
●文:[クリエイターチャンネル]Peacock Blue K.K.
喫煙しながらの走行は違法じゃないってホント?
近年では、喫煙による健康被害のリスクが叫ばれており、飲食店やショッピングモール、オフィスなど、ありとあらゆる場所が禁煙となっています。屋外でも喫煙できる場所は限られ、都心部では、歩道の端に専用の喫煙ブースが設けられている様子が多く見られます。
これは、2020年4月1日から改正健康増進法が施行され、冒頭で述べたように屋内施設での喫煙は原則禁止となったことが要因となっています。また、学校や病院といった施設でも敷地内の喫煙が禁止とされ、日本国内では、喫煙できる場所がかなり少なくなっています。
一方、道路に目を向けてみると、タバコを吸いながらバイクやクルマを運転しているドライバーもゼロではありません。昔に比べて少なくなっているものの、クルマの窓から手を出してタバコを持っていたり、バイクや原付を運転しながらタバコをくわえていたり、そうしたドライバーがいるのも事実です。
タバコを吸いながらの運転は非常に危険です。また窓を開けて吸う場合、副流煙や灰が飛ぶなど他の人にも迷惑をかけることになります。
では、バイクでの喫煙は禁止されていないのでしょうか?
実は、国が定める法令には、バイク運転中の喫煙について記載している条文はありません。そのため、違反としては取り締まりを行えないのが実情となっています。
ただ、SNSでは「タバコの灰が飛んでくるのが不快」「運転中の喫煙やめてほしい」など、度々運転中の喫煙マナーに関して言及されています。
運転中の喫煙が間接的に取り締まりを受ける法令としては、道路交通法第70条の“安全運転の義務”が挙げられます。
ここでは「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とされています。
当然といえば当然ですが、ハンドルを確実に操作するには両手でしっかりとハンドルを握っておく必要があります。クルマはもちろん、バイクは左右のハンドルのバランスを取りながら運転する必要があるためなおさらです。
一概にすべてのケースで検挙されるとは言えませんが、例えば、“おにぎりを食べながら運転する”といった片手運転も、安全運転の義務に違反する行為とされています。タバコを手に持ったままの運転は、万が一のトラブルにも咄嗟に対応できず危険なため、行わないようにしましょう。
地域によっては条例を定めているケースも
また、地域によっては条例でバイク運転中の喫煙を禁止にしているところもあります。
例えば、東京都足立区の「足立区歩行喫煙防止及びまちをきれいにする条例」では、歩きながらタバコを吸う“歩行喫煙”が禁止されており、足立区は歩行喫煙の中に「自転車、バイク等の運転中も含む」と説明しています。
さらに、大阪府大阪市でも「大阪市路上喫煙の防止に関する条例」として喫煙に関する条例を定めており、自転車等の運転中の喫煙を禁止しています。
大阪市では、「『自転車等』とは、道路交通法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車、同項第11号の2に規定する自転車並びに同法第3条に規定する大型自動二輪車及び普通自動二輪車をいう」と定義しており、原付やバイクで走行しながらの喫煙も禁止されています。
こうした条例を定めている地域は全国的に非常に多く、具体的には自身の居住する地域の条例を確認する必要がありますが、基本的にバイクで走行している場合の喫煙は禁止されていると捉えるのが良いでしょう。
また、自身の居住地域で運転中の喫煙に関する条例が見当たらなかったとしても、市区町村を跨ぐ移動の際には、走行地域の条例に従う必要があるので注意が必要です。
〈補足〉ポイ捨ては絶対厳禁!
ちなみに、各地域の喫煙に関する条例では、タバコの吸い殻の捨て方についても厳しく言及されているケースが多く見られます。
例えば、先ほど挙げた足立区の条例では、禁止事項のひとつに「空き缶、紙くず、吸い殻などのごみのポイ捨て」を定めており、もし違反した場合には、2万円以下の罰金を科すとしています。
たばこのポイ捨ては火事を引き起こす危険性もあります。たばこの吸い殻は自分で持って帰るか指定の場所に捨てるようにしましょう。
また、大阪市では、先ほどの条例と別に「大阪市空き缶等の投げ捨て等の防止に関する条例」を設けており、「何人も、道路、広場、公園、河川、港湾その他の公共の場所にみだりに空き缶等を投げ捨ててはならない」としています。
“空き缶等”には、タバコの吸い殻も含まれており、いかなる場合でも公共の場にタバコの吸い殻をポイ捨てすることはできません。
罰金は設けられていないようですが、吸い殻を捨てられた施設や土地の管理者は、ポイ捨てした人に対してゴミの回収などの必要な措置を求めることができ、それに従わなかった場合には、市長の権利によってその旨が公にされる可能性もあります。
罰則やペナルティの有無に関わらず、地域の環境保全のためにも絶対にポイ捨ては行うべきではありません。たとえ、喫煙が許されたエリア内であっても、吸い殻は自身の責任として正しい場所に捨てるようにしましょう。
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