ハイパワーマシンには切っても切り離せない問題がダウフォースの獲得。カワサキは2000年のZX-12Rから自社の航空宇宙カンパニーと共同でウイングの開発に取り組んできた。それが2017年型のH2Rで大幅な進化を遂げたというのが当コーナー1~2までの内容。そして、3回目の今回はダウンフォースを揚力に変えて空を飛ぶ企画だ。
逆発想! ウイングでバイクは飛ぶのか?!
2017年2月に神戸海洋博物館で、カワサキのモーターサイクルエンジンカンパニーと航空宇宙カンパニーが技術コラボして「空駆けるモーターサイクル」のコンセプトイメージを展示した。「航空宇宙カンパニーの技術協力によって手に入れたダウンフォースと空力性能。 逆に、航空機の離陸速度に達するNinja H2Rをもってすれば大空を駆けることは出来るのか?」という“夢”に、開発者が本気で挑むという企画展だ。
展示されたのは、H2-AIRというH2Rから発展させたプロジェクトで、単なるSFではなく岐阜の航空宇宙カンパニーが協力した真面目な内容なのだ。TYPE-1は「H2Rに翼をつけたら飛ぶんじゃない?」というのを具現化し、360km/hで離陸して50mほどの高さまで滑空して飛ぶための設計が施されている。TYPE-2はリアルなレシプロ飛行機にH2Rのエンジンを搭載したもの。最高速は500km/hで、上空1万mまで上昇する性能を発揮する。
機体を設計し、H2Rが空で500km/hを目指す?!
TYPE-1でバイクで空を飛ぶことができるのは分かった。しかし、浮いた瞬間に前に進む力がなくなってしまうのはバイクだから仕方がない。そこで、TYPE-2として、H2Rのエンジンを使ってプロペラを回して飛び続けられる飛行機が考案された。エアレースなどの機体からは設計のコンセプトを変えて、飛燕と同じ最高速を重視する機体が設計された。それにより最高速は500km/h、航続距離は約2000kmという性能が見込まれている。川崎重工業の前身は川崎航空機工業というだけあり、こういったコンセプトを現実のものとして設計できるのはカワサキならではだ。
2019H2R■全長2070 全幅850 全高1160 軸距1450 シート高830(各mm) 車重216kg(装備)■水冷並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 310 ㎰ /14000rpm 16.8 ㎏ -m/12500rpm ■燃料タンク容量17L■タイヤF=120/600R17 R=190/650R17 ※公道走行不可
取材協力:川崎重工業
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