
エリーパワー株式会社が展開する、二輪車始動用リチウムイオンバッテリー「HY battEliiy Pシリーズ」に、新たに大容量モデル「HY110SS」が追加された。加えて、この新型「HY110SS」は、スズキを代表するフラッグシップの大型二輪車「Hayabusa」の標準バッテリーとして採用されることになったという。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:エリーパワー
スズキの高性能車が信頼するPシリーズの証
2017年に「軽量かつ長寿命で高安全な始動用リチウムイオンバッテリー」として登場したHYバッテリーPシリーズは、以来25万個以上が生産され、二輪車市場で高い信頼性を築いてきた。
ユーザーからは「長く乗っていなくてもバッテリー上りがなく、寒い冬場でもエンジンを一発で始動できる」と評価されており、その高いパフォーマンスと安定性から「走りにフォーカスできるバッテリー」と呼ばれているという。
なかでもシリーズのひとつ「HY93SS」は、スズキのストリートバイク「GSX-8T」および「GSX-8TT」へ2025年7月に標準採用。さらに8月には、スズキを代表するスーパースポーツバイク「GSX-R1000」と「GSX-R1000R」にも採用が決定したことが明かされている。今回の「Hayabusa」への採用により、スズキの二輪車における標準バッテリーは3機種目となったわけだ。
Hayabusaに採用された「HY110SS」は、7月に発表された「HY93SS」の大容量モデルであり、大型かつ高性能なバイクに搭載されるバッテリーに求められる、より高い性能や安全性を満たしている。
事故ゼロの実績が実現した「BMUレス」設計
新型「HY110SS」の最大の特長は、創業以来「電池起因による事故ゼロ」という揺るぎない実績に基づいた、高い安全性を誇る設計にある。
一般的なリチウムイオンバッテリーに搭載されるBMU(バッテリーマネジメントユニット)は、過充電・過放電の防止や各セルの電圧バランス維持を目的とする監視・制御装置だ。しかし、HY110SSは、このBMUが不要という驚きの仕様。これは、エリーパワーが持つ高い安全技術への確固たる自信の表れといえよう。
BMU不要の秘密は、新たに開発された「SyncCell」技術にある。独自開発の電解液「Self-Syncing Electrolyte Technology」を採用することで、万が一セル電圧のばらつきが生じた場合でも自己抑制が可能となり、最適な電圧に自己同期できるようになっているのだ。また、過電圧が発生した際には、自らセルの内部抵抗を上げることで、自動的に電流を遮断できる機能を備えているという。
ライダーに直結する軽量化と利便性の向上
「HY110SS」は、ライダーにとって実用的なメリットも提供する。まず挙げられるのが、大幅な軽量・小型を実現していることだ。従来の同等クラスの二輪車に使用されていた密閉型鉛電池(重量2.4kg)と比較すると、新型「HY110SS」(約1.24kg)は重量で1.1kg、体積は約38.7%もの減少を達成した。
これは、走行性能の向上と車重のさらなる軽量化に大きく貢献する。なお、公称電圧は12V、定格容量は6.0Ah、CCAは120Aとなっている。
さらにメンテナンス性も向上している。HYバッテリーPシリーズには、過電流からバッテリーを保護するためのヒューズが搭載されているが、従来製品では交換ができないという弱点があった。
そこで「HY110SS」では「HY93SS」と同様に、ヒューズが作動した場合でも交換可能な設計とすることで、ライダーにとって利便性の高い仕様となっている。
スズキのフラッグシップモデル「Hayabusa」に採用されるのも納得なエリーパワーの新型リチウムイオンバッテリー。今後はアフターサービス用部品としての販売を予定しているというから、流用パーツとしても注目を集めそうだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
12億リーチの衝撃! バイクとロボットの融合 CORLEOは、2025年の大阪・関西万博で披露され、SNSでは累計約12億リーチという驚異的な注目を集めたモビリティだ。 その名の由来はラテン語で「獅子[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
驚愕の650ccツイン×2基搭載! 魔改造すぎる怪物「VITA」爆誕 まず会場の度肝を抜いたのが、滋賀県を拠点に世界の名だたるショーでアワードをかっさらってきた実力派「CUSTOM WORKS ZON[…]
大型バイクのカスタムはクルーザーからアドベンチャーまで 台湾から世界的なカスタムビルダーも登場したこともあって、カスタムエリアでは車種を問わずさまざまな仕様が展開されていた。「SPEED&CRAFTS[…]
最新の関連記事(バイク用品)
知識ゼロから飛び込んだ継承への挑戦 このデニム、ただの復刻ではない。SFG前オーナーの強い想いに突き動かされ、全てを見直して完成させた「ライダー向け」の工夫が詰まっているのだ。 G RIDEが起業して[…]
瞬時に色が変化! 防曇シートに調光機能を加えた「e:DRYLENS」 SHOEIが、ライディング中のクリアな視界を実現するための新たなアイテムをリリースする。その名も「e:DRYLENS」は、ベースと[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
人気記事ランキング(全体)
250cc水冷90°V型2気筒でDOHC8バルブが、たった2年でいとも容易くパワーアップ! ホンダが1982年5月、V型エンジン・レボリューションのVF750Fに次ぐ第2弾としてVT250Fをリリース[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
6/30:スズキの謎ティーザー、正体判明! スズキが公開した謎のティーザー、その正体が遂に判明したことを報じたのは6月30日のこと。ビリヤードの8番玉を写した予告画像は、やはりヤングマシンが以前からス[…]
RZ250の歴代モデル 1980 RZ250(4L3):白と黒の2色で登場 ’80年8月から日本での発売が始まった初代RZ250のカラーは、ニューヤマハブラックとニューパールホワイトの2色。発売前から[…]
最新の投稿記事(全体)
バッテリーで発熱する「着るコタツ」で冬を快適に ワークマンの「ヒーターウエア」シリーズは、ウエア内に電熱ヒーターを内蔵した防寒アイテム。スイッチひとつで温まることから「着るコタツ」として人気が拡大し、[…]
知られざる黎明期の物語 最初の完成車は1903年に誕生した。シングルループのフレームに搭載する409cc単気筒エンジンは、ペダルを漕いで勢いをつけてから始動させる。出力3psを発揮し、トランスミッショ[…]
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
テールデザインでトラディショナルから新世代を意識させる! 1992年に発表後、実に30年間という史上まれにみるロングセラーだったCB400 SUPER FOUR。 その経緯にはいくつか節目となるモデル[…]
「一時停止違反」に、なる!/ならない!の境界線は? 警察庁は、毎年の交通違反の取り締まり状況を公開しています。 最新となる「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等につい[…]
- 1
- 2











































