2018年5月19日、テイスト・オブ・ツクバ SATSUKI STAGEにて実施されたZ900RSパレードランイベントにブルーサンダースも参加。ただ一台だけ完全なレーサー化を果たし、パレードの後にレーシングスピードで走行を披露した。このZ900RSレーサーは6月24日にアメリカで開催されるパイクスピークに参戦する。
エンジンは1043ccにボアアップ
テイスト・オブ・ツクバのモンスタークラス常勝チームであるブルーサンダースは、Z系を得意とする東京足立区のチューニングショップ。テイストだけではなく、海外のレース参戦にも積極的でアメリカのデイトナで開催される旧車レースやエルミラージュの最高速レースを経て、2014年からはパイクピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)への挑戦を続けている。そして、今年の参戦マシンに選んだのがZ900RS。チューナーである岩野代表の新たなチャレンジとして、また業界や話題を盛り上げるために、従来の空冷2バルブZから水冷4バルブZへと乗り出したのだ。参戦初年度ということもあり思い切った変更はできないとはいえ、エンジンはすでに1043ccにボアアップ。Z1000のシリンダーとピストンを使用して内径は73.4mm→77mmに拡大しつつシリンダーヘッドはフィンの刻んであるZ900RSのもの使用する。
レースのため足まわりも強化
PPIHCは、別名「雲へ向かうレース(The Race to the Clouds)」で近年日本人選手の参戦も増えている公道レース。ロッキー山脈に連なるパイクスピーク(標高4301m)のワインディングを約20㎞にわたり駆け上がっていくタイムトライアルだ。公道とは言え156のコーナーをこなしつつ平均速度は120㎞/hに達する過酷なコースで、当然足まわりはそのままとはいかない。フロントはノーマルに見えるが、スプリング強化などでセッティング。リヤはYSS製のM456タイプに変更、ステアリングダンパーも追加している。その他、マフラーはブルーサンダース製のフルエキゾーストとし、コンピューターはRAPiD BIKE RACINGを使用して燃料などを調整している。
なぜパイクスピークに?
岩野代表は「アメリカのレースに参戦する人たちは向き合い方が日本と違う」という。良し悪しは別としてレースやモータースポーツが根付く土壌が異なっており、そこで挑戦することが大きな刺激になっているのだろう。岩野氏は、自身のショップで空冷Z系をチューニングする以外も全日本ロードレースでも最新モデルに触れてきた幅広い経験を持つメカニック。中身が最新となるZ900RSでは持てる技術が全て発揮されるはずだ。最新型Zにアメリカのレースという組み合わせで、新たな地平が開けるかもしれない。
取材協力:ブルーサンダース
撮影:真弓悟史