●文:沼尾宏明
ヤングマシンお家芸のスクープネタとして、何度も執拗に追いかけ回してきた次期ハヤブサの姿。3代目新型のお披露目に伴ってスズキが公開した開発ストーリー動画により明らかになった試作車「ターボ」は、我々が長い間追い求めてきた夢の1台でもあった。
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これがハヤブサに乗るぅ?! YMスクープ班の血圧急上昇
文字通りの“大物”だけに、ヤングマシン本誌スクープ班が全力で追いかけてきた次期ハヤブサ。YM本誌では’15年12月号から独自の”予想”を展開。「1500cc化」に始まり、「ターボ化」「やっぱり自然吸気で1400ccだ」「いやターボとの2本立てだ」「正常進化はするけど詳細不明」と変遷を辿った。
…結果的に的中は叶わなかったわけだが、我々が様々な仕様を予想してきたように、公式の開発ストーリー動画で数多くの試作車がテストされていた事実が判明。我々の迷走ぶりは、スズキの試行錯誤を正確に表していた…とも言えるのではなかろうか!?
開発ムービーの中でも驚いたのは、「ターボ隼」の存在だった。どの時期に試作されたのかは不明だが、YM本誌では’16年2月号でスズキ社内でのテスト情報をキャッチし、同4月号で特許を紹介した。当時の我々はテンション爆上がり。読者の反響も凄まじかった。
当時公開された特許は”電動アシストターボ”。単なるターボではなく、電動モーターでタービンの回転上昇をアシストする先進システムだ。唐突なターボラグを防ぐ上に、バッテリー+駆動用モーターで電動走行できるのも画期的。おまけにコンパクト設計で2輪用に最適だった。盛んに電動化が叫ばれる現在、”マイクロハイブリッド”として注目を集める手法でもある。
特許の図面は4気筒で、マシンの性格からしてハヤブサに最適。さらにDCTより速いセミオートマチック技術の特許も公開され、その導入にワクワクしたものだった。
ちなみに、同じ動画で明らかになった”6気筒”の存在までは、さすがのYM本誌もつかめず。採用は見送られたが、別の機会にぜひ市販化を!!
“ターボ隼”夢の根拠:電動アシスト式ターボ特許関連図面(’15年5月公開)
にしてもまさか6気筒ハヤブサまで作っていたとは…
もうひとつ驚いたのが”6気筒のハヤブサ”。これはさすがにYM本誌も初耳だった。今までスズキ製バイクで6気筒は存在せず、唯一思い当たるのがコンセプトモデルのストラトスフィア。’05年の東京モーターショーで展示され、180psを発生する水冷6気筒1100ccを搭載していた。この企画が継続中で、ハヤブサとしてテストすることになったのだろうか? もはやハヤブサとは別モノになりそうだが、市販されればインパクト抜群だったのは間違いない。
〈蛇足〉そして誰も信じなくなった…。YMスクープ団オオカミ少年記
次期ハヤブサの第1報を載せたのは『ヤングマシン』’15年12月号。従来型ベースで1380cc程度、または新設計で1500cc化と予想した。そして翌’16年2月号でターボ化の情報をキャッチし、大反響を呼んだ。当時は’17年秋頃の登場を予想したが、次期型は待てど暮らせど現れず、やがて”ターボ案消滅”との情報が舞い込む。結局YM本誌は「オオカミ少年」呼ばわりされ…。ハヤブサ関連のスクープは完敗にオワッタのでした。
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