●記事提供: ライドハイ編集部
’69年のCB750フォアに続いた4気筒攻勢
世界初の量産4気筒スーパースポーツ、CB750フォアが衝撃のデビューを果たしたのが1969年。
世界GP撤退直後で、これを契機に日本車がまだ君臨していなかった大型バイクのマーケットを制覇していったのはご存じのとおり。
しかし世界のファンは、この新たに750ccというフラッグシップの頂点クラスが誕生したのに続き、500ccと350ccのクラスにも4気筒スーパースポーツが居並ぶとは想像もしていなかった。
この他のバイクメーカーも予想していなかった圧倒的な4気筒攻勢の裏には、ホンダの命運を賭けた大きな理由があったのだ。
ホンダはアメリカ市場での乗用車に、マスキー法という当時としては異例な厳しさで全メーカーが実現不可能と反対した排気ガス規制に対し、ひとりクリアしてみせると手を挙げたからだ。
オートバイメーカーとしてスタートしたホンダは、日本で次なるステップとして四輪車の生産をはじめようとしたそのとき、既に乗用車メーカーは数も充分に揃っているので、参入はまかりならんという高い壁を経験していた。
そうした逆境を跳ね飛ばそうと、ホンダは日本の自動車メーカーが考えたことすらなかったF1カーレースにチャレンジ、軽自動車で初のスポーツカーS360をモーターショーに参考出品したものの認可がおりず、そのDOHC4気筒4キャブレター装備のハイパー・エンジンを何と軽トラックT360へ搭載、新たに自動車メーカーとして押しきった経緯があった。
そんなホンダだからこそ、この不可能とされたマスキー法をクリアすることで、アメリカのみならず世界のマーケットへホンダを自動車メーカーとして認めさせるまたとないチャンスと捉えたのだ。
この全社を挙げて取り掛かるビッグプロジェクトに、オートバイ部門を含む全エンジニアの投入が決定され、暫くはスポーツバイクで新型の開発ができないだろうという状況に対し、この間に牙城を守りきれる圧倒的な差をつける機種構成を整えておくのが急務となった。
それがCB750フォアであり、それに続いたこのCB500フォア、そしてCB350フォアだったのだ。
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