マシン・オブ・ザ・イヤー2018
航空宇宙カンパニーの技術を投入

H2Rの新作ウイングがデビルな件③

ハイパワーマシンには切っても切り離せない問題がダウフォースの獲得。カワサキは2000年のZX-12Rから自社の航空宇宙カンパニーと共同でウイングの開発に取り組んできた。それが2017年型のH2Rで大幅な進化を遂げたというのが当コーナー1~2までの内容。そして、3回目の今回はダウンフォースを揚力に変えて空を飛ぶ企画だ。

逆発想! ウイングでバイクは飛ぶのか?!

2017年2月に神戸海洋博物館で、カワサキのモーターサイクルエンジンカンパニーと航空宇宙カンパニーが技術コラボして「空駆けるモーターサイクル」のコンセプトイメージを展示した。「航空宇宙カンパニーの技術協力によって手に入れたダウンフォースと空力性能。 逆に、航空機の離陸速度に達するNinja H2Rをもってすれば大空を駆けることは出来るのか?」という“夢”に、開発者が本気で挑むという企画展だ。

展示されたのは、H2-AIRというH2Rから発展させたプロジェクトで、単なるSFではなく岐阜の航空宇宙カンパニーが協力した真面目な内容なのだ。TYPE-1は「H2Rに翼をつけたら飛ぶんじゃない?」というのを具現化し、360km/hで離陸して50mほどの高さまで滑空して飛ぶための設計が施されている。TYPE-2はリアルなレシプロ飛行機にH2Rのエンジンを搭載したもの。最高速は500km/hで、上空1万mまで上昇する性能を発揮する。

【KAWASAKI H2-AIR TYPE-1】スーパーチャージャーで310psの最高出力を発揮するH2Rに主翼と尾翼をセットした。主翼のスパンは1.7mで面積は0.55平方m。

TYPE-1は、360km/hまで達したときに翼の揚力で浮揚、48.3mまで上昇し約1km滑空するという計算だ。

機体を設計し、H2Rが空で500km/hを目指す?!

TYPE-1でバイクで空を飛ぶことができるのは分かった。しかし、浮いた瞬間に前に進む力がなくなってしまうのはバイクだから仕方がない。そこで、TYPE-2として、H2Rのエンジンを使ってプロペラを回して飛び続けられる飛行機が考案された。エアレースなどの機体からは設計のコンセプトを変えて、飛燕と同じ最高速を重視する機体が設計された。それにより最高速は500km/h、航続距離は約2000kmという性能が見込まれている。川崎重工業の前身は川崎航空機工業というだけあり、こういったコンセプトを現実のものとして設計できるのはカワサキならではだ。

【KAWASAKI H2-AIR TYPE-2】陸軍三式戦闘機「飛燕」に似た機体となったTYPE-2。H2Rのエンジンの限界を試す場所として空を選び、航空宇宙部門の協力で最適な機体を設計した。全長5.3m、全幅6.1m、全高2.1m、主翼面積5.5平方m。

機体の素材にはカーボンを使用し空虚重量は520kgを想定。スーパーチャージャーの吸入口は機体の左側にセットされるが、これは飛燕に倣ったもの。元々H2/Rも飛燕に倣って車体左側に吸気ダクトをセットしているのだ。

【KAWASAKI NinjaH2R 2019年型北米仕様 国内価格:未定】’19年型は自己修復するコーティング塗装=ハイリーデュラブルペイントとフロントブレーキキャリパーにブレンボStylemaを採用した。’17モデル以降、6軸姿勢角センサー(メーターにバンク角表示)とリヤにオーリンズサスを装備している。クローズドコース専用で’18型は594万円で発売された。

2019H2R■全長2070 全幅850 全高1160 軸距1450 シート高830(各mm) 車重216kg(装備)■水冷並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 310 ㎰ /14000rpm 16.8 ㎏ -m/12500rpm ■燃料タンク容量17L■タイヤF=120/600R17 R=190/650R17 ※公道走行不可

取材協力:川崎重工業
「H2Rの新作ウイングがデビルな件」記事はこちら
「H2Rの新作ウイングがデビルな件②」記事はこちら

いち

いち

記事一覧を見る

本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

マシン・オブ・ザ・イヤー2018