
●文:小川浩康(ゴーライド/ヤングマシン編集部) ●写真:長谷川徹 ●テストライド:渡辺学
ヤマハ トリッカー[2019] 試乗レビュー
軽い取り回しで市街地もダートも楽しい!
ヤマハ セロー250とフレームとエンジンを共用しているトリッカー。“BMX感覚のサイズ感”を実現するために前19/後16インチホイールを装備し、セローよりもコンパクトな車体を有している。
セローとともに生産終了となったが、改めてその魅力に触れてみようと、かつてトリッカーオーナーだった渡辺学氏にインプレッションしてもらった。
【渡辺学(わたなべ まなぶ)】1997年にプロのモトクロス選手としてデビューし、全日本モトクロス選手権で活躍後、2012年からはJNCC全日本クロスカントリー選手権に転向。JNCCでは史上最多となる6度のチャンピオンに輝くなど、長年にわたり日本のオフロードバイクシーンを牽引するトップライダーの一人。
【2019 YAMAHA TRICKER】■全長1980 全幅800 全高1145 軸距1330 シート高810(各mm) 車重127kg ■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 249cc 20ps/7500rpm 2.1kg-m/6000rpm 変速機5段 燃料タンク容量7.0L ■タイヤサイズF=80/100-19M/C 49P R=120/90-16M/C 63P ●発売当時価格:47万6300円
スリムな車体と低いシート高でより気軽にダートを遊べる
「全体的に低重心で、セローよりもスリムな車体と低いシート高のおかげで、パッと乗った時の軽快さと気軽さはトリッカーのほうが上ですね。街乗りや林道では、コンパクトさのおかげで、トリッカーのほうがセローより走りも軽快だと思います。
エンジンはセローと同じで極低速からトルクが立ち上がり、必要充分なパワーを発揮するから、ダートでの取り回しも楽。フラットな林道や高速道路といったハイスピードでは安定感もありますよ」
セロー250の前21/後18インチから、前19/後16インチと小径化。ホイールベースもセローから30mm短い。2007年にフューエルインジェクション化され、燃料タンクも6L→7. 2Lに増量された。
荒れた路面ではセローに軍配、タンク容量に不安も
「ホイール径が小さいので、荒れた路面ではセローのほうが安定します。また、デメリットは選べるタイヤが少ないことと、最低地上高がセローより5mm低いことだけど、エンデューロレース参戦などを考える人ならセローにすればいいよね。
ただ、タンク容量はもう少し欲しい。ガソリンスタンドが減りつつある昨今、林道ツーリングでの給油タイミングが気になりますからね」
操る楽しさをギュッと凝縮した隠れた名車
トリッカーはセロー250に先駆けて2004年に登場したこともあり、セロー250はトリッカーをベースに開発されたとも言われていた。しかし、これは歴代セローの開発リーダー・近藤氏の作戦だったようだ。当時225ccだったセローは、排ガス規制に対応するためにフルモデルチェンジが必要だった。しかし、セロー単体では開発予算の確保が難しく、新たなユーザー層を取り込むべく、まずトリッカーを提案したという。
トリッカーのシンプルな車体には、セローを見据えた意図も秘められていたようだが、逆にそのシンプルさが、セローよりも“スリム/軽量/コンパクト”を実現し、セローより軽快な走りと扱いやすさを実現したのだ。
これからオフロードデビューをする人にとって、エントリーモデルとしてもおおいにオススメできる1台でもあり、カスタムしてもとても楽しいモデルなので、現存車が限られている今、気になる人は早めに動いたほうがいいだろう。
※掲載レビュー内容は初出公開(2021年5月)時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※車両販売情報提供元:ウェビック バイク選び
トリッカー[2019]の最新相場情報
最新の関連記事(トリッカー)
2023年12月31日の日本最北端・宗谷岬からレポートします!! 「走らねぇ豚は病気の豚だ」とは誰が言ったか知らないが、寒さや凍結路面をモノともせず走り回っているライダーがいる。しかも彼らは大晦日の日[…]
オフロードも林道走行も楽しめるのはやはりトレールマシン オフロードマシンとひと口にいっても、競技用モデルと公道モデルでは、その作りも大きく変わってくる。モトクロス/エンデューロ/トライアルとあるが、モ[…]
