![[旧車DIYメンテ] ホンダ初期型ゴリラ:“乗りやすくする”ためのボアアップ【カスタム前に燃焼室を徹底洗浄】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/08/MonGori_Maintenance_10.jpg)
『モトメカニック』編集スタッフのバイク仲間が、6V初期のホンダ ゴリラを購入。乗りやすくするためのカスタム依頼が舞い込んできた。その組み込み作業前の下準備として、まずは燃焼室の洗浄からスタートだ。
●文/写真:たぐちかつみ(モトメカニック編集部) ●外部リンク:シフトアップ
走りやすく、乗りやすいバイクへボアアップ
調子良く走ってはいても、さすがに50ccの排気量だと、国道バイパスを気持ち良く走って、交通の流れに乗ることは難しい。ましてや30km/h制限で路肩側を走っていたら、大型トラックに踏み潰されてしまいかねない恐怖がある。
近い将来、世界でも稀な原付一種免許制度と車両法が同時に改正になり、原付一種でも最高出力制限付きで排気量は125ccになるらしい!?(そんな話は昔からあったんだが…)。気になる最高速度については、30km/h制限ではなく、その道路の制限速度になるのが妥当だろうが、さてどうなるのか!?
原付二種登録している原付バイクは数多くあると思うが、50ccから排気量が大きくなると、そりゃもう何よりも走りやすく乗りやすいバイクに激変する。
パワーアップして最高速が速くなる云々ではなく、何よりもの違いは、気持ち良くしかも“交通の流れに乗って、なによりも安全に走れる”ようになること。
原付免許でスピード違反して、50km/h制限の道路を55km/hで走行。周囲のクルマは止められないのに、原付だから赤旗振られて御用御用!! なんてこともありうるわけで。
周囲と一緒に走らないと一番危険なのに、走行弱者の原付だけが30km/hのスピード制限というのは、どう考えても危険極まりない!!
そんな基本的な考え方から、オーナーさんに88ccへのボアアップをお願いされた初代ゴリラ。ここでチョイスしたのは、シフトアップ製のノーマルヘッド用88ccボアアップキット。
ビッグバルブのハイパワーヘッドを組み込み、ビッグキャブへ交換すると、マフラー交換も不可欠になり、同時に暴力的でもあるパワーアップが可能になる。
しかしそうなると、その他のさまざまな個所をモディファイしたくなってしまう。言い換えれば“しなけらばならなくなってしまう”が、まずは順当な部分でシリンダーとピストンだけを交換し、ノーマル吸排気のままでトルクフルな走りを可能にしようと考えた。
作業のため、エンジンを下ろし中身を見たところ、まず必要なのは燃焼室の洗浄と判断。ワイズギアが発売するヤマルーブ製品を使用し、カーボンの除去を行った。
バイク仲間が知り合いから購入した初期型6ボルト仕様のゴリラ。同年代のモンキーゴリラに多い「過充電対策」を終え、街中を走り出したが、やっぱり乗りやすくしたいとのオーナーさん要望。そこで“適度なパワーアップ”=ボアアップにチャレンジした。ロングセラーゆえにさまざまな仕様があり、電装系も1980年代中頃に12ボルト化されたが、6ボルトの初期型シリーズが一番好き!! と語るファンは多い。白/黄/橙の3色あった。
オドメーターはわずか4000キロ弱のカウント。おそらく実走行距離だとは思われるが、今回のエンジン分解=腰上部品の分解で、その真相が明らかになるだろう。はたして…。
組み込む予定のシフトアップ製ボアアップキット
シフトアップ製キットと言えば、鍛造削り出しピストンを採用するモデルが多い。同社は4ミニ系パーツとして早い時期から鍛造削り出しピストンを採用していた。ピストンリングは国産のTP社製。
エンジンを搭載した状態で腰上部品の分解が可能なホンダ横型エンジン。経験者なら30分もあればエンジン腰上を分解することができる。燃焼室内のカーボンは激しくなかった。
ロッカーアーム周辺のヘッド鋳物はアルミ地肌の銀色。走行距離が進みオイル交換をせずに走っていたエンジンの場合、このアルミ地肌が真っ黒になる。程度は良さそう。
カムスプロケットを取り外してカムチェーンがフリーになると、腰上部品を脱着できるようになる。締め付けボルトを外し、シリンダーはプラスチックハンマーで軽く叩いて持ち上げる。
抜き取ったシリンダーを蛍光灯にかざしながらシリンダーボア内を覗き込むと、シリンダー内壁のコンディションがわかる。キズはなくブローバイガスの汚れもない。程度良好!!
