名古屋発でも2万円台で行ける! 絶景が待つ渋峠、1泊2日ツーリング完全走破ガイド

●文:[クリエイターチャンネル] 山崎陸
標高2172メートルに位置する渋峠は、長野県と群馬県の県境にあるバイクツーリングの聖地として名高い日本最高所の国道です。冬季は厳しい寒さになるため、4月末から11月中頃の限られた期間のみ開通しています。
そんな渋峠に、名古屋から1泊2日という若干ハードなスケジュールで訪れてみました。走行距離は、合計800kmほど。とても疲れましたが、息をのむような絶景は、その苦労以上の価値があります!この記事では、渋峠を堪能するためのポイントを、私の体験を元にお伝えしていこうと思います。
高速道路ツーリングプランでおトクに向かう
現地へなるべく早く、ラクに向かうには、やはり高速道路の活用が必須。とはいえ、出費はなるべく抑えたいところです。そこで注目したいのが、高速道路ツーリングプラン。
これはNEXCO東日本、中日本、西日本がバイク観光の促進と、高速道路の利用拡大を目指して展開しているサービスです。事前申し込みが必須なものの、ETCを搭載したバイクなら指定期間中、定額で高速道路を使い放題にできてしまいます。
名古屋から渋峠へのツーリングでは、NEXCO中日本の「中京圏 東名中央道コースミニ」が有効です。2024年4月1日から11月30日の期間中なら、連続する2日間で指定区間が乗り放題なんです。
今回私は、名古屋の一宮ICから高速に乗り岡谷ICで降りて、渋峠まで下道で向かうルートを使いました。このルートは通常、往復の高速代が5300円(片道2650円)かかりますが、このプランを使えば3600円と、1700円もおトク。しかも乗り降り放題なので、寄り道や降りるICを通り過ぎちゃった、なんてときも安心です。
名古屋発1泊2日 渋峠ツーリングのモデルコース
ここからは、実際に巡ったルートとスポットを基に、モデルコースを紹介します。
1日目:名古屋を朝出発し、上田市で泊まる
朝に名古屋を出て上田市に行く
私の最寄りの一宮ICから信州の玄関口・岡谷ICまでは2時間半程度かかり、そこから下道で長野県上田市まではトータル4時間ほど。7時くらいに出れば休憩を入れても、お昼時の12時くらいには上田市に到着できます。
一宮ICから岡谷IC区間は、中京圏 東名中央道コースミニの対象エリアです。高速の乗り降り自由なので、途中の寄り道も気分次第です。
上田市でご飯を食べ、周辺をツーリングする
上田市に到着したら、まず信州名物の蕎麦で腹ごしらえをします。信州では、冷涼な気候と豊かな自然が作り上げた風味の良い蕎麦が名物。9~10月ともなれば、新そばの季節です。
近くには、ビーナスライン、池の平湿原、鬼押し出し園と寄り道スポットも目白押し。朝早く名古屋を出発していれば、どこかしら1か所ついでに回るくらいの余裕はあるかと思います。
ビーナスラインは、標高2000メートル級の山々を縫うように走る観光道路です。爽快な走りを楽しめるこの道は、多くのライダーの憧れの地のひとつ。ビーナスラインは岡谷ICから上田市の間くらいにあります。
池の平湿原は、上田市から片道30kmくらいです。高山植物が咲き誇る湿原からは、浅間山の勇姿を一望できます。散策路も整備されていて、トレッキングシューズに履き替えずとも、気軽に楽しめます。
鬼押し出し園は、上田市から片道40kmほど。浅間山の噴火で形成された溶岩群が織りなす不思議な光景が楽しめるスポットです。
2日目:上田市を朝出発し、渋峠を通り草津に抜け、名古屋に帰る
朝8時ごろ上田市を出発し、昼前に渋峠に到着
朝8時ごろ上田市のホテルを出発します。上田市から渋峠までは下道で2時間ちょっとです。高速道路なら1.5時間で行けますが、中京圏 東名中央道コースミニの範囲外なので、追加で片道3000円ほど高速代がかかります。
