[バイクメンテDIY] 1980 XT250:ヤマハ初の4ストトレールのVMキャブを燃調キットでメンテナンス〈キースター〉

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1955年の創業以来、2ストロークメーカーとして成長を遂げてきたヤマハ発動機。そんなヤマハで初の4ストロークトレールモデルとして1980年に登場した「XT250」。新開発の単気筒250ccエンジンをダイヤモンド型フレームに搭載し、空飛ぶサスペンションと称されたモノクロスサスペンションを装着したXTは、多くのオフロードユーザーを虜にしました。そんなXTに装着されていたキャブレターは、加速ポンプ付きのミクニVM型。40年以上前のキャブレターの調子を整えるには、キースターの燃調キットを使ったメンテナンスが不可欠です。

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人気映画『ランボー』でも大活躍した、ヤマハ初の4ストロークトレールモデル

1980年にデビューしたヤマハXT250は、後年ロングセラーかつ人気モデルとなったセローシリーズのご先祖的モデルです。当時の位置づけとしては、1976年に発売されたXT500の弟分的な意味合いが強かったのですが、リヤショックが2本式だったXT500に対して、モトクロスで実績を積み重ねたモノクロスサスペンションを採用するなど、より本格的なオフロードモデルとして開発されたのがXT250でした。

1980年代初頭に10~20代だった世代の中には、映画『ランボー』で主演のシルベスター・スタローンが山の中を逃走するシーンで活躍したXTが強く印象に残っている人もいるでしょう。

XTは、オフロード性能の高さに加えて、4ストならではの優れた燃費性能やモノクロスサスペンションによる乗り心地の良さから、ツーリングモデルとしても高く評価されたました。1983年にエンジンがDOHCとなったXT250Tへとモデルチェンジし、一方で250の兄弟モデルとして登場したXT125に200ccエンジンを搭載したXT200も。そのコンセプトを引き継いだセロー225が1885年にデビューした流れを見ても、XT250がいかに重要な役割を果たしたのかが分かります。

キック始動のみで21馬力を発生する250ccエンジンをダイヤモンド型フレームに搭載したXT250は、車両重量114kgという軽さが魅力で、市街地/山道/林道/ダートなど、シーンを問わない利便性を発揮。後継モデルのXT250Tは、単気筒ながらCVキャブとピストンバルブキャブを組み合わせたツインキャブが採用されました。

XT250のシングルキャブレターは、スロットルドラムとリンクによってスロットルバルブを開閉するピストンバルブ式で、形式はミクニVMタイプ。

ダイヤフラム式加速ポンプを装着したVMキャブレター

XT250に搭載されたSOHC単気筒エンジンに装着されていたキャブレターは、ミクニVMタイプです。ピストンバルブ式のVMにはスロットルワイヤーでスロットルバルブを直接開閉するタイプと、リンクを介してスロットルドラムで開閉するタイプがあり、XTには後者が装着されています。

これは、先に登場していたXT500やヤマハSR400/500と同様で、スロットルドラムと連動して作動するダイヤフラム式加速ポンプも装着されています。リンク式のVMキャブレターとしては、カワサキZ1~KZ1000系の4連キャブと部品構成が類似しており、加速ポンプもKZ1000Mk.IIと同様の仕組みです。

加速ポンプが作動する仕組みとしては、フロートチャンバーとつながった加速ポンプチャンバー内のガソリンをダイヤフラムで加圧して、フロートチャンバーに取り付けられた加速ポンプジェットを通じて、ベンチュリー内に突き出したノズルからガソリンを吐出します。

これはスロー系とは別系統となっており、スロットルを早く開く=急加速時のみ濃い混合気を供給して息つきを防ぎ、鋭い加速を実現します。そのため、長期放置車のキャブレターメンテナンスやオーバーホールを行う際には、スロー系/メイン系と別に、加速ポンプのガソリン流路も入念に清掃して、通気を確認することが重要です。

スローやメイン系と異なり、加速ポンプは常に作動するわけではないため、フロートチャンバー内の汚れや劣化したガソリンで流路が詰まっていても、不具合を察知しにくいかもしれません。