コンロッドを上死点にして小端部を指先で持ち、上下方向や左右方向へのガタがないか念のため確認。分解前にメカノイズが酷かったエンジンは、クランク終焉のケースもある。
カーボンクリーナーと成分的には似ているのだと思うが、ヤマルーブのスーパーキャブレタークリーナーは泡タイプでカーボン落としに威力を発揮!!
シリンダーヘッドはあえてインナーパーツをバラバラにする前に、ヤマルーブのスーパーキャブレタークリーナー泡タイプをヘッド全体に吹き付け、クリーニング段取りに入る。
インナーパーツを組み込んだまま、バットにガソリンを入れ、シリンダーヘッドをワイヤーブラシでゴシゴシ洗浄。この洗浄は本気の洗浄ではなく、あくまで予備洗浄だ。
燃焼室に堆積したカーボン汚れには、泡タイプのキャブクリーナーの浸透が効果てきめん。ワイヤーブラシでゴシゴシ擦るのではなく、撫でる程度でもカーボン汚れを除去できる。
洗浄ガソリン(ヤマルーブの漬け込み型スーパーキャブレタークリーナーの廃ガソリンがもっとも効果的)とブラシでジャブジャブ洗浄すると、燃焼室はこの美しさ!! ケミカル様様です!!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
人気記事ランキング(全体)
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
トレリスフレーム+ユニトラックサスペンションの本格派 カワサキは欧州で、15psを発揮する水冷125cc単気筒エンジンをスチール製トレリスフレームに搭載し、前後17インチホイールを履かせたフルサイズス[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
高級感漂うゴールドカーキのデザイン 「IQOS ILUMA PRIME ゴールドカーキ」は、その名の通り落ち着いたゴールドトーンとカーキを組み合わせた洗練デザインが特徴です。手に取った瞬間に感じられる[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
最新の投稿記事(全体)
滑りにくさと耐久性を両立したソール設計 アシックスの安全靴「WINJOB CP113」は、油で劣化しにくく耐久性に優れたCPグリップソールを採用。濡れた床や油で汚れた現場でも安定したグリップ性能を発揮[…]
生産累計1億台、60周年の原点モデル 初代スーパーカブはホンダ創業の本田宗一郎氏と藤澤武夫氏が直接開発の先頭に立ったオートバイ。それに続く東南アジアのドリーム、WAVEなどを含む歴代スーパーカブシリー[…]
W230/MEGURO S1 デビュー応援キャンペーン 株式会社カワサキモータースジャパンが、2025年9月1日(月)より、全国のカワサキプラザにおいて「W230」および「MEGURO S1」の新車([…]
デビュー時は2スト125で敵ナシ状態! 1982年のヤマハRZ125が生んだムーブメントは、高速道路へ入れないマイナーな125スポーツだったのを、2ストの水冷化で通勤通学だけでなくレースへ興じる層が加[…]
ツーリングスポットに事欠かない南伊豆 南伊豆を存分に走り抜けたいなら、「県道16号下田石廊崎松崎線」は欠かせない。伊豆半島最南端の石廊崎へ続くこの道は、海岸線沿いの豪快な絶景海道。漁村が点在する東部の[…]
- 1
- 2