軽い取り回しで市街地もダートも楽しい! セロー250とフレームとエンジンを共用しているヤマハ トリッカー。”BMX感覚のサイズ感”を実現するために前19/後16インチホイールを装備し、セローよりもコン[…]
水冷DOHC4バルブの並列2気筒エンジンを鋼管ダイヤモンドフレームに搭載したフルカウルスポーツ「YZF-R25」。’19年に待望のフロント倒立フォークを得てモデルチェンジ。これに合わせて、肉抜きトップ[…]
「バイク界の〇スポ」と栄誉ある称号をいただいているヤングマシン(略称ヤンマシ)は、妄想とガチスクープを虚実織り交ぜてお送りしているバイク雑誌。今年も多くのスクープで誌面を賑わせて(お騒がせして?)きた[…]
最新の関連記事(自分だけのバイク選び)
ホンダCBR600RR(2020) 試乗レビュー 排気量も気筒数も関係ない、コイツがいい! 仕事柄、しばしば「スーパースポーツが欲しいんですけど、リッタークラスとミドルクラスのどっちがいいと思います?[…]
ホンダCBR600RR(2020) サーキット試乗レビュー 戦闘力と乗りやすさの最適バランスがここに 最後のモデルチェンジから7年ぶり! ホンダCBR600RRも控えめながらウイングレットを装備し、電[…]
ホンダCB400スーパーフォア試乗レビュー 姿は変わらずとも進化を続けた直4ネイキッド 教習車として多くのライダーを路上に送り出してきたエントリーモデルであるのと同時に、普通二輪免許で手にできるフラッ[…]
カワサキW800(2020) 試乗レビュー この記事では、レトロな見た目と味わい深いエンジン特性が魅力的なカワサキのW800の2020年モデルについて紹介するぞ。 [○]フロント19インチの味わい。こ[…]
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー 全方位にスペックアップした2021年モデル 2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。 ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バ[…]
人気記事ランキング(全体)
コーデュラ(R)ユーロ3Dメッシュジャケット:プロテクションと通気性を両立 ライダーの安全と快適を追求した一着。腕部分には耐摩耗性に優れたコーデュラ(R)素材を採用。万が一の転倒時にもダメージを軽減す[…]
運を味方につけたザルコの勝利 天候に翻弄されまくったMotoGP第6戦フランスGP。ややこしいスタートになったのでざっくり説明しておくと、決勝スタート直前のウォームアップ走行がウエット路面になり、全員[…]
ホンダ GB350S カスタムコンテストが欧州で開催 ホンダが欧州で開催した正規ディーラー向けカスタムコンテスト「Honda Garage Dreams Contest」で、スペインのHONDA MO[…]
SHOEIは、2025年5月9日に東本昌平のイラストをSNSで公開。このとき「WYVERN(ワイバーン)」を被っているライダーが唐突に現れたことから、もしや復活ではとの噂が立ったが、2025年6月2日[…]
25SJ-1 レザージャケット:普段使いもスマートに決まる、大人のレザージャケット ふだん使いにも最適な、シンプルでスタイリッシュなレザージャケット。バイクに乗る際はもちろん、街着としてもコーディネー[…]
最新の投稿記事(全体)
“主婦向けスクーター”がゴールドラッシュに バイクが売れに売れた1980年代の日本。近年の2輪車販売台数が年間約40万台前後で推移しているのに対し、当時はその数300万台以上。俗に言う日本の「バブル期[…]
スズキは、8月1日(金)から3日(日)に三重県鈴鹿サーキットで開催される「2025 FIM 世界耐久選手権“コカ·コーラ” 鈴鹿8 時間耐久ロードレース 第46回大会」に参戦する「チームスズキCNチャ[…]
免許制度は基本、ヨーロッパで共通 イタリアのバイク事情を現地からお届けするコラム「Vento Italiano」(イタリアの風)第2回。今回はイタリアの自動車運転免許制度について紹介していきます。 と[…]
3種のグレードそれぞれに専用カラー カワサキモータースジャパンは、前18/後16インチホイールを履くロー&ロングフォルムなミドルクラスクルーザー「エリミネーター」シリーズの2025年モデルを発表した。[…]
イベントが盛りだくさん! ドゥカティオーナーであるドゥカティストや、ドゥカティファンを対象としたお祭り『DUCATI DAY』が2025年も開催された。 会場である千葉県木更津市にあるポルシェ・エクス[…]
- 1
- 2