2018年9月17日、BMWが新型のR1250GSとR1250RTを正式発表した。2019年モデルはこれまでのシャーシや外観を踏襲しつつもエンジンが大きく進化。吸気側にShiftCam(シフトカム)テクノロジーによる可変バルブタイミング・リフト機構を装備しているのが特徴だ。
VTEC/VCエンジンとは異なる独自のシフトカム方式を採用
2019年モデルは11車種の新型が控えていると言われるBMW。その先陣を切って登場したのは同社のフラッグシップであるR1250GSと、同じ水平対向2気筒エンジンを搭載するG1250RTの2台。もちろんハイライトはエンジンの進化で、可変バルブタイミング・リフト機構を採用しているのが大きな特徴となる。高回転パワーと力強い低中速を両立するエンジン特性を実現するために古くから取り組まれてきているメカニズムで、最近では2017年モデルでスズキのGSX-R1000がバルブタイミング(開閉時期)を切り替えるレーシングVVTを採用して話題となったのは記憶に新しい。しかし、R1250GS/RTが採用したのはこれよりも機能を盛り込んだバルブリフト量(開く高さ)も可変させることができるタイプ。同様の機構としては、1989年のホンダの4輪、インテグラに搭載されたVTECや、1991年にスズキのバンディット400Vに搭載されたVCエンジンがあるが、R1250GS/RTは、独自の機構を採用しているのだ。
2019新型S1000RRにも可変バルブタイミング機構が?!
2019年モデルは11車種の新型が控えているというBMWの目玉は、新型S1000RRとなる可能性が高い。本誌では2017年10月号でS1000RRが2019年にフルモデルチェンジすることをスクープしているが、当時スパイショットに写されたコンパクトな車体以上に、BMWらしくエンジンにもこだわりが見られるであろうことも指摘した。それは、現場で響かせていた排気音がV4エンジンのようだったという情報から、ヤマハYZF-R1のようなクロスプレーンクランクシャフトを採用している可能性があるという内容だったが、最近になって逆回転クランクに可変バルブタイミング機構も採用している?! という情報も飛び込んできている。
そこにタイミングよくR1250GSのシフトカムテクノロジーが正式発表され、S1000RRの可変バルブタイミング機構採用についての確度が高まった言えるだろう。が、スーパースポーツのエンジンにシフトカムを搭載するスペースがあるか、S1000RRの14000rpmに至る高回転型エンジンにGSと同じメカが使えるかどうかなどの疑問も当然残されている。ただ、これらウワサのメカをフル搭載すれば直4テクノロジー全部盛りとも言え、10年ぶりの全面刷新となるS1000RRならやりかねないという予感が大。その答えは間もなく出る。
「ヤングマシン’18年11月号の見所!」記事はこちらへ。