【ビギナーQ&A】バイクってハザード搭載しなくてもいいの? 意外に知らないハザードの正しい使い方
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
バイクってハザードの搭載義務はないの? ハザードの意味は?
道路で道を譲ってもらった際に、“ありがとう”の意味を込めてハザードを利用するライダーも多いでしょう。“ありがとう”を意味するハザードの使用は「サンキューハザード」とも呼ばれ、多くの運転者にとって慣例的な使い方となっています。
さて、クルマの場合はすべてのモデルにハザードが搭載されていますが、バイクではモデルによって、ハザードがついていないものがあります。
ハザードは正式名称を「非常点滅表示灯」と言い、道路運送車両の保安基準では、バイクへの搭載について下記のように規定されています。
「自動車には、非常点滅表示灯を備えなければならない。ただし、二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、幅0.8メートル以下の自動車並びに最高速度40キロメートル毎時未満の自動車並びにこれらにより牽引される被牽引自動車にあっては、この限りでない」
つまり、クルマにはハザードの搭載義務がありますが、バイクには搭載義務はありません。そのため、ハザードを搭載するバイクと、搭載しないバイクが存在するのです。
そんなハザードの使用方法は、道路交通法施行令第18条「道路にある場合の灯火」において、「自動車は、法第52条第1項前段の規定により、夜間、道路の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない」とされています。
しかし、この場合の“自動車”は「大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く」とされており、バイクは含まれていません。
とはいえ、バイクのハザードの使い方が完全に自由というわけにはいかないでしょう。厳密に言うと使用方法は定められていないことになりますが、非常点滅表示灯の名の通り、クルマと同様に周囲に自車の存在を認知させるものとして、緊急時に活用するのがベターです。
「ありがとう」を伝えるコミュニケーションツールのひとつとしてハザードを使用したくなることもあると思いますが、ハザードはあくまでも緊急時に活用するものであることを理解し、むやみに使用するのは控えたほうが良いでしょう。
大型バイクにハザードの搭載が多いのはなぜ?
ハザードが搭載されているバイクには、排気量の大きい大型モデルが多く、これには高速道路の走行の可否なども関係していると考えられます。
万が一、高速道路を走行中にバイクが故障してしまった場合、路肩に停車してレッカーなどの対応を待ちます。当然ですが、高速道路上では高速域で自動車が走行しており、もし停車中のバイクと接触したらさらなる被害を呼びかねません。
先ほども述べたように、ハザードには自車の存在を周囲に認知させる効果があるため、こうした緊急事態にはハザードを使用するのが有効的です。
そもそも、バイクでは総排気量が125ccを超えていないと高速道路を走行することができません。こうしたことから、排気量がある程度大きいバイクにハザードが搭載されている背景のひとつには、高速道路での走行も見越しているという点が挙げられるでしょう。
“サンキュークラクション”にもご注意!
ちなみに、「ありがとう」を伝える方法として、軽くクラクションを鳴らす人も見かけます。クラクションはクルマもバイクも共通で全車に搭載されていますが、使い方の決まりはないのでしょうか?
クラクションは正式名称を「警音器」と言い、道路交通法54条において「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」とされており、警音器を鳴らすべき場合については次のふたつが挙げられます。
- 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
- 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
つまり、「ありがとう」を伝えるために鳴らすクラクションは、法令違反とみなされる可能性が高いということです。ハザード同様に使用方法を改めて認識し、誤った使い方をしないように注意しましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(Q&A)
[A] 人間の感性に馴染みやすい“乗りやすさ”も条件のひとつ 「このバイク、格好いい!」 だから欲しくなるし、乗りたくなる! 大事なことですよね。そして、そのバイクを手にしたときの満足感は、たまらない[…]
[A] 吸気系の進化で登場した電子デバイス ハンドルのスロットルグリップ(アクセル)を手前にひねれば、エンジンの回転が上がって加速してスピードが出る。反対に戻せば減速が始まり、回転が下がってスピードが[…]
[A] 停車寸前の“身構え”を常に意識しよう バイクに乗り始めた頃に、誰もが経験する苦い思い出のひとつ。それが“立ちゴケ”ですね。 いまだにボクもたまにしてしまうこともあります。大事な愛車を傷つけてし[…]
[A] ハードなブレーキングをイメージしすぎ? ちょうど良い速度まで減速するコツは… MotoGPなどのレースでは、ハードなフルブレーキングで、マシンの後輪が浮いているスローモーション映像が流れること[…]
路面追従性を良くするために、フワつかないよう押さえる減衰性能は必要不可欠 サスペンションとは、装着されているスプリングが路面からの衝撃を吸収する、つまり“乗り心地を快適にするための装置”というのが、基[…]
人気記事ランキング(全体)
※2024年3月にWEBヤングマシンで大きな反響を呼んだ記事をあらためて紹介します。こちらは第2位の記事です(初公開日:2023年9月27日)。 ペットボトルがあればオイル交換に勝てる! いきなり結論[…]
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
気筒あたり8バルブ、2本のコンロッドを備え、シート下2本出しマフラーはタンブリーニも参考にしたという…… ホンダのドリームバイクといって思い浮かべるのはどの機種だろうか。2015年のRC213V-Sも[…]
見晴らしがいい! オンロードバイクとアドベンチャー/オフロード/クロスオーバーなどの大きな違いのひとつは、走破性をよくするために車高が高くなっていること(最低地上高も同時に高まる)だろう。加えて、ステ[…]
どうも、アイキョウです。今日はワークマンの防水シューズハイバウンスレインをご紹介します。 ワークマンシューズ限定で販売されているトレックシューズアジムが注目されていますが、全国で40店舗ぐらいしか取り[…]
最新の投稿記事(全体)
世界的に見ても、信号機や自販機などの公共物が多いと言われる日本。内閣府が公開している内閣白書によれば、信号機だけでも約20万800基が設置されている。 つまり、クルマやバイクを運転しているかぎり、人だ[…]
ネモケンにかかってきた“1本の電話”からドラマが始まった 1986年の秋、ボク(根本健)のところへ、世界GPで闘うHRCワークスチームのボスである尾熊さん(以下 クマさん)から、電話があった。 「来春[…]
燃焼効率アップのため、2スト特有の自己着火現象を活用した“AR燃焼” 原付スクーターからスポーツモデルに至るまで普及していた2ストローク車は、1990年代後半からが減少し、2000年を迎える頃には大半[…]
レンタルしてみた『乗ってみたかったバイク』の感想は? それぞれが自分で選んだバイクをレンタルして臨んだ4人のマスツーリング。ツーリング自体も大成功でしたが、今回借りたのは「それぞれが乗ってみたかったバ[…]
注目の最新 BMW Motorradギア&ガーメント ConnectedRide Navigator 目的地へのルート検索のほか、BMW ID を使用して走行ルートと走行ログをBMW Motorrad[…]
- 1
- 2