修理不能だったCB750Fのキャブが蘇る! 専用治具付きバルブシート蘇生キットがキースターから登場!!

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フロートチャンバー内のガソリン油面を一定に保つため、フロートと連動してガソリン通路を開閉しているのがニードルバルブとバルブシートです。キャブレターボディに付くバルブシートには、着脱可能なタイプと非分解の圧入タイプがあり、後者の場合はバルブシートに不具合が発生するとキャブ自体が使えなくなるという大きな弱点がありました。バルブシート蘇生キットは、そんな悩みを解決してくれるのがキースターの新製品です。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

バルブシートの僅かな傷がオーバーフローの原因になることもある

キャブレターを機能させるための土台となるのがフロートチャンバー内のガソリン油面です。キャブセッティングを行う際にはジェットやジェットニードルのサイズを変更しますが、すべては油面が安定していることが前提です。

この油面を決めるために重要なのがニードルバルブとバルブシートのコンディションです。フロートチャンバー内のフロートはガソリンの量によって上下し、規定値まで上がるとフロートと連動して上下するニードルバルブがバルブシートに密着し、ガソリン通路を閉じて油面が安定します。

キャブレターに取り付けられたバルブシートとニードルバルブ先端の円錐部分の接触幅はきわめて細くなるよう加工されています。当たり幅が狭いほど同じ力で押しつけた際の圧力、すなわち面圧が高くなり通路を確実に止められるためです。

これはエンジンの吸排気バルブとシリンダーヘッドのバルブシートとの当たり幅の考え方と同じで、当たり幅が規定値より広くなるといわゆるベタ当たりの状態となり圧縮漏れの原因にもなります。

ニードルバルブとバルブシートの当たり幅はデリケートな線状で、それゆえにどちらかにダメージが生じるとガソリン通路が閉じられなくなってフロートチャンバー内の油面に悪影響が及びます。

非分解設定の圧入タイプのバルブシートは、経年劣化や破損でニードルバルブとの接触面に傷が付くと修復が難しいというのがこれまでの常識だった。CB750F用バルブシート径はφ2.6mmで、当たり面を下手に削り直すとガソリンの流量やニードルバルブとの当たり面が変わって油面にも影響するリスクがある。

フロートチャンバーにガソリンが入ったまま長期間放置すると、バルブシートに押し当てられたニードルバルブに線状の傷が付いたり当たり幅が広がり、フロートが上昇してもニードルバルブがバルブシートに当たってもガソリンが止まらずオーバーフローを起こすのがトラブルの代表例です。

この場合、ニードルバルブの先端を観察すると先端の円錐部分の段付き摩耗を確認できます。円錐部分の素材は金属製とゴム製があり、ゴム製の場合は弾性があるため線状痕がつきづらいとされています。

ちなみにキースターの燃調キットのニードルバルブが使用しているAA(ええ)ニードルのゴム素材は、バイオ燃料に含まれるアルコール成分に対する耐性が高く、ガソリンに長く浸漬しても劣化しづらいという特長があります。

一方で、バルブシートの不具合でオーバーフローが発生することもあります。ガソリンタンク内に発生したサビが剥がれてキャブレターに流れ込み、バルブシートとニードルバルブに当たり面に挟まって傷が付いたり、長期放置中に劣化したガソリンや水分が付着して汚れや付着したり腐食することもあります。

交換できない圧入タイプに対応するバルブシート蘇生キット

バルブシートの傷や汚れによって、ニードルバルブを新品に交換してもオーバーフローが止まらない時、バルブシートがキャブボディから取り外し可能で、単体で交換できるタイプなら心配ありません。

メーカー純正部品でバルブシートが設定されおり、キースターが機種ごとに設定している燃調キットでも、バルブシートが外れる機種向けのキットには交換用バルブシートをセットしています。

問題はバルブシートが非分解設定となっているキャブレターです。この場合バルブシートはキャブから抜けないよう圧入されており、交換用のバルブシートは純正部品として存在しません。これまではキースターでも対応できませんでした。

綿棒や鉛筆削りで円錐状に削った割り箸の先端に金属用研磨剤を付けて当たり面を磨いて修正できることもありますが、工具などで傷つけてしまった場合は補修は難しくなります。しかし絶版車の人気が今後もますます高まる中で、バルブシートの不具合によってキャブレターが使い物にならなくなる事態は避けたい。

そんな思いでキースターが開発したのが、圧入バルブシート仕様のキャブレターに対応する新製品「バルブシート蘇生キット」です。

圧入タイプのバルブシートは一部のケーヒン製キャブレターに採用されており、第一弾として発売するのはホンダCB750F用VBキャブレターに対応したキットです。具体的にはCB750FZ用と、CB750FB/CB750FC用の2種類を設定しています。今後、同じく圧入バルブシートを採用しているカワサキゼファー向けケーヒンCVKキャブレター用蘇生キットの開発も計画しています。

