●ライダー:渡辺学 ●写真:長谷川徹 ●まとめ:ゴーライド編集部(小川浩康)
’19年、フルモデルチェンジに匹敵するほどの改良を受けたヤマハYZ450F。そのエンジンとフレームをクロスカントリー向けに最適化したのが’21 YZ450FXだ。このYZ450FXを全日本クロスカントリー選手権チャンピオン・渡辺学選手がテスト&インプレッションした。『オフロードマシン ゴー・ライド』より紹介しよう。
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エンジン特性を幅広くセッティングでき、初めての「ヨンゴー」としても扱いやすい
ヤマハ製モトクロッサーのハイエンドモデル・YZ450Fが大幅な改良を受けてから1年。そのYZ450Fをベースに開発されたクロスカントリーレーサー「YZ450FX」も、大幅な進化を遂げて登場した。
エンジンは、開発リーダー・倉野由之氏が”プーリングパワー”と呼ぶ出力特性を実現するために、シリンダーヘッドを新設計。燃焼室をコンパクト化することで圧縮比を高め、吸排気系とフューエルインジェクション、点火マップもYZ450FX専用セッティングを施している。
フレームはYZ450Fと同一だが、エンジン懸架ブラケットに専用チューニングを施し、前後サスペンションも専用セッティングを採用。モトクロスよりも過酷な状況が舞台となるエンデューロ(クロスカントリーレース)での接地感やサスの作動性を大幅に向上している。
さらに、スマートフォンでエンジン特性を変更できる「パワーチューナー」の利便性を向上。標準設定されている各推奨マップを変更することで、各キャラクターが体感しやすくなり、さらに幅広い状況に合わせて選びやすくなっているのだ。
スマホアプリ「パワーチューナー」:推奨マップの得意領域が広がり、さらなる扱いやすさを実現
エンジン特性はスマホアプリ「パワーチューナー」でセッティング変更できる。その中にはデフォルト設定された”MAP1/2″、JNCCやモトクロスコース向けの”MX Power Feeling”、トルク重視の”Torquey”、CGCなどのハードエンデューロ向けの”Hard Terrain for MAP2″の推奨マップがあらかじめ設定されている。さらにアプリ側で細かいセッティング変更が可能で、エンジン特性の変化がより体感しやすくなったのが’21年型の変更点だ。
2種類のマップを車両側に保存し、クラッチレバー横のモードスイッチで切り替えることができる。レース状況に合わせたエンジン特性に変更することで、ライダーの負担を軽減してくれる。
YZ450FXの試乗は、スポーツランド菅生のモトクロスコースと、自然の地形を生かしたエンデューロコースの両方を走破して行なった。
「前後サスがよく動いて、ウッズや石からの衝撃もしっかり吸収してくれます。エンデューロマシンらしいスムーズなストローク感で硬さはないですね。加えて、アクセルを少し開けるだけでパワーがしっかり立ち上がってくるエンジン特性なので、マシンがクイックに反応してくれます。アクセル操作に対してマシンがダイレクトに前に出るので、乗った感じがすごく軽く感じられました」と、渡辺学選手。
「昨年までのモデルもアクセル操作に対して即座にパワーが立ち上がってきたのですが、テールスライドを誘発するような450らしい荒々しさもありました。でも21年型は、アクセルを少し開けるだけでリヤタイヤが路面をしっかりグリップするトラクション性を発揮するようになりました。このアクセル開け始めのパワー特性がマイルドになり、それでいてレスポンスの良さは損なわれていないので、扱いやすいんです。少ないアクセル開度でクイックなマシンコントロールができるようになり、長時間のレースでも疲れにくくなりました。
もちろんアクセルを開けるほどに怒涛の450パワーが発揮されますが、そこまで回さなくても必要十分以上のパワーがあるので、レースでスピード不足を感じることはないと思います。さらに、パワーチューナーでパワー特性をマイルドにもパワフルにも簡単にセッティングできるので、さまざまなレベルのライダーが扱いやすさを体感しやすくなりました。レース中にもボタンを押してエンジン特性を変更することもできて、状況に合わせた走破性も得られます。ある意味450らしくない乗りやすさを身に着けていて、ライダーを助けてくれるマシンに仕上がっているのが21年型YZ450FXの大きな特徴だと思います。初めての450としてもオススメできますよ」と、渡辺学選手は”乗りやすさ”に太鼓判を押した。
ヤマハYZ450FXディテール
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