
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
Youtubeの視聴者様から、AraiのCT-Zレビューしてほしいと依頼がありましたので、今回取り上げます。
CT-Zが登場したのは2012年と10年以上前ですが、現在も販売され続けている、日本では珍しいバイザー付きのスポーツジェットヘルメットです。
白バイが使っているヘルメットのベースになっていることでも有名です。まずはしっかりとディテールを紹介しつつ、実際にバイクで使ってレビューします。
CT-Zの付属品/カラバリ/価格

CT-Zの付属品は収納用袋と取扱説明書というシンプルなもの。
収納用袋は、裏起毛で縫い目を外側にするなど、塗装やシールドに対する配慮が見られ、入り口の紐を絞れば不意にヘルメットが飛び出すことはありません。
長さは斜め掛けするには少々短いですが、肩にかけるか、リュックのように背負って持ち歩くことができます。

取り扱い説明書は、メンテナンスや操作方法など、写真やイラスト入りでわかりやすく解説されており、内装の互換性表記なども掲載されています。
カラーバリエーションに関しては単色のみで、シルバー/ブラック/艶消しブラック/ホワイトの4色。価格は5万600円です。

規格に関してはPSC/SGの他にSNELL規格も取得しています。
CT-Zのデザイン

衝撃を受け流すことを目的としたARAIらしい滑らかフォルムが特徴で、風を取り入れるためのベンチレーションパーツが追加されることで、スポーティーな印象を強めています。

特に後頭部上部に配置されたエアアウトレットは、スタビライザーの効果を期待させるような構造で、下部に関しては車のマフラー部のようなデザインが採用されています。

以前に紹介したVZ-RAMと比べると、頬の部分が前の方までしっかり長く、リブを追加することで強度を確保しています。

滑らかなフォルムの本体に対して、バイザーに関しては角張ったデザインが採用されていて、帽体との隙間を大きめにすることで、風の抵抗を減らす狙いがあるようです。
CT-Zの機能性

バイザーを備えたヘルメットですが、シールドは上まで開けることが可能で、勢いよくシールドを開けると多少バイザーと干渉しますが、裏側には傷を防ぐための素材が貼られています。

バイザーとシールドは併用することが前提で設計されているため、いずれかのみを外すことはできず、取り外しする際には左右のボルトをコインやコインドライバーを使用します。※500円硬貨を推奨

シールドは不意に開かないように左耳下の突起でロックされるようになっており、左手で少し外側に広げながら開閉します。

曇り止め用のピンロックシートの装着にも対応。実勢価格2600円前後で販売されており、強力な曇り止め効果があるので、余裕があれば追加しておきたいところ。

シールド上部には風を取り込むためのベンチレーションが用意され、額あたりの風を取り込めます。

シールド下部にはリブが設けられており、強度を確保しつつ走行風を左右に受け流してくれそうです。

シールドを開けてみると、内装と帽体の隙間を埋めるようにプラスチックパーツが追加されていました。こちらは風の侵入を防ぎ、風切り音を減らすためのウインドシールエッジという機構です。

ベンチレーションに関しては、シールドの他に頭頂部左右に1か所ずつ。ボタンはシーソー式なので,
グローブをつけたままでも操作しやすそうです。

アウトレットは、常時開放の後頭部下側2か所と、ヘルメット下側に2か所。さらに上部に開閉式が1か所ありますが、スタビライザーのようなパーツがついているので、常時開けていても雨などが入ることはないでしょう。

顎紐に関しては軽量なDリングを採用。インカムは剛性を出すためのリブが下淵にあるので、両面テープよりクリップタイプの方が良いでしょう。
CT-Zの内装

トップ/チークパッド左右/顎紐カバー左右の5点すべてが取り外し可能。後頭部下側にレイアウトされたクッションだけが残る形になります。
肌が触れる面の素材には速乾性のある素材を採用することで、汗をかいてもベタつかず快適です。

トップ内装はボタン4点で簡単に脱着可能で、クッション性もバッチリ。
頭頂部のパットがフローティングしていて、ベンチレーションの風を取り込みやすいように隙間も用意されています。
説明書を見てみたところ、サイドには5mmの調整用パッドが入っていて、剥がすことでサイズの調整が出来るようです。

チークパッドはかなり厚く、カバーを外してみると一番外側には衝撃吸収ライナーが貼られ、内側にレイアウトされたベース板をスプリング材で押すことで、頬の下までフィットし、ヘルメットの脱着を楽にします。
さらに一番内側には5mmの調整用パットが貼られており、これを剥がすことでサイズ調整が可能です。

耳回りのカバーをはがしてみると、グレーのクッションに切り込みが入っています。カッターなどで切り込みに沿って剥がすことで、インカムのスピーカーが収まるようになっています。

顎紐カバーはボタン式で取り付けもらくらく。見た目に配慮し、外側は合皮素材が採用されています。
CT-Zの重さ

CT-ZのMサイズ、ホワイトの重さを測定したところ1522gでした。
一般的なスポーツジェットと比べると少し重いのは、バイザーが装着されているからでしょう。
※ヘルメットは製造時に重さに誤差が発生します。単色とグラフィックモデルだと塗料やデカール量が多くなるので、後者の方が重くなる傾向があります。
CT-Zのフィット感

筆者はARAI/SHOEI/KabutoいずれのヘルメットもMサイズ。CT-Zに関してもMサイズを被ってみたところピッタリでした。
チークパッドはフルフェイスと同じぐらい頬全体にフィットしますが、頬が潰れるほどではなく、インカムなどの通話ストレスはないでしょう。
もし少しきついと感じた場合に関しても、左右5mmずつは調整できるので安心です。
CT-Zを被ってレブルで走ってみた