しかし、純正キャブのセッティングは加速ポンプありきで決められているので、ポンプが効かない状態でスロットル急開時に発生する息つきに対して、パイロットスクリューの戻し回転数を増やしたり、パイロットジェットのサイズを大きくするのは、正しい対処方法ではありません。

キャブレタークリーナーを使用する場合、パーツクリーナーやエアブローでクリーナー成分をしっかり洗い流した後で組み立てることが重要です。

フロートチャンバーの底部に4個のビスで取り付けられているが、加速ポンプのダイヤフラムカバー。スロットルドラムと連動するレバーとシャフトによって、カバー内部のダイヤフラムが作動して、ベンチュリー内のノズルからガソリンを吐出する。

フロートチャンバーは過去に開けられた形跡があり、液体ガスケットが塗布されていた。フロートチャンバー側に張り付いたガスケットはカチカチに硬化して、ボディ側の痕がくっきりと残っている。また、下辺の加速ポンプジェット部分のOリングも丸い断面が潰れて平らになっていて、これでは十分なシール効果は期待できない。

キャブボディのエアやガソリン通路と同様に、加速ポンプの通路も、キャブレタークリーナーを吹き付けて内部の汚れを溶かし、パーツクリーナーで洗浄する。

パーツクリーナーを吹き付けた後は、エアブローで通気を確認する。

経年劣化したゴム類も燃調キットでリフレッシュ

1980年に発売されてから45年近くを経過したキャブレターが、現在まで一度もメンテナンスや洗浄されたことがないというのは、一般的にはあまり考えられません。

過去にパーツクリーナーやキャブレタークリーナーを使った清掃を行ったり、オーバーホールされたことがあったとしても、今後さらに長く乗り続けていこうとするなら、キースターの燃調キットを使ったオーバーホールやセッティングをおすすめします。

劣化したガソリンによるワニスや、長期間の放置によるキャブレター内部の腐食によって孔が詰まったジェットやメインジェットホルダーは、漬け込みタイプのキャブレタークリーナーによって洗浄できますが、ジェットニードルと擦れて穴径が拡大したニードルジェットについては、交換以外ありません。

また、キャブレター各部に用いられているゴム製のOリングも、長い時間によって硬化や亀裂が生じているのが当然なので、やはり燃調キット内のパーツに交換するのがベストです。VMキャブレターのニードルバルブのバルブシートは着脱できる構造で、燃調キット内にもバルブシートが付属しています。

その根元のOリングが重要で、これが劣化や切断していると、フロートと連動して作動するニードルバルブが閉じても、燃料タンク内のガソリンがフロートチャンバー内に流れ続けて、オーバーフローを起こす原因となります。

先に説明した加速ポンプ関連のOリングも重要です。フロートチャンバー下部で加圧されたガソリンは、フロートチャンバーの縁にあるポンプジェットからキャブレターボディに流れていきます。

そのためキャブボディとフロートチャンバーの合わせ面には、フロートチャンバーガスケットと別に、加速ポンプ用のOリングがセットされています。

ガスケットやOリングは、フロートチャンバー固定用のビスを締め付けて潰れることで気密性を発揮するため、フロートチャンバーの着脱を繰り返すと、本来の機能が失われてガソリン漏れを起こすことがあります。一時しのぎで、液体ガスケットを塗布する例もありますが、加速ポンプ用のOリングにうまく液体ガスケットを塗るのは容易ではありません。

内側にはみ出せば、ポンプジェットを詰まらせ、塗りが甘いと合わせ面からガソリンが漏れる可能性があります。
そうしたリスクを考慮すれば、ジェットやニードルはもちろん、交換が必要なゴム部品まで含まれている燃調キットの有用性が理解いただけるはずです。

パイロットスクリューの先端には、スプリングシート役のワッシャーとOリングがセットされている。古いOリングはこの通り、経年劣化によって平らに潰れている。ゴムの柔軟性が失われると、シール性が低下して二次空気吸い込みの原因になる。

