製造から長い年月を経た絶版車はさまざまな綻びが生じるものだが、特に“バイクの顔”でもある燃料タンクのダメージは深刻。車体デザインの一部としても重要な燃料タンクは、錆びて穴が空いたからといって他機種用パーツを流用するというのも現実的ではない。販売終了となった純正パーツを復刻させる「廃番プロジェクト」に力を注ぐアドバンテージでは、絶版車の燃料タンク製造の検討を開始。具体的なことは未定ということだが、火のない所に煙は立たない!? 単なるリプロを超えた付加価値のある燃料タンクが待ち遠しい!
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:アドバンテージ
販売終了が続く絶版車純正パーツ事情に一撃。純正を上回るクオリティを目指す
バイクの燃料タンクは、プレスで成型されたパーツをつないで製造される。車体の中で重要度が増すほどデザインは複雑になり、素材や製法も進化してきた。しかしながらTIG溶接やシーム溶接で高熱が加わる部分をきっかけにしたサビを防ぐのは難しい。
絶版車オーナーにとってもどかしいのは、塗装済みのカウルや燃料タンクなどの外装パーツは、純正パーツの中でも比較的早期に販売終了となってしまうこと。タンクはサビが出やすい場所、穴が空きやすい位置が機種ごとに似通っているので、スペア部品のつもりで中古部品を入手したらまた穴が……ということも。
メーカーが販売終了とした純正パーツを復刻する「廃番プロジェクト」を推進するアドバンテージにとって、燃料タンクの製造はユーザーや絶版車業界にとって有益なのはもちろん、ブランド力を強化し存在感をアピールできる格好のテーマである。
一品モノならともかく、量産を行うならプレス用金型が必須で、メーカーの意匠権も考慮しなくてはならず、簡単に実現できる話ではない。だが同社の中西代表は、将来的には片面メッキ鋼板やアルミ素材を用いるなど、純正を上回る高い付加価値のあるタンク製造を実現したいと考えているそうだ。実が成るためには種を蒔かなければ始まらない。絶版車オーナーにとって進展が待ち遠しいプロジェクトとなるはずだ。
駆動系のカギとなるクラッチハウジング。カタナオーナー待望の復活パーツ
絶版車のクラッチハウジングは駆動系最大のアキレス腱といっても過言ではない。クラッチハウジングの溝をフリクションディスク外周の爪が叩くことで摩耗し、フィーリングが悪化。またクラッチハウジングと一体化されたプライマリードリブンギア間のダンパーゴム摩耗により、駆動力伝達時のガタが過大になる。
見ての通り、GSX1100Sカタナ系のハウジングは溝の外周が閉じた構造で段付き摩耗が修正しにくく、諦めて使用してるオーナーも少なくない。廃番プロジェクトで復刻できたハウジングは数量限定なので、1100カタナオーナーはすぐにオーダーしよう。
純正を超える材料と機能はもちろん、価格面でもインパクトのある製品化を目指す
絶版車にとって、燃料タンクデザインは純正に忠実であることが重要だが、完全コピーは難しい問題もある。対応方法としてキャップのエアプレーン化/外部ブリーザーの追加/素材の変更などが考えられるそうだ。
ニーズの高い絶版車から現行車までラインナップを検討中
燃料タンクはニーズの高い機種を優先し、アドバンテージが得意とするGSX750/1100S カタナを筆頭に、カワサキZ1/Z2やGPZ900Rニンジャ、ユーザーのカスタム意欲が高い現行Z900RSも候補としているそうだ。今後の動きに注目したい。
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