以前、『ヤングマシン』本誌連載「タッチ&トライ」でハスクバーナのヴィットピレン401を紹介したが、今回はその兄貴分である701に試乗した。エンジンおよび車体はKTMの690デューク譲りで、60年以上前に登場したハスクバーナのシルバーピレンからインスピレーションを得た外装を身にまとう。果たしてその走りは?
●まとめ:大屋雄一 ●写真:富樫秀明 ●取材協力:ハスクバーナ・モーターサイクルズ・ジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[◯]ハリのあるレスポンス。これぞ戦うシングルだ
日本ではディスコンとなったKTMの690デュークをベースとする「ヴィットピレン701」は、60年以上前に登場したハスクバーナのシルバーピレンからインスピレーションを得た外装を身にまとう。WP製の前後ショックやブレンボ製のブレーキセットなど、基本構成は690デューク譲りだが、693ccの水冷シングルは圧縮比を上げるなどして最高出力を73→75psへ。また、アルミキャストホイールも専用の5本スポークデザインを採用するなど、単なる外装の変更だけにとどまっていないのだ。
まずはエンジンから。クランクマスの軽さを実感できるシャープな吹け上がりは690デューク譲りで、車体の軽さも手伝ってフロントの接地感が薄れるほど脱兎のごとく加速する。その一方で、単気筒でありながら低回転域で粘り強く、3000rpm付近からでもギクシャクせず立ち上がる。スロットルレスポンスは開閉の両方向とも非常にリニアで、高速道路などでの巡航中はやや過敏に感じるが、これがこのエンジンの個性でありネガではない。
続いてハンドリング。スペックを見ると軸距は690デュークよりも32mm短く、キャスター角は1・5度立てられており、このことから運動性や旋回性を高めたことがうかがえるヴィットピレン701。ギャップ通過時にやや落ち着きのなさを見せるが、単気筒ならではの倒し込みや切り返しの鋭さと、そこからの旋回力の高さに思わずメットの中でニヤリとしてしまう。以前試乗した弟分のヴィットピレン401は乗り方を試行錯誤したのだが、701はマシンの方からそれを教えてくれているようで、まさに対話が楽しめる。
ブレーキもいい。フロントキャリパーはラジアルマウントの対向4ピストンで、マスターシリンダーも含めてブレンボ製だ。車体が軽いのでシングルディスクでも絶対制動力に一切の不足がなく、下りの峠道で酷使してもタッチが変化しにくい。ボッシュ製のABSは反応が適切で、特に濡れた路面での信頼性が高い。ちなみにクラッチマスターはマグラ製で、こちらもコントロール性は良好だ。
[△]軽量&シンプルを優先。ゆえに積載性は難あり
タンデムシートが極端に狭く、荷かけフックもないので、積載性は純正アクセサリーの各種バッグに頼るのがベター。また、純ネイキッドなので風圧をダイレクトに受ける。以上の2点からも、ロングツーリング向きではないことは自明だろう。
[こんな人におすすめ]RCシリーズに690があったらこんな走りかも
ヴィットピレン401で久しぶりに手強さを感じたが、701にそうした雰囲気はなく、ベース車両をさらにピュアにした走りが気に入った。何よりスタイリングが素晴らしく、KTMと同じキスカ社のデザイン力にただただ圧倒される。
映像でも走りをチェック!
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