アグレシッブな性格とは裏腹にジェントルな走りもこなすFTR1200【インディアンディーラーが語る】
アメリカのフラットダートトラックレースにスカウトベースの750ccを持ち込み参戦し、勝利。その後テストを重ねて、一般公道でデビューを果たしたインディアンモーターサイクルのFTR。その外観の持つレーシーな雰囲気と、走り出すとわかる1200cc Vツインエンジンの生み出す圧倒的なトルク感。しかし、その一方でジェントルな乗り味があることをテストライドで感じた。
●文/写真:ミヤシーノ宮下豊史 ●BRAND POST提供:HSC (インディアンモーターサイクル沼津/静岡)
インディアンモーターサイクル FTR1200&スカウト(1133cc)
まずはFTRの車両紹介をするにあたり、スカウトの存在を忘れてはならない。アメリカ生まれのインディアンモーターサイクルには、水冷エンジン搭載のスカウトシリーズ、そしてこのFTRシリーズがある。双方ともに エンジンのルーツは同じだが、スカウトは1133cc(2024年以降は1250ccとなり、近日発売予定)、FTRは1203ccエンジンだ。そして、そのスタイルもアメリカンクルーザーとフラットトラックレーサーと、大きく異なる。
まずエンジンの違いを見てみよう。スカウトのボアストローク99mm×73.6mmに対し、FTRは102mm×73.6mmとボアを拡大し、その差は70cc。圧縮比も10.7:1に対し12.5:1と上がっている。馬力を比較すると95hpが123hpと、数字だけ見ると別物のエンジンのようになっている。
冒頭にも記したように、FTRはその2016年当時のスカウトのエンジンをベースにチューニング。排気量をレギュレーションに合わせ750ccとし、アメリカのフラットトラックレースに2017年から参戦。インディアンモーターサイクルに勝利を何度ももたらした。その後、このレーサーをベースに設計し、2017年に新生FTR1200として発表された。大きな反響の中で市場にデビューし、日本にも輸入されるようになった。
FTR1200のコンセプト
フラットトラックレーサーの流れを汲むFTR1200、最近はアメリカで開催されている「スーパーフリーガンナショナルチャンピオンシップ」での活躍が注目されている。このレースは、カウルレス/バーハンドルの市販ネイキッドバイクを主体としたシリーズ戦だ。路面は砂や土など滑りやすい路面で形成されたフラットトラックではなく、デイトナ/ラグナセカなどのサーキットにて開催される。FTR1200は、KTM/ドゥカティ/BMWモトラッド/ハーレーダビッドソンなどのメーカーを相手に戦い、そして勝利を挙げている。
下記に紹介する「FTR X RSD SUPER HOOLIGAN」は、その勝利を記念し、ローランドサンズとコラボした限定モデル。カラーリング等はレーサーそのもので、足まわりにはフルアジャスタブルのオーリンズ製の前後サスペンションが装備され、アクラポヴィッチマフラーやカーボンパーツ、そしてレースシーンで目にしない日はないほどの著名で高品質なギルズツーリングのヴィレットパーツを採用している。
レーシーな走りからジェントルなライドまでをこなす
FTRの生い立ちとコンセプト。そして、この限定モデルから放たれる「俺はやるぜ」と鼻息の荒さを感じさせる、マッチョでレーシーなスタイリングとエンジン。その乗り味は想像とはまったく違った。
ひとつはパワーフィーリング。Vツインエンジンから生み出され後輪へと伝わるトルク感には、ガサツさやレーサーにありがちなセンシティブさがまったく感じられない。
「Vツインとはいえ、水冷DOHCだからこそのスムーズさを感じさせてくれるエンジンだろう」という乗る前に抱いていた想像をはるかに上回る、シルキーなエンジンに仕上がっていた。スムーズではあるものの、大排気量Vツインらしいトルクを感じさせつつ高回転まで回るエンジンは、各スピード域や高速/低速コーナーやUターンなどの極低速域まで、しっかりと仕事をしてくれる。
回したら回したぶんだけ、必要に応じたパワーを路面にしっかりと伝えてくれるのは、各種電子デバイスはもちろんだが、この限定車に装備されているオーリンズサスペンションの路面追従性の高い品質のおかげもあることだろう。
ワイドめにアクセルを開けると、一瞬ハンドルに浮遊感が出るが、リヤサスペンションとタイヤがしっかりとそのパワーを受け止め、路面に伝える。ハンドリングはスカウトやチーフに比べ軽快感があり、バイクの倒し込み、そしてコーナでの切り返しが楽しい。
