マシン・オブ・ザ・イヤー2018
ミラノで見つけたカスタムパーツたち

カーボンセラミックのフロントフォークは驚異的な軽さ

サスペンションは金属でできている。ふつうは。フロントフォークといえば正立タイプと倒立タイプがあり、アウターチューブはアルミ製でインナーチューブはスチール製というのが一般的だ。ところがミラノショーで見つけたセラカーボンレーシング社のフロントフォークは、どちらもセラミックカーボンでできているという。それも「一般人じゃ買えないMotoGP専用品」といったわけでもないらしい。

その軽さはまるで紙でできた筒

んん?? フロントフォークのインナーチューブが白い?? うっかりすると見過ごしそうな、というか見過ごしかけたところで二度見したのは、セラカーボンレーシングのフロントフォーク。どうやらアウターチューブはカーボンでできているようだけれど、インナーチューブの白さは正体不明だ。

近づいて話を聞いてみる前に、まずは記憶をたぐる。オーリンズのレーシングフォーク、それもMotoGPのワークスマシンだけが採用できるようなスペシャルサスペンションが一部カーボンのアウターチューブを採用しているのは、映像や写真では知っている。また、ミラノショーではガラスケースに入って陳列もされていたので、実物を見ることもできた。それは売るためというよりも「見てみたい!」という人のために展示してあった感じだけれど。カーボンフォークが一般的に買えるという話は聞いたことがないし、記者の凡庸な知識の範囲では、インナーチューブに至ってはスチール製またはアルミ製くらいしか実用化されていないはず……。

「なにでできているんですか?」と尋ねてみると案の定、アウターチューブはカーボンだという。そしてインナーチューブについては、パテントを取ったセラミックカーボンということで、詳細は教えてもらえなかったが、ようするにカーボンファイバーの軽さと強度、剛性を持ち、セラミックで耐候性の強化(カーボンはここが弱い)とフリクション低減を実現したということのようだ。

となれば、当然気になるのはその軽さだ。さっそく持たせてもらうと、まずアウターチューブでもかなりの軽さ。たとえるなら、しっかりした大きめのカレンダーを丸めて筒にした程度。その重量はアルミ製970gに対して、カーボン製は560gだそうだ。けれど知りたいのはインナーチューブ。満を持して持ち上げてみると……なんというか、サランラップの芯が長くなったくらいかなーという感じか、下手をするとそれよりも軽く感じるほど。インナーチューブはスチール製1000gに対してカーボン製250g。そりゃあ軽いわけで……。

左から、スチール製インナーチューブ、アルミ製アウターチューブ、カーボン製アウターチューブ、カーボン製インナーチューブ。

しかもこれ、すでに2017年のマン島TTでTT-ZEROクラス(電動バイククラス)に参戦した英国ノッティンガム大学のマシンに装着されたりもしている。その姿は[university of nottingham isle of man]でググれば見つけることができるはずだ。

こちらは実際の車両に取り付けられたもの。左はハーレーのフラットトラックマシンでSTDから2.5kgの軽量化を果たしているという。右は1199パニガーレがベースだけれど詳細は聞き漏らしました。すいません……。

5年前から開発して、2018年に販売開始

スイスにあるセラカーボンレーシング社は、まだできたばかりの新しい会社だというが、このカーボン製フロントフォークについては5年前から開発をはじめたのだという。現在のところは、STDのフロントフォークに対してアウターチューブまたはインナーチューブ、あるいはその両方をカーボン製チューブにリプレイスする方法を取っている。なので、ダンパーカートリッジはオーリンズ製でカーボンチューブ化、なんてことも可能なようだ。その他、KYB製やビチューボ製でも装着実績があるとのこと。

もうひとつ参考出品されていたのは、カーボン製のドリブンスプロケットだ。もともとセラカーボンレーシング社はセラミックコートを施したアルミスプロケットを販売していたようだが、セラカーボンを実現したことからカーボンスプロケットも実用化を目指しているとのこと。これもハンズオン展示だったので持たせてもらったが、しっかりめの段ボールでスプロケットの形に切り抜いて黒く塗ったらこんな感じかなという、なんとも狐につままれたような現実味のない軽さ。フロントフォークともども、たとえが貧弱で申し訳ないが、「紙だなぁ、これは」というくらいしか思いつかなかったのだ。

紙ではありません。が、不安になるほどにものすごく軽い。本当に大丈夫なの? 頑張れば手でも曲げられるんじゃないの? という感じ。じっさいはそんなことない硬さだったけど。

欧州メーカーは伝えたいことをストレートにカタチする

せっかくなので、ほかにも面白かった展示をいくつか。まずはアクラポヴィッチのマフラーだ。数々のファクトリーマシンに採用されていることでも知られるが、そのファクトリーマシンを後ろ向きに展示してマフラーを見せつけるかのよう。じっさい、かなりのインパクトで注目度も高かった。

全て後ろ向きという思い切りのよさ。右からアプリリア、ドゥカティ、ヤマハ、スズキ、KTMのMotoGPマシンたちだ。

お次はレオヴィンチ。様々なタイプのサイレンサーを用意しているということを、とてもわかりやすく伝えている。サイレンサーエンドがメッシュタイプになっているものもあり、流行に敏感なミラノっ子(だけじゃないけど)たちに熱い視線を送られていた。

多彩なサイレンサー群。これは選ぶのが楽しくなる。

MotoGPではレギュレーションで装着が義務づけられているメッシュ。本来の意味としては、超高速で巻き上げた砂利などの異物がエキゾーストパイプに入ってこないようにするためなんだとか。

ドゥカティのエンジンにはウチのマフラーでしょ! と言わんばかりのテルミニョーニ。ど真ん中にどーんとデスモセディチストラダーレ=V4エンジンを展示し、周囲の壁には大きく「イタリアンサウンド」と書いてある。これも主張が明確。たしかにBOTTを見に行ってテルミのレース管にシビレちゃった人は多い。と思う。

これを見たら、音を聞かなくても装着したくなってしまうような……。

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)

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