ホンダCB1000Fカスタム術:鉄馬レーサーを丸山浩が解説【CB1000ホーネットやCBR1000RR-R用パーツを流用】

ホンダCB1000Fカスタム術:鉄馬レーサーを丸山浩が解説【CB1000ホーネットやCBR1000RR-R用パーツを流用】

11月14日に発売されたホンダCB1000F。今回はカスタムの一例として、9月に熊本で開催された鉄馬レースにて、デビューウィンを飾ったTeamCB & WITH ME号を改めて紹介する。ホンダ自ら協力しているものの、あくまで真似できそうな等身大カスタムとなっている。詳細を丸山浩が教えてくれたぞ。


●文:ヤングマシン編集部 ●写真:鶴身健

新CB伝説が始まった!:CB1000F鉄馬レーサー #24

左がホンダ開発陣&WITH MEによるレーサー、右がノーマルのCB1000F コンセプトだ(写真は9月時点のもの)。

やったぜ! CB1000F コンセプトのレースデビューウィン!

私が参戦したのはアイアンスポーツクラス。空冷・水冷・油冷を問わない排気量600cc以上の鉄フレームマシンで争われるクラスだ。GSF12 00やZRX1200/DAEG、FZS1000といった比較的年式が新しい実力派車両がライバルで、これまでカリカリに磨き抜いてきた常連の彼らに勝てたのは実に嬉しい。

というのも、TeamCB & WITH MEのCB1000F コンセプトレーサーは、あくまでノーマルに近い姿へこだわった。私のマシンとは別にモリワキさんもCB1000 F コンセプトでアイアンスポーツエキスパートクラスにエントリーしており、こちらは究極カスタムでの挑戦、絶対優勝はお任せといった感じだったのだ。

私のマシンはWITH MEスタッフメカニックと共にホンダの開発陣自らも協力。まだ市販も正式発表されていない段階ではあったけれど、開発陣としては一刻も早く世にお披露目したいと願うのは当然のことで、けっしてスタイルだけではなく戦闘力も一級という次なるネオクラの価値観を示すためにもその実力を試したかったはずだ。

ご覧のとおり、完成したマシンは市販化された暁には誰もがすぐに自分でも挑戦できそうな等身大の草レーサースタイル。カスタム箇所としては、まず前後サスで、ナイトロンのレーシング用を使っているモリワキレーサーに対し、ノーマルに近いかたちにこだわるこちらはスタンダード版ホーネットのものをセッティング変更して使用。

本当はホーネットSPのオーリンズにしても良かったのだが、それではまだスタンダードも市販されるかどうか正式発表されていないのに、もうSPが出たぞと世間が早とちりしちゃいけない…なんて思いもあって、あえてこちらを。同じくハンドルバーもホーネットの低いものに交換だ。ステップまわりもフルバンク時に擦らぬよう位置をアップ方向に変えたものの、基本は純正パーツを使った流用改だ。

シートは内部ウレタンを硬いものに交換。本当はレース用としてがっちりシングルシート風のシートストッパーがあるといいのだが、それだとせっかくのオリジナルCB-F風味の表皮デザインを活かすことができない。同じようにタンクサイドも「滑り止めパッドを貼り付けますか?」と提案されたけど、それもやはりせっかくのタンクデザインをスポイルしてしまう。なので、漢・丸山としては加速やブレーキング、コーナリングとあらゆるGに根性で耐えてみせましょうと、あえてノーマル風にこだわることに。

フレーム加工も出来るなら避けたかったのだが、唯一行ったものとしてはステアリングダンパーの取付ステー部。アップハンだと極限速度域でのバトルでどうしても振られちゃうので、勝つためにステアリングダンパーは欠かせないのだ。将来的には加工せずにクランプするようなかたちで取り付けられないか、ここはカスタム開発のアイデアネタとして収穫が得られた部分だ。

エンジンもメーカーにしか出来ないような大それた変更はやっておらず、あくまで一般的な草レースと同じ常識的な範囲に収まっている。マフラーも一般に売られているレース用サイレンサーをベースに作成した。

ざっとこんな感じのカスタムだったのだが、それでも速かった。モード切替(レイン・ストリート・スポーツ)機能を駆使して走らせたが、タイヤがあちこちで滑り出しながらも、最後は前を走るライバルをパスして逆転優勝。そのポテンシャルを実感させてくれた。これならレースやサーキットスポーツ走行に使いたいという人が増えるのは間違いない。

ホーネット1000およびホーネット1000SPという兄弟車輌の存在も心強い。それこそ究極を言えばエンジンはCBR1000RR由来だし、彼らのパーツを工夫次第で移植して…なんて夢が膨らむ。

CB1000F、丸山浩の徹底試乗インプレは電子版1月号にて

CBアンバサダーとして丸山浩がCB1000Fを徹底インプレ! 記事はヤングマシン電子版1月号に掲載しているので要チェックだ。

CB1000F鉄馬レーサー #24 全体写真

CB1000F鉄馬レーサー #24 部分写真

レースレギュレーションで必要なアンダーカウルを急遽モリワキさんより借用。マフラーがモリワキレーサーとは異なるので、それに合わせて加工している。

ヒールプレート一体型のステップホルダーはホーネットからの流用。それでもまだ足りないので追加ステーでアップ&バックのレーシングな位置に調整した。

CB1000Fもホーネットもステップバーにラバーが貼ってあるため、ここはスーパースポーツ系のものを使用。楔を入れて可倒しないようにもした。

Fフォークは内部をホーネット用に置き換え、レース用にさらにダンパーやイニシャルの圧を強化。突き出し量も調整したが、本当はもっと前傾にしたい。

フロントのブレーキキャリパーには最強SSであるCBR1000RR-R用の純正パーツを使用。NISSIN製とすることで、ノーマルに近い外観にこだわってもいる。

リヤサスは内部セッティングを強化したスタンダード版ホーネットの純正パーツ。最終的に全長も長くなり車高も変わっているが、もっと上げたかった。

一般に売られているCBR1000 RR-Rのレース用サイレンサーを使用。エキパイとの中間パイプはワンオフ製作で、もっとカチ上げたかったが、ここはスタンダートと同じくらいの角度に留めた。

レースレギュレーションで必要なスプロケットガードは、マジカルレーシングの汎用品を急遽レースウイークに送ってもらい対応。リヤスプロケは丁数を増やす方向でセッティングした。

ハンドルバーは「セパハンにしない」がお約束であったので、ここもホーネットの純正ハンドルを流用してCBコンセプトよりも低めに装着。ルックス的にもなかなかいい感じにキマった。

シートはアンコを硬いものにしてレースでの動きに対処。せっかくのCBコンセプトの表皮デザインを生かし、後端をほんの少し盛り上げてストッパー代わりとしているのが分かるだろうか。

ステアリングダンパーをどう取り付けるか悩んだが、仕方なくフレーム加工を行うことに。ここを無加工で装着できるよう、将来的に考えていきたい。

カッコいいゼッケンプレートはないかとレースの前週まで悩んだ。そしたらなんとモリワキが試作品を分けてくれることに! 実にピッタリとキマった。

タイム計測に使うMYLAPSのトランスポンダーは、ホルダープレートを作ってタンデムステップステーの取付ボスに固定することでキレイに収まった。

タイヤは鉄馬レースレギュレーションに対応しているブリヂストンのバトラックスレーシングR11。コンパウンドはミディアムを選択した。

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