Kabuto最強の静粛性フルフェイス F-17実走レビュー
F-17の機能性
レースを想定しているだけあり、帽体はなんとFRPを基調とした5層構造になっており、チンガード部分も高強度有機繊維を採用しています。ケブラーなどで知られるアラミド繊維も高強度有機繊維の一種なので帽体全体の強度をしっかりと確保しています。
シールドは最近レーシングモデルを中心に採用が増えているセンターロック式。苦手な人も多いですが、転倒時などに不意に開閉することを防ぐ機構なので、今後増えていく可能性は高いでしょう。
ベンチレーションは頭頂部3か所、口元に2ケ所用意されています。頭頂部左右のベンチレーションはコーナリング中でも直進時と同様に風が入ってくるように設けられているのだとか。
サイドに関しては下にスライド、頭頂部に関しては上にスライドで開ける形なので意識しないと間違えてしまいそうです。
またサイドのベンチレーションのノブは小さめなので、操作性が気になりますが、この点は後ほど試乗しながらチェックしようと思います。
口元は左右に2ケ所のベンチレーションが用意されていますが、こちらはノブも大きめ。主にシールド方向に空気を誘導する設計ですが、口元にも流れるようになっています。
インカムはライナーとシェルの間にあえて隙間を作ってありクリップタイプが装着しやすいようになっています。シールドベースの下あたりはエッジが効いていて両面テープでの取り付けは厳しそう。どうしても両面テープが良ければ少し後ろなら大丈夫でしょう。
顎紐に関してはDリング式。
最近国内ヘルメットメーカーが積極的に取り入れている、緊急時に救助者が素早くヘルメットを脱がせるためのエマージェンシーシステムも採用されています。
内装
内装はトップ、チークパッド左右、顎紐カバー左右、それとインカム用のスピーカーホールカバーが用意されています。
内装素材はクールマックスが採用されており、汗をかいても素早く吸収し早く乾くためにサラサラな状態を保つことができます。
更に肌が当たる表地には制菌加工がされているので、匂いが発生しにくくなっているのもポイント。
トップ内装を見てみると、表側に差し色で赤が入っていて、ハニカム上のパターンを採用しておりレーシーな雰囲気を感じます。
今回お借りしたMサイズは一番コンパクトな帽体の中では内装が一番薄くなっているはずですが、それでも充分なクッション性を感じます。
チークパッドもトップ同様に赤い差し色が入っていますが、更に被り口の部分には赤いパイピングや合皮を採用するなど質感を高めています。
またこめかみ部分に関しては内装が一段薄くされていて眼鏡ライダーにも配慮しています。
スピーカーホールの直径は43mmぐらい。深さは場所によって異なりますが、最大5mm程度となっています。
スピーカーの配線用の窪みも用意されておりインカムはスマートに装着できる環境が整っています。
F-17の重さ
ヘルメットは塗装などによって個体差があり重さに誤差が発生します。またグラフィックモデルは単色に比べて使用する塗料やデカールの量が多くなるので重くなります。
今回重さを図ったのはF-17のホワイトMサイズ。オプションはチンカーテンのみ装着しました。
測定結果は1632g。今まで被ったことがあるレーシングヘルメットだとLS2のカーボンモデルは1396g。SHOEIのX-15は1514gでした。
比べると少し重いですが、レーシングモデルはエアロパーツが大きめなので重くなる傾向があります。
一般的なレーシングヘルメットと大きく重さは変わらないと思って良いでしょう。
F-17のサイズ感・フィット感
筆者はArai、SHOEI、KabutoのいずれもMサイズ。普段愛用しているSHOEIのヘルメットは前後にクッションを少し追加してもらっています。
今まで使ったことがあるKabutoヘルメットとF-17のサイズ感は変わらない印象です
ただ今までのKabutoヘルメット中で被り口が一番狭かったので、顎紐をしっかりひっぱりながらでないと被れませんでした。
またチークパッドもきつめで圧迫感があります。内装が馴染むまではインカム通話などの際は喋りにくそうです。
走行して感じたこと
試乗した日の天気は晴れ、風強め、YZF-R3を相棒にF-17を使ってみました。
