’07年にタイで創業し、現地では第3位の販売台数を誇るGPX。日本では4車種が販売されており、その中の最上位モデル・ジェントルマンレーサー200に試乗した。クラシカルなロケットカウルを身にまといながらも、倒立フォークにリンク式サス、ラジアルマウントキャリパーなど最新の足まわりを持つユニークな1台だ。
[◯]懐かしい負圧キャブレター。走りの質は悪くない
かつては最新、今ではクラシカルのアイコンとなっているロケットカウル。これをまとったモデル「GPX ジェントルマンレーサー 200」がタイから上陸した。エンジンは197ccの空冷シングルで、これをスチール製のシンプルなダイヤモンドフレームに搭載。ワイヤースポークホイールにバーエンドミラー、シングルシートカバーなど、外観はクラシカルな方向でまとめながら、倒立フォークにリンク式サス、ラジアルマウントキャリパーなど、足まわりは最新となっている点が実にユニークだ。
今どき珍しい負圧式キャブレターを採用したエンジンは、やや控えめの最高出力11.5psを公称。スロットルを大きく開ければ1万rpm付近まで回るが、その手前の8000rpm以下でポンポンとシフトアップしていった方が速度のノリがいい。特徴的なのはレスポンスで、右手を動かしてからエンジンが反応するまでにややタイムラグがある。FI(フューエルインジェクション)全盛の今となっては懐かしくもあり、かつてはこれが当たり前だったことを思い出した。もちろん、実用的には何ら問題はなく、この優しいレスポンスはマシンにとても合っている。
ハンドリングは、前後に17インチのホイールを履くこともあって現代的だ。かつての18/19インチ車のように安定成分が強すぎることはなく、視界で捉えた方向へ素直に切っ先を向ける。テスト車はほぼ新車で、走るほどに馴染んできたのか、前後のサスペンションは試乗終盤にはスムーズに動くようになり、ギャップの吸収性も向上。フレームのしなりはやや大きいものの、標準装備のピレリタイヤが十分なグリップ力を発揮してくれるので、峠道ではペースが遅いなりに楽しんでしまった。
なお、注目のフロントブレーキについての利きはそれなりで、過剰ではないことに安心した。レバーへの入力に対して発生する制動力は正比例しており、そういう意味では扱いやすいとも言える。なお、シングルピストンキャリパー採用のリヤブレーキは、街中や峠道で不満がないほどコントローラブル。ABSは採用されていないが、これならロック直前までうまく制御できるだろう。
[△]パワーアップすればもっと楽しめるはず
足まわりを含めシャーシにはまだ余裕があるので、エンジンがもう少しパワーアップすれば、スロットルのオンオフだけでピッチングを生み出せるようになり、峠道での走りがさらに楽しくなるはず。フロントブレーキはパッドを変えてみたい。
[こんな人におすすめ]質感の高さは日本車にも比肩。今後が楽しみだ
200ccで40万円という車両価格ながら、間近で見ても安っぽさは微塵もなく、よくぞここまで装備を盛り込んだなと感心することしきり。スモールパワーでどう速く走らせるか、それに応えてくれるだけの車体にも魅力を感じた。
●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 富樫秀明
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