長らく不動車となっていたホンダ ダックス。12Vエンジン用のモンキー系キャブレターを分解したところ、フロートチャンバー内の汚れがひどく、スロージェットは完全に詰まっている状態だった。走行中のエンジンストップ原因はこの汚れではないと思われるが、こうなると基本に忠実なメンテナンスが必要不可欠。というわけでモトメカニック編集部が出動だ!
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フロートチャンバーの汚れをまずは確認
エンジン始動を試みるときに一番の不安要素となるのが、キャブレター。キャブを分解洗浄する際には、その前に必ずガソリンタンク内部のコンディションやガソリンの状態を確認しておこう。タンク内に発生したサビや混入したゴミは、オーバーフローの直接的な原因になる。
汚れを発見した場合には、ガソリンをすべて抜き取りタンク内部を洗浄してからフレッシュなガソリンを入れよう。さらに燃料フィルターを追加装備するれば、ゴミの混入を避けることもできる。仮にタンク内部から腐り臭がする際には、現車の燃料タンクは使わず「点滴式メンテナンスタンク」を準備することをお勧めしたい。
このダックスは、純正でポリタンクのためタンク内サビの発生はなく、汚れの混入もなかった。しかし、燃料コックからキャプまでのチューブ内やキャブ内のガソリンが悪臭を放っていた。乗らなくなってから相当な月日が経過しているのだと思われるが、腐ったガソリンを流し出し、キャブを分解して内部をクリーンナップした。
インナーパーツやキャブボディの通路が詰まっていたので、今回はワイズギア製キャブレタークリーナー泡タイプを使用。通路各部に吹き付けてからしばらく放置し、その後、詰まった通路を専用のニードルツールで突っつき、通気させることに成功。ニードルツールを利用する際には、ジェットの通路サイズよりも細いニードルを使ってまずは通気させ、それからキャブクリーナーを吹き付け、汚れを溶かしながら正規サイズまで通路拡大させるのが良いだろう。
キャブレタークリーニング作業の流れ
スロージェットは一体固定式で外れなかったが、メインジェットは専用ドライバーで緩めることができた。マイナスのドライバー面が平面のキャブ専用ドライバーは使いやすい。
キャブボディにセットされているフロートチャンバーガスケットを外そうとしたが、固着して切れそうだったので無理に外さなかった。これはエンジン始動を優先したためだ。
パイロットスクリューを取り外すと、その奥にはスプリングや平ワッシャや小さなOリングがセットされていることが多いが、このキャブにはスプリングのみ入っていた。
パイロットスクリューとつながっているポート=穴は、バイロットジェット穴やベンチュリ内にある小さなパイロットポート、ベンチュリ入り口にあるエアーポートだが果たして?
穴という穴にワイズギア製のヤマルーブキャブレタークリーナー泡タイプを吹き付けてしばらく放置。さらに汚れがひどかったフロートチャンバー内もキャブクリーナー泡タイプで浸した。
取り外したキャブパーツ(メインジェットやパイロットスクリュー、ジェットニードルの針など)は小さなジッパー付きビニール袋に入れ、泡クリーナーで満たしてから閉じよう。
パイロットスクリュー部分からキャブキリーナー泡タイプを吹き付けてもパイロットジェット穴から泡が出なかったので詰まりと判断。一番細いニードルで穴を突っついてみた。
ニードルで突っつくときのお約束は、相手の穴が大きくても一番細いニードルで突っつき、徐々にニードルサイズを太くしていくこと。いきなり太いニードルで突いてはダメだ。
一番細いニードルで突っついたときに、ネバりながらも貫通する感触が指先に伝わってきた。再度キャブクリーナーを吹き付け、徐々に穴を広げ、最後にパーツクリーナーで洗浄した。
ノズル先端が細くなったニードルノズルに交換することで、エアーブローを確実に行うことができる。すべての穴が正しく通気しているか、パーツクリーナーやエアーブローで確認しよう。
メインジェットの穴も、ワニス化したガソリンのネバりで詰まっていた。小さなニードルを使って徐々に広げていくのが正解。太いニードルで無理に穴を拡大しないこと。
ボディ本体の各穴が正常に通気したら、分解洗浄したパーツをクリーナーで洗い流し、乾燥後に復元していく。パイロットスクリューは締め込み→1回転戻しから調整してみよう。
トップキャップを外すと抜けるスロットルバルブには針が組み込まれている。針を磨く際には、細かなボンスター(金属タワシ)を利用しても良い。磨き過ぎには要注意だ。
キャブレターの燃料チューブに透明チューブを使う際は、ガソリン用をチョイスしなくてはいけない。現車の透明チューブはカチカチに劣化していたので、ガソリン用ではない? 劣化したチューブは危険なので、新品のガソリン用チューブに交換した。
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