1920年代の外観に最新エンジン+ターボ

ターボで200馬力のスーパースカウトが完成

新生INDIAN SCOUT(インディアン・スカウト)のカスタムを紹介。スウェーデンのFullhouse Garage Shop(フルハウスガレージショップ)がターボチャージャー搭載のスーパースカウトを完成させた。

オリジナルと現代のスカウトが融合

20世紀の始まりとともに創業したインディアンは、バイク史の黎明期に高性能で知られたメーカー。当時のアメリカではボードトラックレースという板で建設されたオーバルコースでのレースが行われており、インディアンは常勝メーカーとして鳴らしていた。その栄光を現代に蘇らせることと、インディアンの共同創設者であるスウェーデン人のオスカー・ヘッドストローム氏に敬意を表するためにこのスーパースカウトは製作された。1920年に600ccVツインエンジンを搭載して発売されたインディアンのスカウトは、バート・マンローの世界最高速記録樹立で有名なモデル(この話は「世界最速のインディアン」というタイトルでアンソニー・ホプキンスを主役に映画化されたので、ご存じの方も多いだろう)。レーストラックでも無敵だった当時のスカウトをモチーフにエンジン、燃料ポンプ、ヘッドライト、シフターペダルを現代のスカウトから移植、フレームは3つのセクションから構成されたワンオフとなっている。

【Fullhouse Garage Shop SCOUT】1920年代の外観を再現しているが、車体は新たに製作されたものでエンジンも2015年に発売された新型スカウトの水冷DOHC4バルブエンジンを採用。
前後ブレーキはドラムの雰囲気を残しつつディスク化。フロントはインボードシステムにリヤはスプロケットブレーキとその発想に脱帽だ。
燃料タンクは1920年製スカウトのスタイルを模したダミーで、エレクトロニクス、スロットルボディ、フロントマスターシリンダーを隠すために使用される。実際の燃料タンクはシートの下に設置されている

1130cc水冷Vツインにターボチャージャー

ガレット25ターボにはウエストゲートバルブが装備されブースト圧をコントロールできる。ターボとウエストゲートへのパイプはステンレス製で、パイプの取り回しは車体のスリムなラインを崩さないよう配慮された。インジェクションによる燃料供給はフルコンのECUでコントロール。セッティングはブルトゥースとiPadで行うようになっており、100年前のルックスから想像できないハイテクぶりだ。現在はチューニングの最終段階で、ブースト圧に応じて150~200馬力の後輪出力を達成している。

エンジン右側にセットされたターボとウエストゲートバルブ。ダミータンクの中にスロットルボディなどが収まる。ラジエターとファンはCRF450から流用している。STDのスカウトは1130ccで74.7kW=101ps(日本仕様)だが、こちらは後輪で150~200hp(152ps~202ps)を発揮する。

2016年にはローランドサンズも力作を残した

スカウトのエンジンのベースとなったプロトタイプのVツインで2015年のパイクスピークに参戦したローランドサンズは、その後、2016年にフランスで行わたWheels&Wavesフェスティバルに出展するため、RSDスカウトを製作。ローランド氏は「あなたが伝統的なインディアン・スカウトのファンならば、スカウトはもともとレーサーだったと理解しているでしょう。RSDスカウトはその伝承を担っているのです」と製作意図を語る。完成したRSDスカウトは、1920年代のモデルをベースにしつつも、フレームをクロモリで新作。現代の水冷エンジンと前後オーリンズのサスを装備したスポーツ仕様だ。先のスーパースカウトと同様に往年のスカウトが成し遂げてきた偉業に目を向けている。

アメリカの著名ビルダー、ローランドサンズによるRSDスカウト。こちらも伝統のスタイルに現代のエンジンや足まわりで固めている。ちなみにリヤサスはドゥカティのパニガーレをベースとしているようだ。
【INDIAN SCOUT(スカウト) 2015年モデル】インディアンを買収した米ポラリス社が完全新設計して発売した新生スカウトの初期型。他にもポラリス社は2014年型でチーフを新作した。米屈指のパワースポーツメーカーのポラリス製だけあって両車ともスポーティだ。国内ではホワイトハウスが扱っており、現在は999ccのスカウトシックスティ(165万円~)、スカウト(188万円~)、スカウトボバー(199万円~)の3種類をラインナップしている。

ニュース提供:欧州インディアン