東京モーターサイクルショー特集④

2018新型PCXを撮影&全容を解説

2018年3月16日〜18日に開催された大阪モーターサイクルショーは前年比106%の7万664名の入場者で賑わった。そして今週は東京モーターサイクルショーが3月23日から開催される。その盛り上げのために大阪で撮り下ろした注目マシンを掲載していくシリーズの第三回。大阪で初公開の新型PCXをホンダの発表した詳細資料とともに紹介しよう。

コンセプトはPersonal Comfort Saloon

2010年に初代、2014年に2代目に進化したPCXが2018年型でフルモデルチェンジすることはお伝えした通り。その車両が大阪モーターサイクルショーに初めて登場し、撮影することができた。同時にホンダから詳細な情報と写真が公開されたので撮影車とともにその全容を紹介しよう。

まず、新型PCXが掲げたコンセプトはPersonal Comfort Saloonで、初代PCXの開発テーマを継承した。「新しさ」「走行性能」「心地よさ」「使いやすさ」「経済性」を指標とし、従来モデルのすべてを上回るレベルを目指し、細部にわたって性能や機能を追求している。スタイルは、流麗で伸びやかな印象を継承しつつ「美しさと力強さ」をコンセプトとし、緊張感と柔軟さのあるスタイリングを目指している。また、従来よりも上段のボディカバーと下段のロアカバーのつながりを意識した造形とすることで、ボディ全体としての一体感を持たせ、塊感のある力強いフォルムにした。

【HONDA PCX/PCX150/ABS 2018年型国内仕様 価格:34万2360円/37万3680円/39万5280円 発売日:4月6日(125)/4月20日(150)】写真はPCX(125)のキャンディラスターレッド。オプションのボディマウントシールド(2万4840円)とトップボックス35L(2万520円)+キーシリンダーセット(2700円)+トップボックス取付ベース(4320円)が装着されている。

ライディングポジションはリラックス

従来型からシート高は4mm上がって764mmとなったが、足着き性は良好。上体が起きたリラックスポジションで足の置き場が前後に広いため、膝を伸ばしてクルーズしたり曲げてキビキビ走ったりとライディングの自由度が高いのも従来モデルと変わらず。フロアステップは、従来モデルよりフットスペース平面部を車体前方方向へ拡大している。

身長172cm、体重65㎏のライディングポジション。足着き性は両かかとが余裕で接地する。シートの着座位置の自由度が高いのもPCXの特徴で広いフロアステップとともに様々な体格のライダーに対応する。

スマートキーなど装備はクラス最高峰

初代から採用しているアイドリングストップシステムは2018年型でも継承。シート下のラゲッジスペースは従来の25→28Lに容量を拡大し、さらにフロントパネル左側のインナーボックスには新たにACCソケットを設けスマホ等の充電に配慮した。スマートキーはウインカーが点滅するアンサーバック機能を備え、自車の位置を確認することができる。また、150のみフロントのみが作動するABS仕様を新たに設定し、STDモデルは従来同様に前後連動のコンビブレーキを採用する。

撮影車はオプションのグリップヒーター(1万7820円)が装着されている。ハンドルまわりはメッキ塗装のハンドルカバーの上にブラック塗装のアッパーカバーを配置。またテーパー形状のハンドルウェイトもメッキとし高級感を演出している。タイヤは前後14インチのままワイドなサイズとし、タイヤ剛性を高めている。ホイールはスポーク本数を5→8本に増やしつつF=200g、R=500gの軽量化を達成している。

車体・足回り(リリースより)

従来のPCXシリーズの魅力である、125/150ccスクーターとしての使いやすさ/取り回しのしやすさと、ゆったりとしたライディングポジションという相反する要素を両立したパッケージを保ちつつ、街中はもちろんのこと、郊外のツーリングでのよりよい乗り味を目指しました。

●フレーム、フロントカバーステー
よりよい乗り味を目指し、フレームを新設計しました。フレーム構造を従来モデルのアンダーボーン構造から、ダブルクレードル構造へ変更することで、フレームの剛性を高め、向上させた動力性能を余すことなく引き出せる操縦性を実現しました。かつシート前のまたぎやすさは従来モデルと同レベルを保っています。

新・旧フレーム形状比較イメージ図

また、フロントカバーステーは従来モデルの鉄製から、Hondaスクーターとして初の樹脂製を採用しています。このフロントカバーステーの樹脂化とフレームの構造変更で、両部品合わせて2.4kgの軽量化を実現しました。これらの軽量化は、軽快感ある、よりニュートラルなハンドリング特性に寄与しています。

新・旧フロントカバーステー比較イメージ図

パワーユニット(リリースより)

パワーユニットは、従来モデルの扱いやすい出力特性、高い環境性能と静粛性による上質感を兼ね備えた水冷エンジン「eSP※」を進化させています。また、停車後、自動的にエンジン停止し、発進時はスロットル操作だけでスムーズに再始動するアイドリングストップ・システムも継続採用しています。

※enhanced(強化された) Smart(洗練された、精密で高感度な) Power(動力、エンジン) の略で、低燃費技術やACGスターターなどの先進技術を採用し、環境性能と動力性能を高めたスクーター用エンジンの総称です。

eSP

新しいPCXシリーズのパワーユニット「eSP」は、さらなる快適な走行を目指し、従来の「eSP」に対して吸排気系の変更を行い、低回転時の出力を従来モデル同等に保ちつつ、高回転時における出力の向上を実現しました。