フロートニードルバルブのバルブシートは、プライヤーで引き抜くことができる。このOリングが消耗すると、ニードルバルブだけでなくバルブシート外周からもフロートチャンバーにガソリンが流れ込むリスクがあるため、オーバーホール時は新品に交換する。

メインジェットホルダーのネジ部にもOリングが組み込まれている。ここも経年劣化によって円錐状に潰れており、気密性確保のため新品交換が必須だ。

冷間始動時に使用するチョークプランジャー先端のゴムが硬化すると、チョークレバーを戻しているのにガソリンが遮断できず、アイドリング近辺の混合気が濃くなることがある。パイロットジェットのサイズ、パイロットスクリューの戻し回転数がともに正常なのにプラグがカブリ気味の場合、この部分のゴムの弾力を確認しよう。

新品Oリングを装着した燃調キットのメインジェットホルダーを装着する。

メインジェットは、スタンダードサイズの#165を中心に、#150/#155/#180/#195/#210の6サイズがセットされている。吸排気系が純正エアクリーナーボックスと純正マフラーの組み合わせなら、ジェットもスタンダードサイズを装着して様子を確認する。

パイロットジェットは、#17.5のスタンダードサイズに対して#16/#22.5が付属。

バルブシートが着脱できるキャブの燃調キットには、新品のバルブシートとOリングも付属するので、復元時にはそれらを使用する。

耐アルコール性に優れたAAニードルは、キースターならではの独自開発品。フロートに取り付ける前に、上部のプランジャーが接触する調整板に傷や窪みがないことを確認しておく。

フロートチャンバーガスケット/加速ポンプジェットOリングとも新品には適度な弾力があり、ビスを締め付ける際に潰れる手応えがある。カチカチのガスケットをオーバートルクで締め付けると、シール性が得られないばかりか、キャブボディ自体を変形させる可能性があるので要注意。

ドライバーだけでなく指先でも調整できるパイロットスクリューに注目

パイロット系統の混合気を調整するメカニズムには、エアスクリュー方式とパイロットスクリュー方式があります。前者はキャブレターが吸い込むエアの量を調整し、後者はエンジンに吸い込まれる混合気の量を調整します。今回取り上げたXT250については、パイロットスクリュー方式が採用されています。

パイロットスクリュー式は、スクリュー先端のスプリングに薄いワッシャーとゴム製のOリングが組み込まれているのが特徴です。ワッシャーとOリングの役目は、キャブレター外部からの二次空気吸い込み防止で、スクリューを取り外す際にボディ側に残りがちですが、必ず取り出しておかなくてはなりません。

例外的に、過去に誰かがいじったキャブレターの場合、まれにOリングを組み忘れた状態でスクリューが復元されていることもありますが、細い針金などを使って、スクリュー取り付け部分に忘れ物がないことを確認します。

パイロットスクリューの戻し回転数は、アイドリングからスロットル低開度領域の混合気量に影響を与える重要な調整項目です。一般的なパイロットスクリューは、細いマイナスドライバーや専用工具のパイロットスクリュードライバーなどで回しますが、XT250の純正スクリューは指でも回せるようツマミ形状となっており、燃調キットもそれを踏襲しています。

そのため、基準の戻し回転数に対して混合気を濃くしたい/薄くしたい時にも工具なしで調整できます。

登場が1980年だけあって、メカニズムやデザインは見るからにクラシカルですが、それがビンテージとしての魅力につながっているヤマハXT250。貴重な絶版車を快調に走らせるために、燃調キットを活用いただければ幸いです。

純正部品と同様に、ドライバーだけでなく指で回せるツマミ加工が施された燃調キットのパイロットスクリュー。微調整しやすのが魅力。

ジェットニードルは、スロットルドラムとリンクをある程度分解しないと引き抜くことができない。スロットルバルブごとボディから抜く方が、手間はかかるが各部に与えるストレスを軽減できる。ただし、分解前に正しい組み立て順序を把握しておくことが必要だ。

【キースター燃調キット】キャブレター オーバーホール&セッティングパーツセット:1980 XT250用(車両型式3Y5)


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