最初に感じたのは驚異的な静粛性。過剰な表現ではなく「驚異的」に静かです。風が強い日は静粛性の違いを感じにくいものですが凄い。
試乗日にはピンロックは装着せずに走行しましたが、信号待ちの度にシールドがかなり曇ってしまいました。
ノーズガードが比較的コンパクトなのが原因かもしれません。ピンロックを装着すれば解決しますが、大型のノーズガードもオプションで用意されています。
ノーズガードが比較的コンパクトな事もあり、視界はフルフェイスにしては広めなので、圧迫感が苦手な人にとっては嬉しいポイント。もちろんシールドに歪みはありません。
しばらく走った後にベンチレーションを開けてみようとしましたが、口元は簡単に開けれたものの、頭頂部の3か所は場所がわかりませんでした。
中央のベンチレーションは想定より後ろ側にあり、一度開けた後は問題なく開閉できるようになりましたが、サイドに関してはミラーを見ながら開けました。
また予想通りノブのサイズが小さいためグローブをした状態で開けようとすると少しコツが必要になります。3シーズングローブでしたが、中綿入りウインターグローブだと手間取りそうです。
肝心の効果は頭頂部センターのベンチレーションの流入量が多く、下道を低速走行している時でもしっかりと風の流れを感じることができます。ただサイドに関しては開けても大きな違いは感じませんでした。
コーナリング中も直進時と同じぐらいの流入量を確保するという事なので、直進中はあまり効果を感じないのかもしれません。
空力に関しては高速道路を法定速度で走っているぐらいではスポーツタイプのフルフェイスヘルメットだと違いを感じにくいところもありますが、ウェイクスタビライザーとクレストスポイラーのお陰で風が強い日でも安定感があります。
Kabuto最強の静粛性とベンチレーションが魅力
今まで使ってきたKabutoの他のフルフェイスモデルと比べて明らかに静粛性に優れており、頭頂部センターのベンチレーションが優秀なので夏場でも蒸れることがありません。
レーシングヘルメットですが、インカムをしっかり想定しており使い勝手もバッチリ。
今は供給が追い付いていないとの事ですが、期待を裏切らない性能です。ディテールの質感も高いので所有欲も満たしてくれるでしょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
Kabuto独自の最新空力技術を採用した『F17』が2023年もMotoGPに挑む! アレイシ・エスパルガロは1989年7月30日生まれ、スペイン出身の33歳。すでにベテランで2スト250ccクラスを[…]
使い勝手に磨きをかけ、トータルバランス向上 '17年に登場したエアロブレード5は、公道スポーツ向けのフルフェイス。軽量コンパクトな帽体と抜群の空力性能で人気を博した。筆者も気に入り、被っていたモデルだ[…]
総合トップはドゥカティ3年目のルカ・マリーニ! 3日間に渡って開催されたオフィシャルライダーのセパンテストが終了。3日目トータルで速さを見せたのはドゥカティ、最終日もドゥカティ&アプリリアが圧倒的な速[…]
出力アップはもちろん、空力&ライドハイトデバイスにより最高速は伸び続ける 最新のMotoGPマシンは、300psに迫る(クランク軸だと超えている?)パワーを出しつつ、そのパワーを空力デバイスと電子制御[…]
MotoGPのカテゴリー、マシンが変わっていく 2022年、空力デバイスはフロントカウルのみならず、リヤのシートカウルにも発展。ドゥカティは恐竜の背中のようなシートカウルをサマーブレイク明けのMoto[…]
最新の関連記事(Kabuto)
MotoGPがいよいよ開幕! プレシーズンテストや体制発表会の情報が続々と舞い込み、中にはSNSで2024年仕様のヘルメットを公開するライダーもちらほら現れていたので、レースファンの筆者としては、胸の[…]
SHOEI EX-ZERO MM93コレクション・マスター カブト リュウキ ビーム クシタニ スーパーテックR2×プロトコアレザーモデル ワイズギア 2023鈴鹿8耐ハット ヨシムラジャパン Dax[…]
ツアークロスの最新作!〈アライヘルメット ツアークロスV〉 帽体はオンロード寄りの丸みを帯びた形状で、額にはアストロGXと同様のフロントロゴダクトを装備。バイザーとシールドがワンタッチで脱着でき、アド[…]
