特許が公開され効果が明らかに

H2Rの新作ウイングがデビルな件②

2018年モデルが9月5日~11月30日まで受注受付け中のH2Rの新型ウイングを解説した前回の記事から2か月以上経過し、この件の特許が公開された。その中には新旧を測定した結果も掲載されており、その効果が明らかになった。

エアロの重要性は現在でも変わらない

モトGPで一躍注目を浴びたウイングが2016年限りで禁止となったが、空力でダウンフォースを稼ぐことの重要性は今でも変わらない。現在はカウルの中にウイングを内蔵したものやカウルの構造自体がダウンフォースを発生させるようになっているなど、各社が開発にしのぎを削っている。その中にあってH2Rは2017年モデルでウイングを進化させているが、特筆すべきは航空宇宙カンパニーとの共同開発による航空機技術の投入。4輪とは異なり3次元の動きをする2輪と航空機では応用が効くというのは、前回の記事に詳しい

特許の要約をさらに要約すると「車体に取り付けられ、走行風でダウンフォースが与えられる翼型部と、翼型部の下面に沿って後方に流れる旋回流を生じさせる旋回流発生部とを備える」という内容。ウイングの下部に渦巻き状の風が流れるのが、2017年モデル以降のH2Rのアッパーウイングの特徴となる。

効能は空気をウイングに絡みつかせることで、姿勢の変化にも対応して安定してダウンフォースを発生させるというもの。バンク中の接地感やコーナー脱出の加速も向上する。エンジンの電子制御とともにバイクの姿勢をコントロールするためにエアロの進化も欠かせないものになっているのだ。

写真は前回記事を流用した2015モデルと2017モデルのアッパーウイングの比較。最後のグラフが特許のもので実施例が2017年モデルで比較例は従来型だろう。

ダウンフォースは9%向上

新旧のウイングを比較すると面積が広がっているため走行抵抗は増えそうな印象だが、ストレークとドッグツースが追加された効果で走行抵抗を抑えつつダウンフォースが9%向上している。さらに特許内の説明によるとウイングなしのバイクと比較すると20%もウイリーしにくくなるという。また、「一般に鞍乗型車両(バイク)では、四輪車に比べて軽量なために接地荷重を高めにくい場合がある。これに対して鞍乗型車両1(2017~H2R)では、空力デバイスにより、前輪側の車体重量を増大させなくても接地荷重が高められ、鞍乗型車両1(2017~H2R)の重量増加を防止しながら、加速性能の低下を抑えつつ、制動性能を高めることができる」とも特許内で書かれており、ブレーキング性能向上も期待できそうだ。

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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