以前乗ったスタンダートモデルのサスペンションモデルでも同じ感想を抱いたが、このオーリンズ装着モデルの接地感/乗り心地はかなり上を行く。ハンドリングは軽快で、価格差は76万2000円とかなりあるが、このオーリンズとアクラポヴィッチマフラーや各種カーボン&ビレットパーツを考えると、価格以上のお買い得感を感じさせるモデルだろう。
インディアンモーターサイクルのプロに聞いてみた
インディアンモーターサイクル沼津/静岡の母体である「エイチ・エスシー」。沼津店は今年の2024年1月にオープンしたばかりで、正規ディーラーの中では一番新しいショップ。しかし、その姉妹店である静岡店は2016年オープンと、ちょうどFTR750が本国で発表となった年からインディアンを取り扱っている。
さらに過去にハーレーダビッドソンのスポーツモデルであるビューエルの正規代理店であった過去もあり、アメリカンクルーザーだけでなく、スポーツモデルにも造詣が深い。そんなショップの代表である佐々木氏にFTR1200について話を尋ねた。
モード切り替えで性格ががらりと変化
FTR1200には、“スポーツ/ストリート/レイン”の3つのモードが用意されています。エンジンの出力特性や味付けなどにより、モードを切り替えるごとに性格がガラリと変わります。
まずは基本のストリートモード。素直な乗り味を体感でき、万人が楽しめる特性です。ふだん使いやツーリング中はこれがおすすめです。ジェントルな乗り味でもあるので、気を楽にして、長時間乗り続けることができます。
一方で、スポーツモードでは、かなりのじゃじゃ馬に変化。FTR1200の本領発揮とも言えるモードで、アクセルをひねったときの加速感がものすごい。今でも中古車や整備で取り扱っているビューエルによく似ています。
しかし、10年以上前に進化が止まってしまったビューエルとは違い、FTR1200は上質で高性能の最新のサスペンションとタイヤが装備されていますので、しっかりとそのパワーを受け止め路面に伝えます。オーリンズ装着モデルのFTR X RSD SUPER HOOLIGANはなおさらです。ホイールベースがそこそこあるので高速安定性も高く、ビューエルほどの旋回性能はないものの、素直なハンドリングのおかげで、コーナーでアールに合わせたスピードまで減速し、コーナーの出口を見るだけでスッとバンクし、安定したコーナリングを楽しむことができます。
もうひとつのレインモードは、雨天走行がもちろんですが、パワーにまだ慣れていない初心者にもとっつきやすいかと。
レーシーな外観とは裏腹にツーリングも楽しめる
またビューエルを引き合いに出してしまいますが、ビューエルはじゃじゃ馬的な性能を持つぶん、メンテナンスにも苦労させられました。暴力的なパワーとトルクを持っているので、そのぶん振動など車体にかかる負荷が大きいバイクです。定期的なメンテナンスを行っていても、故障や不具合を起こすことを防ぎ切ることができず、とくにツーリング先でのトラブルには困りました。
しかし、FTR1200も含めインディアン全般に言えることですが、とにかく故障やトラブルがほぼありません。安心してツーリングを楽しめます。
長距離走行もこなすことができる、違和感のない自然なライディングポジション。先に説明したモードセレクトのおかげで、元気よく走りたい時以外はスタンダードモード、さらにレインモードに切り替えれば、気負うことなく走り続けることができます。
カスタムについて
このモデルも含めてですが、グレード違いでさまざまなパーツが装着されています。カスタムが盛んで、人と違うバイクを好むアメリカ生まれ/アメリカ育ちのバイクなので、まだデビューから日が浅いのにもかかわらず、カスタムパーツが豊富です。
走りを強化したり、自分好みの味付けにするためのパーツや、ツーリングを快適にするためのシールドなどの用品ラインナップも、みなさんの想像以上に用意することができます。
当社が得意とするインジェクションチューニングも可能です。燃調を整えることで、走りに特化したり、もっとマイルドに、もっと燃費を良くするなど、ハーレーのようにみなさんの好みに仕上げることもできます。
インディアンが日本に上陸してからまだ日が浅く、公道で見かけることはそれほど多くはないかと。そのぶん目立つこと間違いなし。性能/品質ともにかなり高い車両で、お値段以上の満足感/所有感を味わうことができるバイクだと、自信を持っておすすめできます。
試乗車や一部レンタルバイクも用意しているので、ぜひ体感をしてみてください。
※本記事はHSC (インディアンモーターサイクル沼津/静岡)が提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。