日本有数の専門メーカーとのコラボレーションによるブレーキやクラッチやサスペンション、独自開発によるEXACTホイールやダイレクトドライブレーシングディスクなど、フットワークパーツのプロフェショナルとして定評のあるアドバンテージ。足まわりパーツ中心のラインナップにおいて、若干傾向が異なるのが、カワサキZ1〜KZ1000Mk2用に製作したエンジンパーツだ。20年以上にわたって安定的なセールスを記録し続ける、Z系必須パーツ誕生のきっかけやモノ作りに対するこだわりを尋ねた。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:アドバンテージ
品質にこだわればMADE IN JAPAN一択。技術の裏付けがあるから信頼されるアドバンテージ
「エンジンの腰上を開けたらピストンリングを交換するのと同様に、フルオーバーホールする機会があれば、カムチェーンやスプロケットの交換をぜひとも推奨したいです」
と語るアドバンテージ中西社長。同社がカワサキZ1〜KZ1000Mk2系のエンジン内部、カムチェーンまわりのオリジナルパーツをリリースしたのは今から20年ほど前のこと。
モトクロス界ではちょうどその頃マシンの4ストローク化が進み、ハードなスロットル操作とトラクションの変化でカムチェーンの伸びが異様に早いという状況があったそう。そんな場面を目の当たりにして、当時すでに30年を経ていた1970年代のZ系のカムチェーンまわりのパーツ開発を思いついたとのこと。
一番のカギとなったのは、純正に比べてチューニング耐性が高いDID製スペシャルカムチェーンをアドバンテージ専売品として取り扱いできたこと。サイズ的には純正と同じ219サイズだが、DIDが誇るダイハード処理により耐摩耗性が圧倒的に向上。
これに合わせて、純正はフローティング構造のアイドラーのリジッド化や、カムチェーンテンショナーのスプロケット化により、高回転の追従性を向上。さらにバルブタイミングの適正化に不可欠なバーニアタイプのアジャスタブルカムスプロケットも発売。
これにより、経年劣化によるゴム部分の破損が懸念される純正パーツの弱点を克服しながら、バルブ駆動系のアップデートが可能となった。
20年前に完成したラインナップは、エンジンチューニングの必須パーツとして多くのカスタムユーザーに愛用されると同時に、現在では販売終了となっている純正カムスプロケットやチェーンテンショナーに関しては、補修用パーツとしての需要もあるという。
カムチェーンはまだ新品純正部品が購入できるものの、アドバンテージ製品は高強度の小判型プレートである上に、価格面で純正よりリーズナブルという利点があり、やはり安定した人気があるそうだ。
ゴム系の素材を使用している純正パーツは、チューニングによるトラブルや経年劣化は避けられない。一方アドバンテージは金属製のギヤを使うことで、歯先が摩滅するまで正確なタイミングを刻み続けることができる。つまりロングライフ化を図る上でも、これらのパーツは有効なのだ。
半世紀を経た純正パーツはノーマルエンジンでも交換しておきたい
絶版車界では未再生車に高い価値を見いだす風潮があるが、半世紀を経て、アイドラーの合わせゴムが剥がれてカムチェーンの軌道がずれたり、ゴムローラーが崩壊するのが当たり前のZ系のエンジン内部に関しては当てはまらない。
製品名にはレーシングとあるが、街乗り車の整備用部品としても有効だ。カムチェーンは税抜1万2500円で、純正よりずっと安価だ。
販売終了のテンショナーをはじめすべてのパーツをアップデート
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