長野県側から渋峠に到着します。私が向かった、10月20日時点では、真っ赤な紅葉に朝霜が降りてカラフルな様相の景色が迎えてくれました。それはもう、思わず息を呑むほどの美しさ。この時期だけの、特別な絶景です。0℃近くの寒さを押してきたかいがありました。
その後、道中の渋峠ホテルで休憩。お昼ご飯をいただきました。
群馬県側、草津に抜けて休憩したのち名古屋に帰る
帰りは群馬県側へ下り、草津に向かいます。標高差約700メートルを、何連もの連続するヘアピンカーブをクリアしていくルート。路面は全線舗装されていますが、多くの車が走ること、雪深い地域であることから、ひび割れもあるので注意して走ってください。広大な景色と草津の街並みを見下ろしながら、ツーリングを楽しみましょう。
渋峠ホテルから1時間弱走ったところにある、浅間酒造観光センターで少し休憩です。このお店は創業150年以上の老舗酒造である、浅間酒造が経営しており、お土産を買ったり、レストランで休憩したりできます。バイク駐車場が広く、ライダーにやさしい施設です。
その後は、名古屋への帰路に。山道を突っ切り、岡谷ICまで下道100km弱で2時間、さらに高速道路で一宮ICまで200km弱で2時間半ほど必要です。休憩も考えると、5.5時間はかかる心づもりでいましょう。特に、浅間酒造観光センターから岡谷ICまでの2時間かかる下道は暗くなると危険です。日の出ているうちに、突破しましょう。
名古屋発、渋峠ツーリングのポイントや注意点
上田市”上田菅平IC”から渋峠”信州中野IC”はツーリングプランの範囲外
上田市から渋峠は高速だと上田菅平ICから上越自動車道に乗り信州中野ICで降りて下道で行くのが一般的かと思います。でも、渋峠の長野県側の最寄りICの信州中野ICは、プランの範囲外。岡谷ICで降りるルートを選択したのは、少しでも節約するためでした。上田市で、観光することもできますし。
高速で行くと1.5時間、下道だと2時間くらいです。どっちで行くか迷うところですが、後述の通り山道は狭いところもあるので、心配な方は高速で向かいましょう。
非常に狭い山道が多い
山道は道によっては車がすれ違えないくらい細くなります。GoogleMapの最短ルートだと、狭い道を案内されるので要注意。須坂市から渋峠に抜ける県道66号線は、後半の10kmほどが非常に狭くなっていました。大型バイクでも行けないことはないですが、自信のない方は迂回しておきましょう。
秋でも油断せず、防寒着を準備
2024年10月20日の時点でも、0℃と木々に霜が降りるくらいの寒さでした。交通量が多いので、道路凍結はなかったとはいえ、この時期向かうなら、あたたかい冬装備は必須です。
横手山ドライブインでなく、渋峠ホテルに駐車しよう
渋峠で大きなドライブインは横手山ドライブインですが、バイク置き場が若干斜めで止めにくいこと、人が多くてバイクを止めにくいこともあって、少し群馬県側にある渋峠ホテルへの駐車が、おすすめ。お土産がおいていないこととトイレは食事した人だけ使用できることに要注意です。
1泊2日で渋峠はハードだけど、強行で行く価値あり!
この旅で使ったお金は、東名・中央道コースミニの3600円とガソリン代6000円、ホテル代1万円、飲食代5000円で、合計2万4600円ほど。ホテルや飲食を安くすれば2万円に納めるのも、難しくはありません。
ただ、名古屋から1泊2日はなかなかハードなスケジュール。2泊3日で計画すれば余裕を持って道中の観光地も満喫できそうです。
例年11月中旬には、冬季閉鎖を迎えます。2024年シーズン、滑り込みで行くか、それとも春を待つか、悩みどころです。どちらを選んでも、渋峠に行けば、感動的な景色があなたを待っていますよ!
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