東京モーターショーネタは続く! 10月25日のプレスデーで川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニーのプレジデントが、突如2013年の東京モーターショーで発表したコンセプトモデル「J」のことを語り出したのだ。当時提案していた可変ライポジは、実はAIがライダーの心理や交通環境を読み取り実行するというものだった。
ホンダ、ヤマハの自立に対抗するAI&可変ライポジ
プレジデントの発言はこうだ。『これからのカワサキについてもうひとつ。いま、IoTやAIの活用が注目されていますが、カワサキも、走りへのこだわり「RIDEOLOGY」を深化させた、コネクテッドモーターサイクルの実現に、取り組んでいきます。前々回の東京モーターショーで発表したコンセプト「J」は、ライディングシーンに合わせて形を変えるEVです。そこにライダーとマシンの双方向コミュニケーション技術を搭載しています。ライダーの心や身体のコンディションを感じ取り、また天候や路面、交通状況などを読み取りながら、瞬時に最適なライディングポジションや情報を提供し、最高の走りを追求するあなたをサポートします』というもの。2016年8月にカワサキが発表した「AI(人工知能)を活用したモーターサイクルの開発に着手」の具体像が初めて明かされたと見ていいだろう。
RIDEOLOGY(ライディオロジー)の具現化
カワサキはライディオロジーを『RIDEOLOGY=強さと優しさが共存した操ることが悦びであるモーターサイクルを実現するために、あらゆる可能性に挑戦するという、カワサキ独自の「走り=RIDE」への「こだわり=IDEOLOGY」のこと』と定義している。強さと優しさという相反する要素を1つのバイクで両立するのに最適な答えが変形とも言えるだろう。「J」には車輪が4つあるが、2輪的な配置の時は“アタック”、3輪的配置の時は“アップライト“になり「強さと優したが共存した」マシンとなっている。さらに『AIの指示により先進電子制御技術を通じてライダーの経験やスキル、ライディングスタイルに応じたマシンセッティングを行うことも可能です。このようなコミュニケーションを重ねるごとに、モーターサイクルはライダーの個性を反映した独自のものへと発展していきます』とも書かれており、変形やセッティングのバリエーションはかなり豊富かも知れない。
変形バイクはカワサキの長年に渡る悲願
実は、2013年のコンセプト「J」の10年前にもカワサキが変形バイクのコンセプトモデルを提案していたことはご存知だろうか? 2003年の東京モーターショーにカワサキが出展した「ZZR-X」は、ハイスピードツーリングモード、ツーリングモード、スポーツモードの3つの形に変形するメカニズムだった。当時の資料では『高速クルージング時の快適性に、卓越したスポーツ性能も兼ね備えたモーターサイクル。走りに応じたポジションや機能を選択できるモードチェンジ機構をはじめ、速度に応じた最適なウインドプロテクションを可能にする開閉フラップなど、ライダーに「走り続ける歓び」や「一体となる感動」を与える技術を結集』と説明されている。開発者は10年先のカワサキを担うプロジェクトと語っていたが実際に10年後の2013年に「J」が発表され、その4年後の2017年にAIによる可変ポジションが示唆されたのだ。カワサキがここまで本気で取り組んでいる状況を考えると、近い将来には本当に変形型モーターサイクルが実現するのではないだろうか?!
↓モーターショー会場で流された映像はこの中の1分20秒あたりから。ちなみに「J」が登場するのは50秒以降だ。