今回は試乗用に借りたレブル250Sエディションに乗って性能をチェック。
走り出してすぐに「涼しいのに静か」ということに感動しました。ベンチレーションを開けず、シールドも全閉にした状態でも涼しく感じるのは、巻き上げの風が入ってくるから。
下道60km/hぐらいまでの走行では、口元ぐらいまでは風が入ってきますが、涼しく感じるものの風切り音はありません。
一般的に、巻き上げが入ってくれば風切り音が発生するものですが、帽体と内装の間にレイアウトされたウインドシールエッジのおかげで静かです。
視界はバイザーの先端とチーク部分が少し入りますが、それでもフルフェイスと比べれば圧倒的に広いのでご安心を。

しばらく走行してベンチレーションを開放してみましたが、すべてのベンチレーションが開けやすく、走行中の操作も可能です。
ベンチレーションの効果は相当なもので、下道でも前の方から後頭部までしっかりと風が抜けていくのを体感することができます。加えて巻き上げの風も入ってくるので、真夏でも涼しく感じるでしょう。

高速道路も走行してみましたが、バイザーが風の抵抗を感じることもなく快適。重量バランスが前に偏ることはなく、数値よりも軽く感じます。
左右に頭を振ってレーンチェンジする際だけは、少し頭が後ろに押されるような感覚がありました。
動画でのレビューはこちら
涼しいヘルメットが欲しいならお勧め
ジェットヘルメットについては、基本的に巻き上げの風が入ってくる=うるさいという印象でしたが、CT-Zはそんな観念を打ち崩すヘルメットでした。夏場は暑いし、涼しいヘルメットが欲しいというライダーにはお勧めです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヘルメット)
とにかく目立つサイケデリックなカラーを使った新たなグラフィック 新しいグラフィックは、風の流れあるいはゼブラ模様にも見える流線の組み合わせをカラフルに仕上げたモデルだ。アライヘルメットによれば「オフロ[…]
バイクファッションブランド『ロアーズオリジナル』とのコラボレーションモデル第2弾が登場 このたび発売される『TX-STRADA ROARS』は、2020年に発売された『RAPIDE-NEO ROARS[…]
ヨーロッパの伝統建築や美術をモチーフとした新グラフィック かなり込み入ったグラフィックが描かれた新製品オルロイは、チェコの首都プラハの旧市庁舎の塔にある天文時計をモチーフとしている。時間を表示するだけ[…]
念願のWYVERNシリーズ最新作の登場だ! ついに復活を遂げて、新発売となったSHOEI「ワイバーンØ」。歴代ワイバーンシリーズを愛用してきた筆者としては、どんな進化を遂げたのが期待しかない。そこで、[…]
ISHINO SHOKAI Small John Jet(MAX-308) 商品概要 ISHINO SHOKAI(石野商会)の「Small John Jet」シリーズ(型式MAX-308)は、SG規格[…]
人気記事ランキング(全体)
11/1発売:カワサキ Z250 カワサキ「Z250」はニンジャ250と骨格を共有するこの軽二輪スーパーネイキッドは、アグレッシブな「Sugomi」デザインを継承。軽さと力強さを併せ持つ本格的スーパー[…]
薄くても温かい、保温性に優れる設計 GK-847は、ポリエステル素材をベースとしたサーマル構造を採用しており、薄手ながらも高い保温性を実現している。厚手のウインターグローブの下に装着しても動きが妨げら[…]
厳冬期ツーリングで感じる“インナーの限界” 真冬のツーリングでは、防寒ジャケットやグローブを重ねても、冷えは完全には防ぎきれない。風を受け続ける上半身は体温が下がりやすく、体幹が冷えることで集中力や操[…]
長距離や寒冷地ツーリングで感じる“防寒装備の限界” 真冬のツーリングでは、重ね着をしても上半身の冷えは避けにくい。特に風を受ける胸や腹部は冷えやすく、体幹が冷えることで集中力や操作精度が低下する。グリ[…]
より高度な電子制御でいつでもどこでも快適な走りを!! 【動画】2026 CB1000GT | Honda Motorcycles ホンダがEICMA 2025にて発表した「CB1000GT」は、「Hi[…]
最新の投稿記事(全体)
世界初公開! 3タイプのEVバイクが未来の二輪車シーンを牽引する!? 10月30日(木)から11月9日(日)まで東京ビッグサイトにて開催されている「ジャパンモビリティショー2025」。ヤマハのブースで[…]
革新メカERC装備の本格アドベンチャー EICMA2024、そして今春の東京モーターサイクルショーでも展示された「Concept F450GS」が、EICMA2025で正式モデル「F450GS」として[…]
風のように静かで、1000㏄並みにトルクフル! ホンダは昨年のEICMA2024で「EV Fun Concept」を出展したが、今回のEICMA2025では「WN7」を発表。基本スタイルは踏襲するもの[…]
今回は、BMCの最新モデル「防風ジーンズ・ボア」2025年モデルがターゲットだ!! 先日、弊誌が「週刊○○」のようにBLUE MONSTER CLOTHING(以下:BMC)のローリー青野氏を追尾して[…]
点火トラブルって多いよね 昔から「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」の三大要素が調子の良いエンジンの条件として言われておりますが、それはそのまま調子が悪くなったバイクのチェック項目でもあります。その[…]
- 1
- 2


































