第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

KTM 690デュークをピュアにした走り

〈映像あり〉ハスクバーナ ヴィットピレン701試乗インプレッション【全ての対話がクリアで操る喜びにあふれる】

  • 2019/11/16
Husqvana Vitpilen 701

昨年10月号の「タッチ&トライ」で紹介したハスクバーナのヴィットピレン401(関連記事参照)。今回は、その兄貴分である701に試乗した。エンジンおよび車体はKTMの690デューク譲りで、60年以上前に登場したハスクバーナのシルバーピレンからインスピレーションを得た外装を身にまとう。果たしてその走りは?

(◯)ハリのあるレスポンス。これぞ戦うシングルだ

日本ではディスコンとなったKTMの690デュークをベースとするヴィットピレン701は、60年以上前に登場したハスクバーナのシルバーピレンからインスピレーションを得た外装を身にまとう。WP製の前後ショックやブレンボ製のブレーキセットなど、基本構成は690デューク譲りだが、693ccの水冷シングルは圧縮比を上げるなどして最高出力を73→75psへ。また、アルミキャストホイールも専用の5本スポークデザインを採用するなど、単なる外装の変更だけにとどまっていないのだ。

Husqvana Vitpilen 701

パウダーコートされたクロモリ鋼トレリスフレームやアルミスイングアームなど、基本となる構成パーツの多くを690デュークから譲り受けている。[【ハスクバーナ ヴィットピレン701】 主要諸元■全長ー 全幅ー 全高ー 軸距1434±15 シート高830(各mm) 車重157kg(燃料除く) ■水冷4スト単気筒OHC4バルブ 692.7cc 75ps/8500rpm 7.3kg -m/6750rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:135万5000円 ●色:銀]

Husqvana Vitpilen

【「ピレン」兄弟は全4機種】KTM の390デュークをベースとした401シリーズと同様に、701にもスクランブラースタイルのスヴァルトピレンがある。ホイールは401がワイヤースポーク、701が5本スポークのキャストだ。

まずはエンジンから。クランクマスの軽さを実感できるシャープな吹け上がりは690デューク譲りで、車体の軽さも手伝ってフロントの接地感が薄れるほど脱兎のごとく加速する。その一方で、単気筒でありながら低回転域で粘り強く、3000rpm付近からでもギクシャクせず立ち上がる。スロットルレスポンスは開閉の両方向とも非常にリニアで、高速道路などでの巡航中はやや過敏に感じるが、これがこのエンジンの個性でありネガではない。

Husqvana Vitpilen 701

’16年に登場した690デュークの水冷OHC4バルブ単気筒。ケーヒンの電スロ、スリッパークラッチなどを採用。

続いてハンドリング。スペックを見ると軸距は690デュークよりも32mm短く、キャスター角は1・5度立てられており、このことから運動性や旋回性を高めたことがうかがえるヴィットピレン701。ギャップ通過時にやや落ち着きのなさを見せるが、単気筒ならではの倒し込みや切り返しの鋭さと、そこからの旋回力の高さに思わずメットの中でニヤリとしてしまう。以前試乗した弟分のヴィットピレン401は乗り方を試行錯誤したのだが、701はマシンの方からそれを教えてくれているようで、まさに対話が楽しめる。

Husqvana Vitpilen 701

【シンプルを極めたコックピットが強烈に個性を主張】ハンドルバーが直に差し込まれたトップブリッジの右側にキーシリンダーをレイアウトする。個性的な円形のメーターは弟分の401と共通だ。

ブレーキもいい。フロントキャリパーはラジアルマウントの対向4ピストンで、マスターシリンダーも含めてブレンボ製だ。車体が軽いのでシングルディスクでも絶対制動力に一切の不足がなく、下りの峠道で酷使してもタッチが変化しにくい。ボッシュ製のABSは反応が適切で、特に濡れた路面での信頼性が高い。ちなみにクラッチマスターはマグラ製で、こちらもコントロール性は良好だ。

Husqvana Vitpilen 701

φ43mm倒立フォーク、リヤショックともWP 製で、ホイールトラベルは前後とも135mm。5本スポークのアルミキャストホイールを採用。

Husqvana Vitpilen 701

【丸型1灯ライトはモダンな雰囲気だ】外周にポジションランプをレイアウトしたLEDヘッドライト。中央の黒い帯にはハスクバーナのロゴあり。ウインカーもLED。

Husqvana Vitpilen701

【401とは異なるデザインだ】前後一体型のシートを採用する401に対し、701は別体式を採用。キーロックで外れるリヤシートにテールランプが装着されている。リヤウインカーはナンバー灯の横に配置。

Husqvana Vitpilen701

【イエローラインが前後を分断するスプリットデザイン】右真横から見るとイエローのラインがタンクからサイレンサーステーまでつながっているのが分かる。燃料タンク容量は690デュークの約14Lに対し、わずかに少ない12Lを公称。

(△)軽量&シンプルを優先。ゆえに積載性は難あり

タンデムシートが極端に狭く、荷かけフックもないので、積載性は純正アクセサリーの各種バッグに頼るのがベター。また、純ネイキッドなので風圧をダイレクトに受ける。以上の2点からも、ロングツーリング向きではないことは自明だろう。

Husqvana Vitpilen701

積載性が高いとは言えないが、オプションでシート&サイドバッグを用意。

(結論)こんな人におすすめ:RCシリーズに690があったらこんな走りかも

ヴィットピレン401で久しぶりに手強さを感じたが、701にそうした雰囲気はなく、ベース車両をさらにピュアにした走りが気に入った。何よりスタイリングが素晴らしく、KTMと同じキスカ社のデザイン力にただただ圧倒される。

●まとめ:大屋雄一 ●写真:富樫秀明
※取材協力:ハスクバーナ・モーターサイクルズ・ジャパン

※ヤングマシン2019年11月号掲載記事をベースに再構成

映像でも走りをチェック!

このバイクに関連する記事/リンク

※本記事の内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

大屋雄一

大屋雄一

記事一覧を見る

紙面版にて厳正なる新製品テストを担当するベテランジャーナリスト。