccに拡大し、4ps&0.6kg-m増を実現している。エンジン高は抑えつつ、軽量化も果たした。電子制御スロットルは、セミ→フルライドバイワイヤとなり、6軸IMUを獲得。アシスト&スリッパークラッチは従来から継続する。※写真は欧州仕様
【シートレールは丸パイプの専用品】MT-09譲りのCFアルミダイキャストを用いた軽量なメインフレームに、独自の丸パイプ型アルミシートレールを組み合わせる。ヘッドパイプは従来型より30mm低く、旋回性が向上。シャーシの他の変更と組み合わせると、ステアリング軸まわりの慣性が従来より14%減少した。※写真は’21 MT-09
フロントまわり
左からXSR900/MT-09/MT-09SP。XSRはKYB製のφ41mmフルアジャスタブル倒立フォークを装備。ブレーキはラジアルマウントのモノブロックキャリパーにφ298mmディスクを組み合わせる。※新型XSR写真は欧州仕様
左からXSR900/MT-09/MT-09SP。MT-09SPのようなインナーフォークのDLCコートは非採用で、MT-09のSTDと同等品と思われるが、周縁にドリル加工を施したトップキャップは専用品だ。なお従来型XSR900はMT-09より硬めのサスペンション設定だったが、新型は今のところ特にアナウンスはない。
【豪華! ブレンボマスター獲得】左からXSR900/MT-09/MT-09SP。MTのフロントブレーキマスターシリンダーはラジアルポンプ式のニッシン製。従来型XSRは一般的な横押し式だった。新型XSRではブレンボ製ラジアルにグレードアップ。よりダイレクトでコントロール性に優れたタッチが期待できる。※新型XSR写真は欧州仕様
リヤまわり
【独自のロングリヤアームで直進性UP】上左/下左がXSR900、上右/下右がMT-09。XSRは直線安定性の向上を主眼に、旧型より55mm長いボックス型アルミアームを採用。MTよりロングで、軸間距離はMTから+65mmの1495mmとなった。前後で700g軽く、鍛造並みの強度を誇る独自の鋳造ホイールもMTを踏襲。※新型XSR写真は欧州仕様
【リヤサスペンションもグレードアップか!?】左からXSR900/MT-09/MT-09SP。資料によるとXSRのリンク式リヤショックはフルアジャスタブルの模様。MT-09のSTDはプリロード+伸側減衰力が調整可、MT-09SPは別体式タンク+アジャスター付きのオーリンズ製フル調整式で最も豪華だ。※新型XSR写真は欧州仕様
ライディングポジション
【ライディングポジション】左がXSR900、右がMT-09。従来型と同様、新型XSR900もMT-09よりやや前傾+リヤ乗りのライポジは健在だ。新型はボリューミーなタンクとストッパー付きのシートにより着座位置が大きく後ろ寄り。グリップ位置も若干低い。自由度が高いモタード風のMT-09、ロードスポーツ寄りのXSR900という棲み分けだ。※新型XSR写真は欧州仕様
電子制御
【コクピットは激変】左が新型XSR,右が旧型。円形の専用モノクロ反転液晶メーターから、現行MT-09譲りとなる3.5インチのフルカラーTFT液晶メーターに刷新。機械加工された専用トップブリッジとバーエンドミラーの組み合わせで、コクピットは大きくイメージチェンジした。電脳デバイスは’16年の初代以来、一挙に6年分進化。従来型は3パターンのパワーモード/2段階+オフのトラクションコントロール/ABSのみだったが充実のひと言だ。※新型XSR写真は欧州仕様
新型XSR900は従来型やMT-09のSTDでは非装備のクルーズコントロールを獲得。任意の速度を一定に保ち、ロングランでも疲れにくい。新型XSR900はツーリングも得意だろう。※写真は欧州仕様
クルコンほか電脳イッキ充実。 進化した電子制御はMT-09SP譲り
- 新型トラクションコントロール(3モード)
- コーナリングABS
- SCS(スライドコントロール)
- LIF(リフトコントロール)
- BC(ブレーキコントロール)
- D-MODE(走行モード4パターン)
- 上下対応クイックシフター
- クルーズコントロール
その他装備
XSR専用、美麗で剛性も高い鍛造ステップ+ペダル
写真上左右が新型XSR、下左が従来型XSR、下右がMT-09。鋳造アルミ製ステップの従来型やMT-09に対し、新型では鍛造アルミの新作ステップ+リヤブレーキペダルを投入。剛性が高い上に、質感にも優れる。ステップは上側に位置変更が可能。ヒールガードも専用デザインだ。※新型XSR写真は欧州仕様
まるでシングルシートカウル。もちろんタンデムもOKだ
写真上左右が新型XSR、下左が従来型XSR、下右がMT-09SP。’80年代WGPレーサー風を演出する重要アイテムがこの新作シート。従来型やMT-09とはまったく異なるシングルシートのような形状でストッパーの役目も兼ねる。車体色ブラックは赤ステッチで、表皮が黒×灰のツートーンだ。※新型XSR写真は欧州仕様
タンデムステップにまでデザインを入れ込む
写真上左右が新型XSR、下左が従来型XSR、下右がMT-09。スッキリしたテールまわりのラインを強調するため、目立ちにくい細身のタンデムステップを新開発。細部にまでデザインにこだわる姿勢が見え隠れする。※新型XSR写真は欧州仕様
主要諸元比較:新型XSRは軽量パワフルで安定志向
ベース車のMT-09、人気ネオクラのZ900RSと比較してみた。XSRはZより排気量が小さいものの、最高出力が8ps上回る。ただし発生回転数を見ると、Zは低中速、XSRはより高回転重視と言えそう。XSRの車重はMT-09比で+4kgとなるが、従来型より2kg軽量。Zと比べると22kgも軽い。一方で軸間距離はZの方がコンパクト。新XSRは従来比で55mmも増えている。
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ヤマハXSR900:概要 '22でユーロ5に対応するフルモデルチェンジ。排気量を845→888ccへと拡大し、フレームも新設計のツインスパーに置き換わった。電子制御まわりもフルライドバイワイヤー化で進[…]
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