2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなバイクが走行を披露した。
世界初の画期的なメカニズムを採用
スポーツライクなオートバイ・ホークIII(ホーク3)が一段とグレードアップして登場した。その名も”スーパーホークIII(スーパーホーク3)”。スタイリングは大きな変更はされていないが、ブラックのエンジンやフロントフォークのボトムケース、オールアルミのコムスター、リヤ・コイルスプリングはゴールドで統一され、以前にも増して精悍なものとなっている。
メカニズム面での変更点は、400ccクラスでは世界初と言われる、マルチホール・トリプルディスクや、デュアルピストンキャリパーが採用され、ブレーキが一段と充実。さらにサスペンションも、フロントがセミエア式となりコーナリングの安定性や乗り心地も向上。タイヤもGL500/400と同じチューブレスタイヤになっている。
イディングポジション関係では不評であったシート高が790mmになり、ハンドルもCBXやCB750Fと同様のジュラルミン鍛造のセパレートハンドルが採用されている。さらに走りに徹したニューホークの誕生と言ったところか。 ※ヤングマシン1980年9月号より
【インプレ】4気筒モデルに対抗したスーパーツイン
ホンダの社内計測データによると、400ccクラスで後輪出力が最も大きいのは、強力なライバルたちではなくて、このスーパーホーク3であるらしい(最高速度173km/h、0→400m 13.7秒をマークする。どちらもホンダの社内データ)。その強力なエンジンで走るオートバイを止めるために、ホンダもついに多孔式ディスクプレートを採用した。そして、3枚のディスクプレートを、各キャリパーに2個づつ並んだピストンを持つ、3つのフローティングキャリパーでしめあげる。
イコライザーパイプで左右連結された、セミエア(エア圧、コイルスプリング併用)のフロントフォークはなかなか良い。荒れた舗装路面での追従性も良く、コーナリングに不安感もない。速いペースでかなり大きなギャップを通過したときにも、カタい突き上げはまず感じられなかった。ところが進歩したフロントフォークに対して、リヤのFVQダンパーは少々役不足のようで、大きなギャップを通ったさいに、ピョンとリヤを跳ね上げられることが何度かあった。
ライディングポジションは、軽い前傾スタイルをとらせるハンドルと、かなり思い切って後退したステップで巧みにまとめられている。低すぎないハンドルは街中の低速走行でも、決して軽いとは言えない車重を気にしなくてよい程度の高い位置にあるし、高速走行、コーナリングにもまずほど良い範囲にある。バックステップはコーナリング中にアウト側のステップに体重をかけやすいうまいところにある。コーナリング中の安定感はあいかわらず高水準だし、ブレーキも他車と比較して一応遜色のないものになった。加速感はやはり4気筒の比ではない。はたしてこのクラスに4気筒は必要だろうか? そう思うに充分なモデルだ。 ※ヤングマシン1980年10月号より
取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン