2018年1月12日、ホンダが新型ゴールドウイング/ツアーを正式発表した。発売は4月2日からで従来のGLはツアーと名を変え、STDはバガータイプとなる。ツアーにはDCT&エアバッグを装備した上級グレードもラインナップ。同じタイミングでリニューアルするホンダドリーム店のみで販売されることが決まっている。
グレードは3種類、カラーは6色を設定
新型ゴールドウイングは、従来のトップケース付きがゴールドウイング ツアーという名称に変更された。ツアーには6速MTとデュアルクラッチトランスミッション(DCT)の2グレードが設定され、エアバッグはDCTタイプのみに搭載されている。そしてゴールドウイングの名称はトップケースなしのバガータイプのものとなり、F6Bの後継車という位置づけだ。ちなみにゴールドウイングは6速MTのみの1グレードとなる。発売日は4月2日と発表されたが、これは新販売網施策の実施に合わせたもの。その日からホンダの251cc以上のモデルはホンダ専売のホンダドリーム店のみでしか購入できなくなることが決定しており、新型ゴールドウイング/ツアーはドリーム店でのみ予約、購入が可能となる。
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INTERVIEWまとめ
デカくて豪華を脱却する注目2大メカ
DCTには7速採用!
こだわったのは「シフトの質感」
上級仕様のゴールドウイング・ツアーには、7速のDCTが搭載されている。ミッションの多段化というと、通常はクロスレシオ化でエンジン性能を効率的に引き出すのが目的の場合が多いが、同車の目的は「質感の向上」。その狙いは根本的に異なっているのだ。
従来のDCTにおいてホンダが弱点と考えてきたのが、シフトダウンの時の「ガシャン」という音とショックだった。この症状はギヤの段間差が大きい低速ギヤで発生しやすく、ATモードだとライダーが意図しないタイミングで発生するため、どうしても気になってしまう。であれば問題の発生源であるギヤの段間差を減らすため、1速追加して低速ギヤ側をクロスレシオ化してしまおうというアプローチなのだ。
こうした考え方は近年の四輪高級車では散見されるが、「シフトの質感を目的にギヤレシオを決めるのは、従来の二輪車にはない特殊な考え方だと思います」(DCT 開発担当・藤本靖司さん)。いわば音とショックを減らすための多段化。最上級を狙うにふさわ
しい、質感の向上を目的とした注目の一手であることに間違いない。
さらに音対策としてミッション内部にダンパーやラバーを多数追加し、電制スロットルとの協調制御で変速時間を短縮、ショックも低減させるなど、質感向上への技術投入は惜しみない。
車体コンパクト化&サスの摺動抵抗低減
ダブルウィッシュボーンでいいとこどり!
新型ゴールドウイングには、快適なスポーツ性能を得るためにどうしても成し遂げなければいけないことがあった。それが今回の進化の大命題「車体
の軽量コンパクト化」だ。車体の新設計はもとより細部にまで詰め寄って、車重マイナス41㎏を達成した。
そのハイライトと言えるのが、フロントのダブルウィッシュボーン式サスペンションの採用だ。ダブルウィッシュボーンは四輪車では普及しているサスペンション形式で、構造的には四輪のそれに対し、ゴールドウイングではタイヤの取り付け向きを90度変えたものとイメージすればいい。
このサス形式が選ばれた最大の要因は、アライメント設定の自由度があること。設計次第でタイヤを地面に対して垂直方向にもストロークさせられるため、エンジンとタイヤのクリアランスをギリギリまで詰められるのだ。この結果、エンジンの搭載位置は従来型より24㎜も前進させることができた。
さらに見逃せないメリットとして、「低フリクション」がある。ダブルウィッシュボーンサスは、タイヤをアームで支持するため、ショックユニットに伸
縮方向以外の力が加わらない。つまり圧倒的に摺動抵抗が少ないのだ。「低位置で搭載できる水平対向6気筒ユニットだからこそ活用できる」(足まわり開発担当・桒原直樹さん)というように、このサスも新型の象徴だ。