
クロームメッキの表面には無数の穴があり、そこから浸入した水分によって下地が錆びて点サビとなる。NAKARAIが開発した「サビトリキング」「ミガキング」「メッキング」は、デリケートなクロームメッキのためのケミカルである。その特徴と使用時の注意点を記載したので、参考にしてほしい。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:NAKARAI
硬質クロームメッキも“最鏡”保護!
メッキのプロであるNAKARAIの「サビトリキング」「ミガキング」「メッキング」のトリプルキングは、クロームメッキのサビを事前に食い止め、発生したサビは軽度なうちに取り除くためのケミカルである。
点サビ除去に有効なのが、クロームメッキの下にあるニッケルメッキや素地のサビに反応する「サビトリキング」。通常の研磨剤は表面を擦るだけだが、これはサビ自体に反応するのが特長。強く擦る必要がないので、メッキに優しいのもポイントだ。
特殊なシリコーンでクロームメッキ表面にコーティング被膜を形成する「メッキング」は、メッキ表面とともにメッキの穴やクラックに浸透し、水分の通り道を埋めるのが特長。したがってサビが発生する前に塗布するのが望ましい。
装飾メッキはもちろんだが、メッキングはフロントフォークのインナーチューブやリヤサスペンションロッドの硬質クロームメッキにも有効だ。装飾メッキに比べて被膜が厚い硬質クロームメッキは、傷が付きにくく錆びにくい。
だが目に見えない穴やクラックは存在するため、点サビが発生するリスクはあり、オイルシールを傷めたりフォークオイル漏れの原因となる。メッキングは硬質クロームメッキに対する密着性も良いため、防錆効果が高いのだ。
クロームメッキはサビを発生させないことがもっとも重要だが、サビを見つけた際にはNAKARAIのトリプルキングで適切に対処しよう。
(左から)特殊シリコーン被膜でコーティングする「メッキング」(100ml・5980円)、傷をつけずに汚れを落とす「ミガキング」(180ml・2780 円)、クロームメッキの錆を落とす「デカキング」(260g・2980円)は、長年にわたりクロームメッキを施工してきたNAKARAI の知見を生かした独自開発のケミカル。
施工用の「史上“最鏡”クロス」と「汚れ拭きクロス」は、単品でも販売されている。
クロームメッキの汚れを取る「ミガキング」
ミガキングは、クロームメッキや鏡面ステンレス磨きに特化した超微粒子コンパウンド。付属の史上“最鏡”クロスは、とてもきめ細かく、汚れや埃を絡め取りながら拭き上げる効果がある。成分を均等にするため、ボトルをよく振ってからクロスに適量取り出す。
クロームメッキ部分をなでるように優しく擦って汚れを落とす。ミガキングが乾燥すると擦り傷の原因となるので、ウェット状態で作業するのがコツ。
指を添える程度でも汚れやくすみが落ちて、史上“最鏡”クロスが真っ黒になる。黒くなった部分は使わず、常にきれいな面で擦る。
短時間磨いただけでくすみが取れて、クロームメッキならではの光沢が回復した。研磨剤入りのクリーナーを使うと取り返しが付かないことになるが、クロームメッキ専用のミガキングなら安心だ。
クロームメッキの浅いサビには「サビトリキング」
クロームメッキの初期のサビは、ツブツブの点状に発生する。水拭きしても取れず、爪が引っかかるようなら下地から来ているサビだと判断して間違いない。メッキが剥離するほど進行すると取り返しがつかないので、できるだけ軽度なうちに対策しよう。
デカキング(サビトリキングの大容量版)には、クロームメッキの下のサビに反応して除去する成分が含まれている。擦り傷を付けにくい付属の汚れ拭きクロスにたっぷり取り出す。
強く擦ると細かな傷がつくので、表面を優しくなでる。また、クロスは常に新しい面で磨く。
点サビが初期のうちは、サビトリキングでほとんど目立たなくなる。研磨成分によって汚れも落ちるので、クロームならではの光沢がよみがえる。
表面を保護する「メッキング」
メッキングは、クロームメッキに無数に存在する穴やクラックを埋めて表面をコーティングする。塗布後5〜10分程度で初期乾燥が始まり、完全硬化まで24時間以内は水分がかからないようにする。
史上“最鏡”クロスに1〜2滴をたらして、10×10cm四方を目安に塗り広げる。重ね塗りで被膜が強くなるが、一度に厚く塗らないこと。
塗布量が多いと、フェンダー奥のような塗りムラ(虹ムラ)になる。このような場合は乾燥が始まる前にクロスで磨き落とす。
虹ムラが気になる外装パーツの装飾メッキは薄塗りが必須だが、防錆が重要なフロントフォークは厚塗りがおすすめ。ストローク部分の油分をパーツクリーナーで入念に脱脂洗浄を行ってから塗布する。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! 世界的に知られるプレミアムカー用品ブランド・シュアラスターが、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで創業したのは1947年のこと。以来、カーシャンプーやワックス[…]
Yoeyang 高圧洗浄機 場所を選ばず使える高圧洗浄機。本体わずか574gの業界最小最軽量(約20×7×18cm)ながら、8MPaの強力な水圧を発揮し、車やバイクの泥汚れや窓の隅など頑固な汚れも簡単[…]
ユーザーからのリクエストで開発! ホイールの鉄粉をスプレーひと吹きで溶解 バイク/クルマを問わず、ディスクブレーキでもドラムブレーキでも発生するブレーキダスト。制動時にブレーキローターやブレーキドラム[…]
赤サビの上から直接塗って黒サビに転換。愛車を守るBAN-ZIのラストロックシステム 【RUSTLOCK(サビ転換下処理剤)サビキラープロ】赤サビの上から直接塗ることで黒サビに変化する転換剤機能と、上塗[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
人気記事ランキング(全体)
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
トレリスフレーム+ユニトラックサスペンションの本格派 カワサキは欧州で、15psを発揮する水冷125cc単気筒エンジンをスチール製トレリスフレームに搭載し、前後17インチホイールを履かせたフルサイズス[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
高級感漂うゴールドカーキのデザイン 「IQOS ILUMA PRIME ゴールドカーキ」は、その名の通り落ち着いたゴールドトーンとカーキを組み合わせた洗練デザインが特徴です。手に取った瞬間に感じられる[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
最新の投稿記事(全体)
その姿、まるでハンターカブ×ミニトレ?! タイ仕様は新型に切り替わるとともにカラーバリエーション変更&グラフィックが変更された。 一方ベトナム仕様は、従来モデルを標準仕様として併売。この標準モデルはカ[…]
滑りにくさと耐久性を両立したソール設計 アシックスの安全靴「WINJOB CP113」は、油で劣化しにくく耐久性に優れたCPグリップソールを採用。濡れた床や油で汚れた現場でも安定したグリップ性能を発揮[…]
生産累計1億台、60周年の原点モデル 初代スーパーカブはホンダ創業の本田宗一郎氏と藤澤武夫氏が直接開発の先頭に立ったオートバイ。それに続く東南アジアのドリーム、WAVEなどを含む歴代スーパーカブシリー[…]
W230/MEGURO S1 デビュー応援キャンペーン 株式会社カワサキモータースジャパンが、2025年9月1日(月)より、全国のカワサキプラザにおいて「W230」および「MEGURO S1」の新車([…]
デビュー時は2スト125で敵ナシ状態! 1982年のヤマハRZ125が生んだムーブメントは、高速道路へ入れないマイナーな125スポーツだったのを、2ストの水冷化で通勤通学だけでなくレースへ興じる層が加[…]
- 1
- 2