また、駆動系の変更や、フリクションの低減などによって、従来モデル同等の低速域の加速力を保ちつつ、中・高速域での伸びのある走りを実現しました。かつ、「eSP」の特徴である、優れた燃費性能は従来モデル同等としています。

●Lクランクケース、ドライブフェイス/ドリブンフェイス
さらなる快適な走行を目指し、Lクランクケース、ドライブ/ドリブンフェイスを新設計しました。ドライブ/ドリブンフェイスの形状を変更し大型化することで、変速比の幅を拡大し、かつ、従来モデルに対しドライブベルトの屈曲を緩やかとすることで、フリクションを低減させました。
また、従来モデルに対し、フロント/リアタイヤのワイド化による剛性向上により、タイヤのたわみによるエネルギーロスを低減させました。これらにより、従来モデル同等の燃費、低速域の加速力に加え、中・高速域での伸びのある走りを実現しました。

Lクランクケース内部イメージ図

●エアクリーナー
エアクリーナーは、リアクッションを車体後方へ移動することで、従来モデルに対し容量を1L拡大しました。またエアクリーナーの吸気口は、車体全体の空気の流れを考慮し、車体の側面に設置しました。さらにエアクリーナー内部の空気が、よりスムーズに流れるように構成部品の位置、形状を見直しました。これらはエンジンへの吸気効率の向上に寄与しています。

吸気経路イメージ図

●スロットルボディ
スロットルボディは、ボア径を従来モデルのφ24mmからφ26mmに拡大※。これによりエンジンに、より多くの空気を供給できる設定としました。
※PCX150のスロットルボディのボア径は、従来モデルφ26mmと同じです。
●エキゾーストマフラー
エキゾーストマフラーは、マフラー内部の排気がよりスムーズに流れるように構成部品の位置、形状を見直し、かつ三元触媒を大型化させました。これらにより動力性能向上と最新の排ガス規制※の適合を両立させました。
※ 平成28年度排出ガス規制
●ラジエーターファン、ラジエーターシュラウド
エンジンのラジエーターファンおよびラジエーターシュラウドを新設計しました。ラジエーターファンは、従来モデルに対しファンブレード形状を見直し、ラジエーターシュラウドは2箇所の排出口付近のエアボリュームを増加させました。これらにより、ラジエーターを通過し熱を持った空気の排出効率を向上させています。また、この排出効率向上により、ラジエーターファンの直径を、従来モデルのφ132mmに対しφ125mmへの小型化を可能としました。これらにより、エンジンの出力向上にともなうエンジンの発熱量の対応として、ラジエーターを大型化することなく、高効率の冷却性能を実現しました。

ラジエーターファン作動イメージ図

電装(リリースより)

●スピードメーター
スピードメーターは、反転液晶表示のデジタルメーターを採用し、精悍なイメージのメーター表示デザインとしました。さらにスピードメーター、時計、平均燃費計、燃料計を表示する大型のセンターディスプレイを配置し、少ない視線移動で情報が把握できる見やすさとデザイン性を両立しました。

メーター、インジケーター配置図

●Honda SMART Keyシステム
Honda SMART Keyシステムを採用しました。このシステムにより、スマートキーを携帯して車両に近づき、メインスイッチノブを回すことでキー操作なしのエンジン始動が可能となり、衣服のポケットなどからスマートキー自体を取り出す必要がなく、より便利に、よりスマートにエンジン始動ができます。
また、盗難抑止機構として、メインスイッチノブにクラッチ機構を装備し、無理な力でのハンドルロック解除を防ぎ、さらに盗難抑止効果の高いイモビライザー機能も装備しました。さらに、シーソー式スイッチは、シートとフューエルリッドの解錠操作が行えます。
スマートキーには、他の人によるメインスイッチノブの操作を防ぐHonda SMART KeyシステムのON/OFFスイッチと、車両のウィンカーが点滅して自車の位置を知らせるアンサーバックスイッチを装備しています。

メインスイッチノブ、シーソー式スイッチ(左)、スマートキー(右)

スタイリング(リリースより)

●ヘッドライト
従来のPCXシリーズのアイデンティティの一つである存在感ある大型のコンビネーションライトを進化させました。ヘッドライトとシグネチャーランプ(ポジションランプ)の間に配した主体色のカバー※により、ヘッドライトとシグネチャーランプが、独立して切れ上がる造形とし、大型のコンビネーションライトの重厚感の中にシャープな印象を加えています。またヘッドライトの点灯に関し、斜めに切りあがったロービームと、中央に配置したハイビームの組み合わせにより、ロー/ハイビーム点灯時に、全く異なった表情を演出しています。さらに、ロービーム点灯部を囲むように伸びる上下に配置されたシグネチャーランプと、LEDならではの細長いウィンカーにより、重厚感がありながらも、精悍な印象を表現し、PCXシリーズのアイデンティティを引き継ぎながら、存在感のある新しいPCXシリーズの表情を造り上げています。
※特許出願中

●テールランプ
左右に伸びる上下二段に配したテール&ストップランプは、点灯部の上段と下段の幅を変えることで、リアボディをスリムに保ちつつ、従来モデルに対し大型化しました。大型化しながらも独特な発光形状により、重厚感の中にシャープな印象を加えています。また、それらを実現するため、ウィンカーもLEDならではの細長い形状としています。従来のPCXシリーズのアイデンティティの一つであるスリムなリアボディと、独特の発光状態を持つテールランプにより、後方からも新しいPCXシリーズならではの存在感を放ちます。

ヘッドライト(左)、テールランプ(右)

主要諸元(リリースより)


■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/Honda Vietnam Co., Ltd.  製造国/ベトナム  輸入事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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