![[バイクメンテ実践] リヤサスペンション関連摺動部の洗浄&グリスアップで本来の動きに〈カワサキGPz900Rニンジャ 1993〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/SuperZoil_RearSuspension_Grease-up_01.jpg)
「せっかく高性能リヤショックを取り付けたのに、パフォーマンスが改善しない」なんてことを過去に何度も見てきたモトメカニック編集スタッフ。ショックユニット本体が素晴らしい働きをしてくれるからといって、取り付ければ即OK! 即高性能! ではないし、装着後メンテナンスもせずにずっと放置では、本来の性能をスポイルしてしまう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:カーベック
せっかくだからリヤサスペンションまわりの汚れをキレイに
カスタムされたカワサキGPz900Rニンジャ[1993]のメンテナンス中で気になったのが、リヤサスペンションまわりの汚れだった。この車両を預かる直前に、雨中のロングツーリングに出かけていたために、このような状況になってしまったようだ。あまりにも汚れがひどいので、リヤサスペンションまわりを取り外し、洗浄やグリスアップなどのメンテナンスを徹底的に実践することにした。
高性能リヤショックを取り付けたからといって、それだけでサスペンション性能を引き出せるものではない。セッティング幅が広がったからといっても、作動範囲でメカニズムがスムーズに動いていなければ、高性能ショックユニットの性能は生かせない。ズバリ、周辺のリンクユニットの作動性は大丈夫か!? スイングアームピボットがスムーズに動いているか!? これらが確約されて初めて、高性能ショックユニットは“本領発揮”してくれるものなのだ。
分解洗浄&グリスアップ後に、各作動摺動部の動きをひとつひとつ確認しながら復元。すると、リヤまわりは作業前と比べてピョンピョン跳ねるかのように作動。細かなセッティングを施すことで、高性能ショックを自分好みの足まわりにできる。伸び縮みの減衰力調整等でセッティングを楽しもう!!
リヤサスペンションまわりのメンテナンスを実践。屋外メンテは地獄のような暑さだった。屋外露天作業時は、メンテシートやメンテカーペットがあると便利だ。
リンク付きモノサスペンションの場合は、スイングアームピボットの摺動だけではなく、リンクまわりの摺動抵抗が作動性のカギを握る。ボルトも防錆対策でグリス塗布しなければならない。
簡単に取り外せただけでも助かったのだが、リンクまわりが渋くなっていると、思い通りにショックユニット本体を取り外すことができなくなってしまう。見ての通り、激しい汚れが気になる。
カジってはいないものの、プッシュロッドアッパーボルトが楽に抜けなかった。ブレーキキャリパーピストンツールがあると、ボルトの頭を押しやすく、スーッと抜ける。
タイロッドエンドを利用した車高調整機能付きプッシュロッドのリヤサスペンションリンク。複数ある締結ピンやブッシュが正しく作動してこそ、高性能リヤショックが威力を発揮する。
露出タイプのピロボールが付くタイロッドエンドには、定期的な注油を行おう。メーカー純正シフトチェンジロッドのピロ部分のように、ダストカバーが付くと理想的。
おそらく純正部品とは違ったレバー比を採用したリンクアームユニット。3か所の締結ポイントには、ニードルローラーベアリングが組み込まれている。多少のグリスは残っていた。
内部のグリスをきれいなウエスで拭き取ってから、新たにグリスを塗布した。ニードルローラーベアリングが入るので、作動性は良い。純正部品の中にはメタル受けモデルもある。
締結ピンは、パーツクリーナーで洗浄後、摺動部分に段差や摩耗がないことを確認してからグリスアップする。動きが渋くカジっていたピンなどは、摺動部分の色が変わり凸凹になっていることも。
ピンに凸凹があったら、新品ベアリングに打ち変え、ピンも新品部品に交換しなければならない。アルミ削り出しで作られたリンクアームとプッシュロッドピボット。美しくありたいパーツだ。
スイングアーム単体で、運動方向の作動性とピボット左右方向にガタがないか確認した。作動性は良好だったが、違和感がある際には、スイングアームピボット& シャフトにもグリスアップしよう。
パウダーコートでおなじみ、カーベック(愛知県)の駐車場で行った今回の作業。ショップや工場向けの人気商品・スプラッシュショットで、高性能リヤショックを洗浄するができた。見た目は別物の美しさに。
脱脂洗浄剤を混ぜたお湯で強烈に洗浄するのがスプラッシュショット。グリスが詰まったベアリングでも、内外輪を押さえれば、グリスのみを溶かして吹き飛ばし、クリーニングできる。
あっという間に美しく仕上がった高性能リヤサス。普段の走行においては、ドロや砂利が研磨材になって、部品を傷だらけにしてしまうことも。雨天走行後は、高圧洗浄機を使って外部からリヤサスまわりを洗いたい!!
