航空宇宙カンパニーの技術を投入

H2Rの新作ウイングがデビルな件

9月5日から受注が始まったカワサキのNinjaH2R。2018年モデルは’17モデルから継続で、あまり知られていないのがウイングの改良。モトGPでも普及した(しすぎた?!)ようにハイパワースポーツバイクにはもはや必須の装備とも言えるが、ここにカワサキならではのテクノロジーがあることを紹介しよう。

10Rにつけようという案もあった?!

モトGPでウイリー抑止のために各社争って装着していたウイング。これが2016年限りで禁止となったのは記憶に新しい。一方、航空宇宙カンパニーを擁するカワサキが、進化型のウイングをH2Rに装着していることはあまり知られていない。モトGPに勝るとも劣らない310psを叩き出すH2Rは、2015年のデビュー時からアッパーとミドルにウイングを装着しており、後輪に働くトラクションコントロールだけでは、対処しきれないフロントのグリップや接地感を確保している。

画像は2016年型RC213V(上)とH2Rのウイングと断面図とダウンフォースの発生方向のイメージ(下)で、上から押さえつける形の213Vと翼の下に向かって引っ張る力が働くH2R。同じ下方向への力を発生させるのでも、H2Rタイプの方が空気抵抗が少ないと思われる。

モトGPでは、例えばRC213Vは空気を当てる板状のウイングを使用していた。この場合、ウイリーを抑えるのに効果を発揮するものの空気抵抗の上昇もかなりのものと推測される。要は、電子制御でウイリーを抑えるよりパワーで前に進む方を選択しているのだろう。一方、H2Rのウイングは翼断面によるダウンフォースを利用している。これは、飛行機の翼を上下逆さまにして取り付けているような形で、下に引っ張るダウンフォースを発生させているのだ。また、H2Rのアッパーウイングも当て板に見えるのは、ウイリーをした時でもダウンフォースを発生させ続けるために迎え角を取っているいるためだ。

’17~’18H2Rはさらに戦闘機の技術を投入!

と、ここまでは’15モデルからのH2Rと共通の話題。そして、’17~’18モデルで上側のウイングが進化を果たした。新型はストレークとドッグツースという戦闘機などに使われる技術を採用しており、写真を見ると形状がかなり異なっているのが分かる。効果は、ウイング先端のエッジから渦を発生させて翼にからみつかせるもので、’15モデルより大きな姿勢の変化にも対応し、安定してダウンフォース発生させるという。また、ライダーに当たる風も低減するのだ。バンク中の接地感やコーナー脱出の加速も向上するなど、エンジンの電子制御ではフォローしきれない効果を発揮することから「10Rにもつけよう」という案も実際にあったようだ。

写真は’15と’17のアッパーウイングの比較。形状と面積が明確に違っていることがわかる。ストレークとドッグツースが追加され、大きな姿勢変化にも対応して安定したダウンフォースを発生させることができる。同じ三次元の動きをするバイクには航空機の技術を生かすことができるのだ。

’17~’18H2Rのアッパーカウルウイングの渦をイメージした図。カワサキの場合、ウイングは航空宇宙カンパニーが設計しており、空気抵抗を低減しながらダウンフォースが得られる特別な効果を得ることができるという。

写真を見比べて頂ければ判る通り、H2Rの羽の特徴はまさに戦闘機そのものといえる。

【KAWASAKI NinjaH2R 2018年型】 2018年モデルは9月5日~11月30日が受注期間で価格は594万円。ちなみに’17モデル以降、6軸姿勢角センサー(メーターにバンク角表示)とリヤにオーリンズサスを装備する。クローズドコース専用だ。「Ninja H2R 取扱指定店」での取扱いで、指定店はカワサキモータースジャパン ホームページに公開。

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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