マシン・オブ・ザ・イヤー2018
~1100/1000 [SZ、SXZ、SD]~

蘇るカタナ伝説#3 初代1100が衝撃のデビュー【KATANA COMPLETE FILE 1980-2019】

スタイリングを最優先しつつも機能面では絶対に譲らない。それがカタナを開発するにあたってスズキが掲げたテーマだった。

世界に衝撃を与えた斬新なスタイリング:GSX1100SZ

カウリングの普及は徐々に始まっていたし、一部の欧州メーカーはレーサー然としたモデルと販売していたけれど、’80年代初頭以前のオートバイは、ほとんどが今で言うネイキッドだった。そういった状況を想像すれば、’81年秋から市販が始まったカタナが、いかに特異な存在だったかが理解できるだろう。もちろん開発時には、ターゲットデザインとスズキの間で、数限りない議論が行われている。

スズキ GSX1100SZ 1982

【SUZUKI GSX1100SZ 1982】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm 232kg(乾) Fタイヤ=3.50-V19/Rタイヤ=4.50-V17 ※輸出仕様車/奥に見えるのはGSX750S(後日紹介予定)。

初代SZのカタログは表紙と裏表紙を使って、シャープで流麗なスタイリングを強調。

GSX1100EをベースとするDOHC4バルブ空冷並列4気筒は、吸排気系やカムなどの見直しによって、最高出力が105→111psに向上。

φ37mmフロントフォークは、減速時の過剰なノーズダイブを抑制するANDFを装備。ブレーキディスクは前後ともφ275mmだ。

ステップは当時の基準ではかなり後退した位置に設定。リヤショックは工具を用いることなく、プリロードと伸び側減衰力を調整することが可能。

プロトタイプと比較すると、メーターの視認性は非常に良好になった。トップブリッジ下のセパハンは、’80 年代初頭の日本車としては画期的な装備。

750が加速しながら追ってきてもスロットルひとひねりでケリが付く(GSX1100SZ復刻インプレ)

国産モーターサイクルの没個性化が問われ出して、どれくらいの時間が経過しただろう。確かに、国産モーターサイクルは今までに例を見ないほど機械としての信頼性を高めてはきたが、それと同時に個性、というよりもそれぞれのモデルの存在感まで希薄になってしまったような気がする。そしてぼくらはもう、そんなモーターサイクルに辟易する以外にない。しかし、幸いにも最近になって新しい個性を持ったモデルがいくつか見られるようになった。刀は、そうしたモデルの中にあって、もっとも“存在感”に満ちたモデルだ。

そのTSCC16バルブエンジンの加速能力がどの程度のものか知りたければ、単純にスロットルを開いてやればよい。君が今スタートしたのなら、ローギヤにクラッチをミートした瞬間にすべての世界を置き去りにして、8秒後には160km/hで移動しているし、400m走ったころには200km/hをいくらか越えているかも知れない。

また、君が120km/h前後で高速道路を軽く流しているときに、バックミラーに追ってくる750を見付けたとしよう。君はシフトダウンする必要などまったくない。たとえ750がサードギヤで加速途上にあったとしても、君がやるべきことはただひとつだ。トップギヤのままスロットルを開いてやれば、その瞬間にあっさりケリが付いているし、750のライダーは自分の身の程知らずを痛感しているはずだ。

3枚のディスクブレーキは充分にコントロールしやすいし、すこぶるつきに強力だ。おそらく、国産モデル中のベスト1だろう。コーナーに対してブレーキングを始めた刀の姿勢はきわめて安定している。ANDFの効果も確かだろうが、スズキ製モーターサイクルとしては異質なほどカタい前後のサスペンションセッティングにもよるところが大きい。

コーナーへ入ってからの刀を安定させてやるためには、中途半端なスピードではなく、刀のスピードで走ってやる必要がある。生半可なスピードでコーナーに進入すると、重量とホイールベースに影響されてか、ライダーが考えているラインよりも大きなラインを描こうとする傾向が見られ、そのために余計なコントロールが必要になる。