システムヘルメットの草分け〈SHOEI NEOTEC II〉 フェイスカバーやシールドが帽体と重なる部分をシェイプし、開閉しやすく2段にロックできるフェイスガードや、優れたベンチレーションなど安全性や[…]
アライヘルメット VZ-RAMスノードーム SHOEI X-Fifteenマルケスダズル カブト F-17フォルテ BMW Motorrad GSカウィールGTXスニーカー ナイトロン ’22ヤマハX[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
バイクのスピード感をイメージさせる象徴的なグラフィックモデル登場 ネオテック3のグラフィックモデル第3弾となるアンセムは、バイクを走らせているときに感じる風を思わせる、スピード感ある模様が特徴だ。ブラ[…]
バイクのパーツと“夜行”をポップアートに描いたホットでクールなグラフィックモデル Z-8 ヤギョウは、ネオンカラーなどの極彩色で彩られた現代ポップアートなグラフィックが特徴だ。グラフィックにはタイヤと[…]
第1位:X-Fifteen[SHOEI] 2024年10月時点での1位は、SHOEIのスポーツモデル「X-Fifteen」。東雲店ではスポーツモデルが人気とのことで「とにかく一番いいモデルが欲しい」と[…]
半ヘルで普通自動二輪車を運転すると交通違反? 「126cc以上のバイクを半ヘルで運転するのは違反」という話をよく耳にしますが、じつを言えばそれは正しくありません。乗車用ヘルメットについて記載された道路[…]
4タイプの特徴/メリット/デメリット フルフェイス型 ジェット型 システム型 アドベンチャー(ADV)型 用途にベストなヘルメットはコレ! サイズ選びとアゴ紐の締め具合もしっかりと 各ヘルメットが持つ[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかった[…]
Vストローム250SX[59万1800円] vs Vストローム250[66万8800円] 2023年8月に発売された、スズキ自慢の油冷単気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデル「Vストローム250S[…]
トラコン装備で330ccの『eSP+』エンジンを搭載、スマホ連携5インチTFTメーターを新採用 シティスクーターらしい洗練されたスタイリングと、アドベンチャーモデルのエッセンスを高次元で融合させ人気と[…]
第1位:X-Fifteen[SHOEI] 2024年10月時点での1位は、SHOEIのスポーツモデル「X-Fifteen」。東雲店ではスポーツモデルが人気とのことで「とにかく一番いいモデルが欲しい」と[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
最新の投稿記事(全体)
暑いけど宮ヶ瀬し〜。私のアイアン、最高ー! YouTubeの企画で免許を取得して以来、仕事でもプライベートでもバイクに乗ることが多い朝山すずちゃん。夜は星空や海を見に出かけたり、昼はオシャレなライダー[…]
タイヤを固定し“マウントヘッド”を回転させる 本記事で紹介するタイヤチェンジャーは、じつは以前から製品化されていたのだが、実際に使用したユーザーの意見やアドバイスを受け、それらを反映したマイナーチェン[…]
APトライク125の積載量に興味アリ! APトライク125の特徴といえば、おもに下記の4つが挙げられます。 乗っていて面白い 雨に濡れにくい 税金が安い 3人乗りができる さらに加えるなら、「荷物がい[…]
全日本ロードレースのJ-GP3クラスに参戦中で、ヤングマシン本誌でも試乗企画「いつもバイクで!」を好評連載中の岡崎静夏さん。バイク&レース好きの人気者である彼女が、ヤングマシンが始めて開催するオンライ[…]
私はヤマハPCXでUber Eats配達員をやっています。3000回ぐらい配達してきましたが、いつしか「ピザ屋やハンバーガー屋などのデリバリーいいなぁ」と思うようになっていました。なにせ彼らの相棒は、[…]