部品が美しくなっただけで、分解前とは大違いの印象だ。要所要所にグリスを塗布して組み上げた。タイロッドの調整でスイングアームのセット角度が変わり、リヤまわりの車高を調整できる仕組み。
リヤホイールとブレーキキャリパーまわりを復元する際にも、要所要所にグリスを塗布しよう。特に、リヤホイールアクスルへのグリス塗布はしっかり行おう。シャフトの白い粉は防錆不足の証だ。
ホイールのサイドカラーには、メーカー純正部品のスチール製部品が組み込まれていた。スチール部品はメッキの擦れでサビが発生してしまうので、表面に薄っすらグリスを塗布しよう。
自作のステップスタンドを取り外し、リヤショックまわりを動かすためにシートレールを地面へ向けて押し込む。作業前と比べて、リヤまわりがポンポンとスムーズに持ち上がるようになった!!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
製品の概要と価格情報 デイトナ(Daytona) オイルフィルターレンチ 96320は、カートリッジタイプのオイルフィルター脱着専用工具。仕様は14面 64mmで、ホンダ/ヤマハ/カワサキ向けのデイト[…]
原付バイクのオイル交換目安とは? 交換頻度のポイント 内燃エンジンにとって、潤滑/冷却/密封/清浄分散/防錆を担うエンジンオイルは、まさに血液とも言うべき重要なパーツです。 常に高温にさらされてエンジ[…]
バイクのドラムブレーキ「スパッ」と戻りますか? ブレーキの操作性ってバイクに乗るときの「気分」に影響しますよね? みなさんのバイクのドラムブレーキ、レバーを離した時に気持ちよくスパッ!と戻りますでしょ[…]
幻のモペット「ホンダホリディ」 昭和の時代、ホンダが開発したモペット「ホリディ」の正式名称は「ホンダホリディ」、型式はPZ50。1973年頃「ブーンバイク」というアイデアを基に、ホンダ社内のアイデアコ[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
目論見が大成功、ギネス級の生産台数を誇る初代 フォルクスワーゲンの初代ビートルはご承知の通り、ドイツの「国民車」として第二次大戦中にフェルディナンド・ポルシェ博士が設計したクルマ。 戦後は国内のみなら[…]
アンダー400並列二気筒の代表モデル 第一世代 GSと他3車は異なるモデルだった とりあえず第一世代としたけれど、’70年代中盤に登場した400ccクラスの4スト並列2気筒車の中で、日本の中型限定免許[…]
新作CB750K内覧でヨーロッパのトレンドを強く要求され追加した「F」デザインが世界中で大ヒット! 1969年にリリースされた、量産車では世界初の4気筒、CB750FOURから10年が経とうとしていた[…]
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ! 1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。 その名もCS90。当時は[…]
人気記事ランキング(全体)
注目RCブランドが名車を忠実に再現 「WPL JAPAN」は、森林や岩場などの悪路を走破できるスケールクローラーRCを展開するRCカーブランド。 通常は高額なスケールクローラーを、すぐに遊べるRTRセ[…]
新作CB750K内覧でヨーロッパのトレンドを強く要求され追加した「F」デザインが世界中で大ヒット! 1969年にリリースされた、量産車では世界初の4気筒、CB750FOURから10年が経とうとしていた[…]
新設計の502cc・4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ ホンダは、中国で開催された重慶モーターサイクルショーにて4気筒エンジン搭載の新型モデル「CBR500Rフォア(CBR500R FOUR)[…]
HONDA CB1000F Concept TeamCB & WITH ME やったぜ! CB1000F コンセプトのレースデビューウィン! 私が参戦したのはアイアンスポーツクラス。空冷・水[…]
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
最新の投稿記事(全体)
左右で違うイラストが楽しめる! ホンダは、サンリオの人気キャラクター「クロミ」ちゃんのかわいらしいデザインを施したモンキー125用の純正アクセサリー「“Honda × Kuromi” モンキー125用[…]
Dio110/ベーシック新車購入でトップボックスがもらえる! ホンダは、通勤や通学の強い味方であるDio110とDio110ベーシックの新車を購入したライダーを対象に、超太っ腹なプレゼントキャンペーン[…]
レース以前にサーキット入りで苦戦 前戦モビリティリゾートもてぎで見せた劇的な4位から3週間、9月12日と13日に全日本ロードレースの第5戦が大分県のオートポリスで行われた。 結果はレース1が7位、レー[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! アメリカ・カリフォルニア州ロングビーチで1947年に創業し、カーシャンプーやワックスをはじめ、数々のカーケア用品を世に送り出してきた「シュアラスター」。その名前を[…]
400ccのDR-Zが帰ってきた! モトクロス競技の主導権を4ストロークが握り始めて間もない2000年、公道市販車として産声を上げたのは水冷398cc単気筒を搭載するハイスペックなデュアルパーパスモデ[…]
- 1
- 2