刀にとって適切なスピードでコーナーに進入してやれば、まったくそんなことはない。コーナリングフォースが加わって前後のサスペンションが沈み込むべき量だけ沈み込むスピードになると、そこはもう完全に刀だけの新しい世界だ。このスピードになると、刀は、スロットルの微妙なコントロールだけで、正確に走るべきラインを選び、路面のギャップなどの外乱にはほとんど影響されないまま、十二分に速いスピードでコーナーを通り抜ける。また、刀のライディングポジションは、そうした走りにこそ向いている。

【SUZUKI GSX1100SZ 1982】

刀のデザインが見せ掛けだけではないのは、なにもライディングポジションに限ったことではない。ヘッドライトの上に備え付けられた、なんかの冗談かとも思えるほど小さなフェアリング‼  も高速域でライダーの上半身とヘルメットを十分以上に保護してくれる。

そのフェアリングの中の、スピード&タコのコンビネーションメーター、特に240km/hフルスケールのスピードメーターは率直に自らのパフォーマンスを表現している。ライダーが望むなら、スロットルを開いているだけで、何のハッタリも掛け値もなしに、そのスピードの世界へ導いてくれる。そして、無論日本国内では許される行為ではないし、遅過ぎる流れの高速道路上では現実的にも無理だとも思えるが、高速道路上の刀のもっとも自然なクルージングスピードは、170〜200km/hのあたりにあるようだ。

刀の性能について、誤って伝えてしまったかも知れない。しかし、刀の性能については刀自身が証言しているし、現在お金を 出して買えるもっとも優れたスーパーバイクであることに間違いはない。

レポート:W(’82年当時のヤングマシンに掲載)

 

幻のスポーク車はSPレース向けか?!:GSX1100SXZ

スズキ GSX1100SXZ 1982

【SUZUKI GSX1100SXZ 1982】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 最大出力/最大トルク/重量:NO DATA Fタイヤ=3.50-19/Rタイヤ=130/80-18 ※輸出仕様車

標準モデルとは異なる、実戦に即した機構を導入

’80年代初頭の一般的なプロダクションレースは、排気量が1000cc以下の車両で行われていたが、オーストラリアやニュージランド、南アフリカなどでは、1100ccが参戦できるレースも開催されていた。’82年にごく少数が販売されたスポークホイール仕様のSXZは、そういったレースを意識して開発された……と思えるモデルで、最高出力や最高速は公表されていないものの、実質的な速さやレースへの適応力はSZ以上だったようだ。

スズキ GSX1100SXZ 1982

SZのキャブレターが扱いやすさを重視した負圧式のBS34だったのに対して、SXZは1000用と共通ボディにして、パワーが引き出しやすい強制開閉式のVM32。

メーターの基本構成は他のカタナと共通。ただしSXZのタコメーターのレッドゾーンは、SZより500rpm 高い9500rpmに設定されていた。

SZのスイングアームが当時としては画期的なアルミ製だったのに対して、SXZは後輪のワイド化を考慮したスチール丸パイプ製を採用。

F:2.50×19/R:3.50×18というSXZのホイールサイズは、おそらく、当時のレース用ハイグリップタイヤを視野に入れた設定。。

なぜなら、SZのF:1.85×19/R:2.50×17では、選択肢はほとんど存在しなかったからだ。

 

排気量を縮小することで当時のレース規定に対応:GSX1000SZ

前段ではSXZを紹介しているが、カタナのレース用ホモロゲーションモデルと言ったら、一般的に有名なのはGSX1000Sだろう。当時のプロダクションレース規定に対応するべく、ボアの縮小で(72→69.4mm。ストロークは66mmのまま)排気量を998.6ccに設定したエンジンは、108psを発揮。欧州仕様のキャブレターはセッティング変更が容易に行えるVM32だが、北米仕様はBS34を採用していた。車体構成は1100と共通。

【SUZUKI GSX1000SZ 1982】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 108ps/8500rpm 9.31kg-m/6500rpm 232kg(乾)■Fタイヤ=3.50-19/Rタイヤ=4.50-17 ※輸出仕様車

2年目を迎えた1983年型のGSX1000Sは、兄貴分の1100と同様の仕様変更を実施。エンジンはブラック塗装、前後ホイールは6本スポークに変更された。ただ、プロダクションレースでの活躍が期待されたGSX1000Sだが、前任に当たるGS1000と比較すると、戦績はいまひとつだった。

「蘇るカタナ伝説」シリーズはこちら

 

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)

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