ホンダCB750F用ケーヒンVB系キャブレター用バルブシート蘇生キット。純正部品では設定のないバルブシート、キースター独自のAAニードルに加え、バルブシートの着脱に必要な工具類までセットされているのが特長。

バルブシートは純正部品と同じスペックで製作されており、ニードルバルブを交換してもオーバーフローが止まらない悩みを抱えたライダーには待望のパーツとなるはず。純正キャブレターのコンディションが悪く消極的な理由からスペシャルキャブレターを選択する絶版車ユーザーにはありがたい。

外すことを前提としていない圧入バルブシートですが、キースターでは交換タイプのバルブシートを自社で製作しているため、部品を開発することは大きな問題にはなりません。ガソリンタンクからフロートチャンバーに流れるガソリンの量を決めるバルブシート径やニードルバルブとの接触部分の加工も手慣れたものです。

ただし、本来は外せない設定の部品を一般のバイクユーザーの皆さんに活用していただくためには、ダメージを負った古いバルブシートを取り外して新たな部品を取り付けるための道具を用意しなくてはなりません。

付属の専用治具を使えば誰でもバルブシートを交換できる

そこでキースターでは、バルブシート本体に加えて交換に必要な工具も用意しました。これは古いバルブシートにタップで雌ネジを作り、筒状の固定治具の上から六角ボルトでバルブシートを引き抜くもので、簡易的なベアリングプーラーのような仕組みです。

タップやボルトナットは一般的に手に入る材料だが、バルブシートサイズに合わせて製作された円筒状の固定治具と取付治具はバルブシート蘇生キット専用品だ。

古いバルブシートを引き抜くため、付属のタップで雌ネジを切る。タップを立てる際は前後左右から垂直を確認しながらねじ込む。

固定治具にボルトを通して雌ネジを切ったバルブシートにねじ込む。

メガネレンチでボルトを押さえた状態で、固定治具に接するナットを回してバルブシートを引き上げる。圧入代はさほど大きくないようで、ナットは軽く回すだけで良い。

純正バルブシート通りの寸法で製作されたキースター製バルブシート。ニードルバルブの当たり面をどれだけ磨いてもオーバーフローが止まらないキャブレターユーザーなら、輝くバルブシートの有り難さが分かるはず。

タップやボルトは汎用の機械部品ですが、固定治具はバルブシートの外径とキャブレターの取り付け面の形状に合わせた専用品です。

新たに圧入する際は、固定治具内に取付治具をセットしてキャブに仮付けしたバルブシートにかぶせ、ボルトの上からハンマーで軽く叩きます。ハンマーで叩くというと手荒な印象があるかもしれませんが、ハンマーヘッドの自重を利用する程度の力で入ります。

圧入時は固定治具の内側に取付治具を挿入してボルトで締め付ける。バルブシートを仮付けしたら、固定治具が傾かないようキャブレターボディにピッタリと押しつける。

圧入前に取付治具の位置を確認して、ボルト途中のダブルナットを圧入量のガイドとする。それでも一気に叩き込まず、バルブシートが斜めになっていないか、取付治具とバルブシートが密着しているかを途中で確認する。

ただしCB750F用キャブレターの場合は圧入時の注意事項があります。このキャブのフロートには調整板がないため、フロートとニードルバルブの位置は一点で決まってしまい調整ができません。そこでバルブシートの圧入量によってフロートの高さを決定します。

CB750F用フロートにはニードルバルブの調整板がないため、バルブシートの圧入量がフロート高さを決定する重要な要素となる。圧入しすぎると元には戻せないので、小まめにフロートを取り付けて高さを確認しながら作業する。

バルブシートを浅く圧入してフロートチャンバーの合わせ面からの突き出し量を多くすれば、フロートは下に振れるので油面は低くなります。逆に深く圧入すればフロートが上に振れるので油面が高くなります。

キースターのニードルバルブは純正部品と同じサイズで製作していますが、キャブレター本体やニードルバルブの僅かな寸法差によって、抜き取り前と同じ量だけ圧入してもフロート高さが同じにならない場合もあります。

新品バルブシートと新品ニードルバルブの組み合わせで、さらにバルブシート圧入時にフロート高さまで調整しておけば、キャブレターセッティングの土台は完璧。圧入バブルシート仕様の純正キャブレターの性能を引き出したいなら、迷わずバルブシート蘇生キットを活用するのが正解だ。

過剰に圧入すると取り返しが付かないので、小まめにニードルバルブ付きフロートをキャブに取り付けて高さを測定しながら適正量まで圧入します。

行き止まりまで打ち込めば終了とはならないところに若干のコツが必要ですが、その手順だけ心得ておけば、ニードルバルブとの接触面が荒れてオーバーフローが止まらないバルブシートを完全にリフレッシュできます。

CB750Fやゼファー(近日発売予定)を皮切りに、今後もバルブシート蘇生キットの開発を進める予定です。圧入タイプのバルブシートが使われているキャブレターを所有する絶版車オーナーの皆さんは、ぜひともご期待下さい。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。