「マシン・オブ・ザ・イヤー(MOTY)」は、その年に発売されたバイクから人気ナンバー1を決める投票企画。1972年創刊のヤングマシンは翌1973年から日本カー・オブ・ザ・イヤーのバイク版としてこの企画をスタートし、今年で47回目を誇る伝統のイベントだ。現在も続いているプライズとしては日本最古となり、外国車も含めた無差別級の総合部門を最高峰としているのが特徴である。
2位に2倍近い大差でKATANAが総合部門の頂点!
今回からはWEB投票にのみとなったことにより、最終的な集計が出るまでは我々も結果を読みにくい。とはいえ、2位に大差をつけたカタナが頂点に立ったことに驚きはなく、初年度にして盤石の強さを見せた印象だ。トップ10圏内ではニンジャH2やハヤブサといったフラッグシップ勢が昨年までよりも後退し、X-ADVやナイケンが強さを見せるなど、読者の嗜好が少しずつ変化している様子も。また、ビッグバイク以外が2台もトップ10に食い込んだ昨年に対し、今年は再びビッグバイクオンリーになっているが、12位にクロスカブ、17位にPCX、18位にスーパーカブC125が入るなど、ホンダの原付二種が高く評価される流れはまだまだ続きそうだ。
カスタムコンセプトだったKATANA 3.0から追い続けてきた本誌にとって、初年度のカタナが戴冠したことは感慨深く、その存在感の強さから納得のいくものでもあった。ハンドルバーの位置は意見の分かれるところだが、乗ってみれば納得の扱いやすさ。またセパハンカスタムが盛り上がっていることから、素材としての評価も高いことがうかがえる。
続く2位には、’98年の初代と’17年のクロスプレーンで2度の戴冠を果たしているYZF-R1/Mが入賞。スーパースポーツでは唯一のトップ10入りとなり、他の直4にない個性とヤマハらしいデザインが支持されていることがわかる。
3位にはX-ADVが入賞するという意外な結果に。特にオンロードスポーツモデルの支持層が多いと思われてきたヤングマシン読者にも変化が訪れている。ナイケンは昨年と同じ4位。1999年の初登場と最多の戴冠を誇るハヤブサが5位に入った。
2019MOTY総合部門 1位:SUZUKI KATANA
名機と言われるGSX-R1000(K5)のエンジンを搭載したGSX-S1000をベースに、思い切ったカタナデザインが与えられたストリートスポーツ。ドライバビリティなどにも手が加えられ、より扱いやすくスポーティに仕上げられている。
2019MOTY総合部門 2位:YAMAHA YZF-R1/M
鈴鹿8耐で現行型の登場初年度から4連覇を達成。’19年は勝利を逃したものの、’20年モデルではモデルチェンジとともにリベンジを誓う。MotoGPマシンYZR-M1ゆずりのクロスプレーンクランクを採用し、上位モデルのMはオーリンズ製の電子制御サスを備える。
2019MOTY総合部門 3位:HONDA X-ADV
DCTを採用し、スクーターとアドベンチャーを融合したクロスオーバーモデルとして独自の世界観を実現。イタリアではTMAXを抜いてベストセラーとなり、日本でもコアなファンを獲得しているオートマチックスポーツだ。
2019MOTY総合部門 4位:YAMAHA NIKEN
’18年に初登場となった、ヤマハ3輪LMWのフラッグシップ。フロント2輪にはアッカーマンジオメトリーを採用し、自然で安心感のあるバンクフィーリングを実現。エンジンはMT-09ゆずりの3気筒を搭載する。
2019MOTY総合部門 5位:SUZUKI HAYABUSA
1999年にMOTY初戴冠。2004年~2011年には前人未到の7連覇を達成し、今なおトップ争いを続けるスズキのフラッグシップだ。197馬力に15.8kg-mという途方もないトルクを誇り、縦目2灯顔は今なおファンを惹きつけてやまない。
2019MOTY総合部門 6〜10位
・6位:KAWASAKI Z900RS/CAFE
・7位:KAWASAKI Ninja H2 CARBON
・8位:KAWASAKI Ninja ZX-14R
・9位:HONDA CB1300SF/SBシリーズ
・10位:HONDA CBR1000RRシリーズ
6位以下にはカワサキとホンダの人気車が続く。ネオクラ系ネイキッドとメガスポーツが並び、10位に現行CBR1000RR。ビッグバイクも多様化が進み、さまざまなスタイルを持ったバイクがランクインしてくるようになっている。2020年末のMOTYではCBR1000RR-RやニンジャZX-25R、ADV150といった注目車種がどのように絡んでくるのか、今から楽しみだ。
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