ハーレーの燃調をスマホでチューニングできることで注目を集める「フューエルバックFP3」だが、スマホを使わないと作業できないためプロでも時間がかかり、ベストなセッティングを出すこと自体も難しかった。だが、FP3正規取扱店に対しPC操作が可能な「フューエルパックプロ」が導入され、高精度なチューニングを施せるようになった。
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ベストを求めるのならプロフェッショナルによる高度なチューニングが必須
「以前までFP3のセッティングは、僕らプロでもスマホを使わないとできなかったため多大な時間がかかり、またベストなセッティングを出すこと自体も難しかったのですが、2019年末よりFP3正規取扱店にはパソコンでセッティングできる『フューエルパックプロ』という専用端末が導入されたことで、CANBUS(キャンバス)仕様のワイヤースロットル車に限られますが、高精度なチューニングを施せるようになりました」
静岡県のハーレー専門店・HSC代表の佐々木綱柄氏がこう教えてくれたのは、バンス&ハインズ社の「フューエルパックFP3」について。スマホ専用アプリで、ハーレーの燃調を簡単にチューニングできるデバイスとして注目を集めているが、ベストを求めるのならやはりプロフェッショナルによる高度なチューニングは避けられないのが現実だという。
![フューエルパックFP3[バンス&ハインズ]](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
【FUELPAK FP3|VANCE&HINES】一般用はスマホを使って設定するが、FP3正規取扱店であるHSCにはパソコンでセッティングできる専用端末「フューエルパックプロ」が導入された。 [写真タップで拡大]
FP3の機能は、ユーザーがアプリ上でガイダンスに従って、愛車の機種名やマフラー(バンス&ハインズのほか数社が選べ、選択メニューにない場合はオートチューンで対応可能)を選ぶと、吸排気の組み合わせに合わせたマップがダウンロードでき、接続したEFI車のECM(純正コンピュータ)データを書き換えられるというもの。
アプリは日本語対応で、ベースデータをもとに、オートチューンによってさらならチューニングも可能。アイドリングを800回転まで落とすことができるなど、専門知識がなくとも誰にでも簡単と人気となっている。
しかし、HSCには「オートチューンしたがギクシャクして乗りづらく、ベースデータでとりあえず乗っているが、やはりプロに見てもらいたい」という声が多く寄せられているという。佐々木さんによると、こうだ。
「FP3のベースデータは、アメリカで走ることを前提としているのでしょう。3000回転以上の燃料を多くしているセッティングです。確かに高回転域の燃料を増やせばエンジンの保護には繋がりますが、日本国内での常用域である1500〜3000回転の燃料量はノーマルとそれほど大きな差がなく、おそらく乗ったときのフィーリングも違いがあまり感じられないのではないかと思います」
もちろん、自分で手軽にセッティングができるFP3の魅力は大きい。しかし、しっかりとチューニングするなら膨大な時間がかかってしまい、FP3正規店で導入される『フューエルパックプロ』を用いたセッティングがオススメというわけだ。
HSCでのリセッティング結果は…
- 緑:ノーマル
- 青:FP3ベースデータ
- 赤:リセッティング後

【アクセル全開】上はパワー&トルク曲線。中はFシリンダー、下はRシリンダーの空燃比(ガソリンの濃さで、13:1が理想)。緑グラフの薄さが際立つ上に、青グラフの全般的に濃い状態が確認できる。 [写真タップで拡大]

【アクセル開度20%】2000回転から3500回転という常用域では、緑と青のグラフにほとんど差はなく、高回転域では青が一気に濃くなることが解る。赤グラフが最もバランスが取れた状態なのだ。 [写真タップで拡大]
HSC沼津/静岡

(左)HSC沼津 ●住所:静岡県沼津市大諏訪721-8 ●営業時間:10:00-19:00 ●定休日:月曜 (右)HSC静岡 ●住所:静岡県静岡市駿河区国吉田2-6-29 ●営業時間:10:00-19:00 ●定休日:月曜

(左)バンス&ハインズ正規店のHSC 。エキゾーストシステムの性能を最大限に発揮するためにもチューニングは欠かせないが、いま人気のフューエルパックFP3もリセッティングを任せられる。(右)HSCのスタッフ。中央が代表の佐々木氏。
●取材協力:HSC
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