多くのサンデーメカニックが「一度は体験してみたい」と思う作業のひとつが”溶接”。思い通りに鉄を繋げられれば、修理でもカスタムでも夢は広がる。溶接の世界では、動力電源と言われる200V仕様など、長いこと”電源がすべて”と言われてきたが、今や家庭用100Vの半自動溶接機の実力は驚くべきレベルまで向上している。小型溶接機のパイオニア・スズキッドの最新モデルで100V溶接機の実力をチェックしてみよう。
●文/まとめ:たぐちかつみ 栗田 晃 ●外部リンク:スター電器製造株式会社
“100V電源”溶接機でもここまで進化!! 安定性能で溶け込み充分の半自動ノンガス溶接機
DIYブームの威力は絶大だ。かつて”日曜大工”と呼ばれていた時代はお父さんの修理仕事のようなイメージだったが、呼び方をDIYと変えただけで間口がグッと広がり、”DIY女子”などというオシャレフレーズが定着したことでさらに人口が増加。それに伴い、道具や工具もプロだけでなくアマチュア向けの製品が続々登場している。
100V仕様の溶接機もそのひとつ。新型コロナ禍以前は、毎年夏休みの終盤・8月下旬に開催されてきたDIYホームセンターショーの実演ブースで、長蛇の列を作っていた溶接体験会。アルファベットのプレートを溶接して表札を作ったり、プラズマカッターで鉄板を切る体験は老若男女に大好評だった。そのブースを仕掛けていたのが、スター電器製造株式会社(SUZUKID)である。
工業系の溶接機といえば電源は交流200Vが常識で、100Vはいわゆるホビー用。経験豊富なプロやハイエンドアマチュアほどそうした認識が根強い中で、同社は’60年の創業以来100V電源での溶接技術にこだわり続けてきた。そして日本初の100V溶接機/100Vノンガス半自動溶接機/100Vエアープラズマ切断機の開発という実績で目標を具現化してきた。
そんなスズキッドの最新作が「アーキュリー80ノヴァ」。トリガーを握るだけでフラックス入りノンガスワイヤが連続的に送給される100V半自動機は、スズキッドには既に何機種も存在する。ではノヴァの特長は? といえば、ズバリ”薄板溶接”だ。
高性能インバータによって高い溶接品質を得られる直流溶接を実現した上で、溶接ワイヤ径と板厚を入力するだけで最適な溶接条件を自動的に設定するシナジー機能を搭載したことで、通常なら簡単に穴が開いてしまうような0.6mmの薄板が溶接できるという。
バイクや車の修理やカスタムで溶接機を活用したいと思っているサンデーメカニックにとって、亀裂が入った前後フェンダーの補修や、べっこり凹んだ燃料タンクの引っ張り出しや、サビで穴の開いた燃料タンクの補修などで1.0mm以下の鉄板が溶接できるというのは夢が広がる。
もちろん、設定次第で最大4.0mmの厚さまで溶接できるから、折れたフレームステーや穴の開いたマフラーを補修する際も十分な溶け込みを得られるはず。さらに溶接ワイヤー変更することでステンレスの溶接もできるというから驚きだ。
溶接実践では、簡単に使えて抜群の仕上がり!! という実力を体感できた。ナメてかかると強烈なカウンターパンチを食らう、恐るべき100V溶接機だ。
100Vバンドソーがコンターマシンに変身!!
さて、充実した溶接作業を楽しむためには、金属材料を正しくカットできる機器や溶接作業に集中できる自動遮光の溶接面も必要だろう。溶接作業の仕上がりを高めるには、精密な部品カットが必要不可欠。スズキッドのメタルバンドソーは、小型ながら精度良く材料をカットできる。別売りのコンターテーブルを取り付ければ、夢のコンターマシンとして利用することもできるのだ。
遮光溶接面も本格派
液晶式自動遮光溶接面のアイボーク180° デジタルは、自動遮光の微調整を容易に行うことができ、ワンタッチスイッチで通常視界へ戻る使い勝手の良さも嬉しい。家庭用電源でも、これほどまで充実した溶接作業を楽しめる時代になったのだ。
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