かつては国内メーカーも多数ラインナップしていたが……
【消えゆく国産Vツインエンジン】気がつけばスズキだけ!? 他にもたくさんあったのに……
- 2022/11/29 11:05
- ミリオーレ編集部
ホンダ 独自の位相クランク
ホンダ初のVツインはGL500の「縦置き」で、80度の挟み角から捻ったシリンダーなどかなり特異な存在だった。
一般的な横置きのVツインは1982年のアメリカンタイプのNV750カスタムが初出。こちらは45度の狭角Vだが、トピックは位相クランクの採用。バランサーを使わずに一次振動を抑制するホンダならではの技術で、この位相クランクは52度のVツインにも採用された。
ところがアメリカンは「適度な振動があった方が良い」という意見もあり、ホンダの45度・52度のVツインは位相クランクだけではなく、同軸クランクを採用するモデルもある。
ロングセラーのVT250シリーズやスーパーバイクレースにも参戦したVTR1000シリーズは90度で、こちらは理論上で一次振動ゼロなので同軸クランクのみとなる。
国内販売のVツインは2016年のVTR(250)が最終となるが、北米ではFURY(国内のVT1300CX)やシャドウ(745cc)が販売されている。
ホンダ 1982年 VT250F ~ 2016年 VTR
2ストロークのヤマハRZ250に対抗すべく、クラス初の4ストローク248cc水冷90度V型2気筒DOHC4バルブエンジンを開発。当時の純レーシングマシン並みに1万1000rpm以上も回った。マイナーチェンジやモデルチェンジを重ねたがエンジンの基本レイアウトを変えずに、最終モデルのVTRまで34年も生産された。
一時代を築いたV4マシン
ホンダは様々なVツインを輩出したが、V型4気筒も精力的に開発してきた。1982年にV4エンジンを搭載するワークスマシンRS1000RWを開発し、同年に市販モデルのVF750セーバー/マグナ、およびVF750F(写真)を発売。この後はレーシングマシンと市販車が補完しあってV4を進化させ、400/750ccクラスのスポーツモデルやレースにおいてもV4が大活躍。しかし2022年4月28日にVFR800FとVFR800Xが生産終了したことで、ホンダV4は姿を消した。
ホンダ 1983年 XLV750R
国産大排気量アドベンチャー(当時ホンダはランドスポーツと呼んだ)の草分け。エンジンは82年発売のアメリカンNV750カスタムの749cc水冷45度V型2気筒(位相クランク)OHC3バルブがベースだが、空冷のドライサンプ式に改良し、軽量・コンパクト化でオフロード性能を高めた。
ホンダ 2008年 DN-01
優れたスロットルレスポンスとダイレクト感を持つ、ホンダ独自のロックアップ機構付油圧機械式無段変速機「HFT」を搭載するスポーツクルーザー。トランスミッション以外のエンジン本体部分は680cc水冷52度V型2気筒(位相クランク)OHC4バルブで、NT700Vドゥービルがベースになる。
ヤマハ こだわりの空冷
ヤマハの水冷VツインはXZ550/400のみで、生産期間も非常に短かった。他はすべて空冷で、深い冷却フィンを設けたルックスも独特。排気量は125~1700(1670cc)まで幅広く揃え、挟み角も48、60、70、75度と多彩。とはいえ多くがアメリカン(クルーザー)用で、ロードスポーツはそこからの転用となる。
国内モデルでは現時点でBOLTが販売中だが、令和2年(平成32年)排出ガス規制に適合していないので現行モデルは22年10月をもって生産終了となる。ヤマハのVツインを入手するには、いまが最後のチャンスかもしれない。
V4搭載のVMAX登場!
ヤマハは1983年に1198ccの水冷70度V型4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する大型クルーザーのベンチャーロイヤルを発売。そのエンジンをベースに、高回転時に1気筒当たりツインキャブになって高出力を発揮する「Vブースト」システムを装備するVMAXが1985年に登場。ドラッグマシンを彷彿させる迫力あるフォルムと、当時最強の145馬力で大人気を博した。
ヤマハ 1992年 SRV250 1996年 ルネッサ
1988年に登場したアメリカンのビラーゴ250が搭載する248ccc空冷60度V型2気筒OHC2バルブエンジンを用いた、トラディショナルなスタイルのロードスポーツ。96年には外装を一新し、ディメンション等も変更したカフェスタイルのルネッサを発売。
こんな小排気量Vツインもあった
写真は1990年から台湾とシンガポールで販売されたFZ150。空冷Vツインは150ccで、6速ミッションを装備。レーサーレプリカ然としたフルカウルを装備したFZR150も販売。このエンジンは後に輸出モデルとして販売したアメリカンのXV125ビラーゴのベースとなった。