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これまでの流れを断ち切るような大幅刷新を受け、’21年型で新登場した新生モンスターが、日本のストリートに降臨。ドゥカティ伝統の“怪物”は、果たしてどれほどイメチェンを図ったのか? 『ヤングマシン』誌メインテスター・丸山浩氏試乗インプレッションの前に、マシンのディテールを写真で詳しく解説する。
●まとめ:田宮 徹 ●写真:長谷川 徹 ●外部リンク:ドゥカティジャパン
スタイリング&ライディングポジション
【’21 DUCATI MONSTER/+】■軸距1474 シート高775(各mm) 車重188kg(装備) ■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 937cc 111ps/9250rpm 9.5kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L ■キャスター24°/トレール93mm ブレーキF=φ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ245mmディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●色:赤 灰 黒 ●価格:149万5000円〜151万5000円(STD144万5000円〜146万5000円/受注生産) ※諸元/写真は+
マフラーは右側2本出しショートタイプ。エンジン下部に膨張室を配置してサイレンサーをコンパクトに設計し、エンド部のデザインに凝りながら上方に向けてある。純正装着されるタイヤはピレリ製ディアブロロッソIII。+仕様には、ヘッドライト上部のマイクロビキニカウルとパッセンジャーシートカバーが標準装備される。
【ライディングポジション】両足の裏が完全に接地。シート前方がここまで絞られたリッターバイクはそうない。やや前傾姿勢だが、以前のモンスターと比べたらかなりアップライト。それでいてフラットバーハンドルの雰囲気もある。[身長168cm/体重61kg]
エンジン
【821比で全域パワーアップ】先代821と比べて、エンジン単体重量は2.6kg削減。新設計のマグネシウム製シリンダーヘッドカバーを採用する。クラッチは油圧式で、レバー操作荷重は約20%減。最高出力は2馬力アップにとどまるが、低中回転域でのパワー&トルクが大幅に向上している。エンジンオイル交換サイクルは1万5000km指定だ。
フレーム&足まわり
【スーパーバイク系フレームにストリートエンジンを搭載】パニガーレV4シリーズの技術を応用した、超コンパクトなアルミ製フロントフレームを採用。エンジンを車体剛性メンバーとしてフル活用して、そこにフレームや機能部品を装着したような構成だ。一方でエンジンは、ハイパーモタード950にも使われるデスモドロミック テスタストレッタ11仕様。最高出力111馬力と、937ccとしては過激ではない。
シート下にはメインフレームがなく、ガラス繊維強化ポリマー製のサブフレームのみなので、シート前方をかなり絞ることができる。単体重量3.0kgで、先代821より4.5kgも軽いアルミ製フロントフレームがあまりにコンパクトなため、エンジンのリヤバンク部に樹脂製カバーを装着してライダーの膝を守る。
主要装備
【DRL&流れるウインカー採用】ヘッドライトは周囲がDRLで、中央の小さなプロジェクターがロー/ハイビーム用。前後ウインカーは、端から順に点灯して光が流れるように見えるシーケンシャルタイプが使われる。
【電子制御システムはハイグレード】高解像度の4.3インチTFTカラーディスプレイは、背景色などを昼夜で自動切り替え。ライディングモードはスポーツ/ツーリング/アーバンの3タイプで、完全にカスタマイズ可能だ。IMUを搭載し、ABSとトラクションコントロールとウイリーコントロールはコーナリングに対応した制御。スマートパワーモードも搭載する。
日本仕様は、ローシートとローサスキットを標準装備。STD比45mm減となる775mmのシート高だ。ただしSTDでも、シート前方部の幅を大きく絞ることで足着き性を高めてある。
モデル変遷:ストリートファイター系のパイオニア
初代は’93年に登場したモンスター900。翌年には日本専用モデルとして400も登場した。初めてフルモデルチェンジが施されたのは、’09年型としてモンスター696が登場した時。’14年型のモンスター1200でも、フレームから刷新される大幅変更を受けた。直前までのラインアップはモンスター1200シリーズと821シリーズの2本立てだったが、今回はそれらが統合された。
【’93 DUCATI MONSTER 900】
【’09 DUCATI MONSTER 696】
【’14 DUCATI MONSTER 1200】
【’21 DUCATI MONSTER/+】
低めにセットされた丸目のヘッドライトやバイソンの背中を思わせるバックライン、燃料タンクの“エグリ”などを歴代モデルから継承。
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