世界最強のニンジャZX-25R計画を進めているトリックスター。これまでの解析によって明らかになったパワーアップへの糸口の数々を結集して、実証する新ステージに到達した。その一発目として、エンジンはノーマルのまま、吸気系/マフラー/サブコンピューターのポン付けチューンだけで、世界初の実測200km/hオーバーに挑む!
【テスター:(左から)丸山浩/鶴田竜二/山本剛大】実測200km/hアタックに挑むのは、ヤングマシンのメインテスターとしておなじみの丸山浩氏に加え、トリックスター代表の鶴田竜二氏、そしてアジア選手権AP250クラス初代チャンピオンの山本剛大氏という3人だ。
ノーマルより7psアップのフルチューン仕様で挑む
’20年末の某日。トリックスターとヤングマシン本誌取材班からなる特別チームが集ったのは、茨城県にある城里テストコース。最大45度のバンクと全長5500mで、300km/hチャレンジも行える国内最高峰のあのテストコースだ。
これまでの解析から公称45psの国内ニンジャZX-25Rと、50psを発揮するインドネシア仕様の間ではエンジン本体に違いはなく、(1)ラムエアダクトをはじめとする吸気まわり/(2)マフラー/(3)FI制御によりパワー差が生まれていることが判明していた。そこでトリックスターでは、最強計画第1弾としてこの3点のチューニングパーツを開発し、今回のテストに持ち込んだのだ。
テストマシンは仕様の異なる4台。1台目はフルノーマルのSTD。2台目はフルノーマルにカワサキ純正オプションのJMCA仕様アクラポヴィッチマフラーを組み込んだ車両。3台目にはJMCA仕様のトリックスター製イカヅチマフラー。そして本命となる4台目が、レーシング版イカヅチマフラーにスペシャルのラムエアダクト+エアフィルター、サブコンのラピッドバイクはFI燃調に加えて点火タイミングも制御、そしてファイナル変更まで施したフルチューン仕様だ。
シャーシダイナモ上での後輪実測出力では、フルノーマルが37.31psなのに対し、フルチューン仕様では44.52psと実に約7psもアップ。これら4台を比較することで、200km/hオーバーはもちろんのこと、今後のさらなるパワーアップ計画へとつなげるのが目的だ。
今回のテストに先立つ数日前に、フルチューン仕様は富士スピードウェイでメーター読みで202km/h、実測で195km/hをマークしたという。フルノーマルが実測180km/hほどだったので、エンジン本体に手を加えなくとも一気に15km/hも速くなったことになる。計算上では実測でも200km/hに届くはず。それでは計測開始だ!
[テスト1] フルノーマル車:実測200にはかなりの距離感あり
実測180.0km/h(後輪実測出力:37.31ps)
テスト車両はすべてクイックシフター付きのSEを使用し、まずはフルノーマル車両で素の実力をテスト。最高速は実測で180km/hでピーク域では1万8000rpmのレブリミッターが時折作動するといった具合。最後のひと伸びがもっと欲しく、最高速を引き出すにはまだまだパワーが足りていないのを実感させることに。
[テスト2] アクラポヴィッチJMCAマフラー装着車(カワサキコラボモデル):パワーは上がるも6速吹け切り
実測180.4km/h(後輪実測出力:39.27ps)
次にカワサキ純正オプションのアクラポヴィッチ製JMCAマフラー装着車両。マフラー以外はフルノーマルだ。最高速度域では終始レブリミッターに当たっており、確実にパワーは出ている。サウンドも迫力。最終結果こそフルノーマルと同等だが、これは最終減速比などの設定による限界か。公道用マフラーとしては間違いなく高性能な出来栄えだ。
[テスト3] トリックスターイカヅチJMCAマフラー装着車(最終減速比ロング仕様):+2ps&ファイナル改で記録更新
実測191.9km/h(後輪実測出力:41.24ps)
フルノーマルにJMCA仕様のイカヅチマフラーを装着。さらにスプロケットをノーマルのフロント14T&リヤ50Tからフロント15T&リヤ47Tに換えて最終減速比をロングに。その結果、メーター読みで201km/h&実測で191.9km/hと、これだけであっさりと10km/h以上のスピードアップを達成。公道用マフラーでの200km/hオーバーも夢ではなくなってきた。
[テスト4] テスト3+ラピッドバイクEVO装着:加速力は確実に向上
実測190.9km/h(後輪実測出力:未計測)
テスト3の車両をサブコンピューターのラピッドバイクEVOで燃調とスロットルバタフライ開度をセッティング。まだ設定を煮詰めている途上ということもあり、最高速に到達するまでは明らかに速いのだが、そこから上が伸びていかない。大きな壁が立ちふさがってしまった。
[テスト5] テスト4+純正ラムエアダクト加工:この改善は効果大!
実測195.0km/h(後輪実測出力:42.86ps)
壁を突破するべく、テスト4車両の純正ラムエアダクト開口部を拡大加工。すると一気に5km/hも最高速度がアップ。市販250クラスで唯一のラムエアによる恩恵は大きなものがあると実感するとともに、ここの部分のチューニングにもまだポテンシャルが隠されていることを確認。
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