2019年10月23日の東京モーターショープレスデーと同日に、ドゥカティは“2020ドゥカティワールドプレミア”と称して3機種のニューモデルを発表。加えて各カテゴリーにバリエーションモデルを展開した。スクランブラーにはマット黒の新色のほか、近日登場を知らせるイラストが……。
スクランブラー800シリーズにエントリーモデル
ドゥカティ スクランブラーファミリーは、幅広いハンドルバーにシンプルな空冷エンジンとスリムな車体という構成で、環境やTPOを選ばない自由な乗り物として支持されている。今回発表されたのは、スクランブラー800シリーズのラインナップに加えられた「アイコンダーク」と呼ばれるエントリーモデル。丸形ミラーやマットブラックの燃料タンク&フロントフェンダーを特徴としており、カスタムベースとしても最適。従来のイエローやタンジェリンに比べ、価格が未発表ながらやや求めやすくなることも期待できそうだ。
スクランブラー800シリーズのラインナップはアイコンダークに加え、アイコン(ICON)、フルスロットル(FULL THROTTLE)、カフェレーサー(CAFE RACER)、そしてデザートスレッド(DESERT SLED)。すべてのドゥカティ スクランブラーのモデルは、ユーロ4同等のエンジン性能を維持しながらユーロ5規制に適合したエンジンを搭載している。
スクランブラーアイコン自体もモデルチェンジを果たしている。DRL(日本仕様には採用予定なし)は新しくなり、またLEDインジケーターライトも新採用。液量メーターのメニューを簡単にスクロールできるスイッチギアを備え、メーターパネルには燃料計も追加された。サスペンションのセットアップもリファインされたほか、油圧式クラッチを新たに採用したことで、クラッチレバーの操作が軽くなっている。クラッチレバーが調整式になった(ブレーキレバーは以前から調整式)ことも見逃せない。その他のラインナップは、従来型を踏襲している(ユーロ5エンジンは全車搭載)。
2種類のコンセプトスケッチをサラッと発表
ドゥカティワールドプレミアでは、スクランブラーアイコンダークの発表と同時に、スクリーンに大きなコンセプトスケッチが映し出された。それは2枚あり、1枚は「DESERT X(デザートX)」のロゴが控えめにあしらわれたラリースタイル。もう1枚は、前後17インチホイールにスリックタイヤという出で立ちのスーパーモタードスタイルだ。そう、ドゥカティワールドプレミアで発表されたモデルが全てではなかった。
ドゥカティにおける空冷エンジンの程よいスポーツモデルは、モンスターのエントリーモデルであるモンスター797のほかにはスクランブラーファミリーだけ。なかでも気軽で様々な遊びに応えてくれるスクランブラー(800)ファミリーは、オフロードスタイルのデザートスレッドや、その名の通りカフェレーサーなどをラインナップしている。新たに加わることになりそうな2車は、ミラノショーでコンセプトモデルまたは実車に近いものが出展される見込みだ。扱い切れるパワーに、空冷2バルブならではの鼓動感とカドのない吹け上がり。これらをラリースタイルやモタードスタイルに包んだら……楽しくないわけがない。
車名がラリーXになりそうなラリースタイルの1台は、ハイマウントかつコンパクトなアッパーカウルや角ばった燃料タンクが、かつてのカジバ・エレファントを彷彿とさせる。エレファントは、ドゥカティの空冷904ccのLツインを搭載したラリーマシンで、ドゥカティの親会社(1985年~1996年の間)だったカジバ(のちにMVアグスタブランドを引き継いで社名を変更)が製造・販売していたもの。パリダカールラリーに参戦していたこともあった。ネオクラシックとしてヘリテイジモデルに焦点を当てるスクランブラーファミリーにおいても、この手があったか! と笑顔になってしまいそうな1台だ。
もう1台のスーパーモタードスタイルは、ハイパーモタードほどスパルタンではないモデルで、アップライトなスポーツを楽しみたいライダーに向けたものだろう。こうしたネオクラスタイルにモタードの足まわりというのは、ありそうでなかった組み合わせだけに、新たなファンを生み出しそうだ。従来のアイコンやフルスロットルも、サーキット走行が無理なく楽しめるマシンだったことから、街乗りから走行会などにも連れ出せるファンバイクとして期待したい。
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