![「ヘルメットが軽くなるってどういうこと?!」SHOEIの最高峰フルフェイス[X-Fifteen]×[P.F.S.]使用インプレッション](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/07/shoei_p.f.s._3d-scanner.jpg?v=1752482978)
プレミアムヘルメットのSHOEIは、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う技術「パーソナルフィッティングシステム(P.F.S.)」の最新測定技術として『P.F.S. 3Dスキャナー』を導入していくと明らかにしている。さっそくこれを体験してみた。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:SHOEI
疲れない、頭痛知らずのフィッティング技術!
SHOEIの「Personal Fitting System(以下P.F.S.)」は、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う同社のオリジナル技術。これまで熟練の施工者による計測が行われてきたが、2025年春より最新測定技術の『P.F.S. 3Dスキャナー』を試験的に導入し、定期的にテストモニターを(抽選で)募集している。
これまでのP.F.S.が専用機器を用いて手作業の頭部計測をしていたのに対し、3Dスキャナーでは被計測者が計測器の所定の位置に座るだけで、わずか数秒で自動センサーが東部サイズを詳細に測定する。これにより、さらに細かい凹凸に対応した調整パッドの製作が可能になり、これまで以上にフィット感の高い内装調整を実現している。
そんな最新「P.F.S. 3Dスキャナー」を体験できたので使用した感じをお伝えしたい。
測定機器についてはまだ一般公開できるものではないということでお見せできるのは下の外観イメージのみだが、計測装置の下にそれを支えるフレームがあり、その中に潜り込むようにして設置された椅子に座る形になっている。
テストモニター募集の画像。左が計測した頭部形状とヘルメットを合わせたもので、中央が測定機器、右がP.F.S.の調整パッドを貼付したものだ。
被測定者は髪の毛による誤測定を避けるために伸縮性のある薄いニット帽のようなものを被り、所定の位置に着座。このときの頭の位置と角度が正確な測定のためにとても重要なんだとか。
目を閉じて待つと頭の周りを光がぐるりと回るのがわかり、ものの数秒で測定は終了する。あとは画面上で頭と架空のヘルメットの位置を調整していくと、どこにどの程度の厚みのパッドを貼付すればいいのかが表示されることになる。
ライダーが体験するのはそれだけだった。以前のような手作業計測ではないので時間はかなり短く済み、しかも今回の場合は施工ヘルメットである最新フラッグシップモデル「X-Fifteen(以下X-15)」が手元になかったことから、後日ヘルメットと施工済み内装が届くことになり、本当に当日することが短時間の計測だけだったのだ。
テストモニター募集の場合は、上記ヘルメットを購入することが条件になるが、当日の計測→内装制作→ヘルメットお渡しまでに1時間半ほどの進行になる。
ちなみに、今のところ施工できるのは「Z-8」またはX-15に限られているものの、いずれ拡充させていくという。
テストモニター募集はSHOEIのSNSにて
現在、P.F.S.最新3Dスキャナー テストモニター抽選募集は1か月に2回程度の頻度で行われている。募集はSHOEIのFacebookページから行っており、下記のような応募条件がある。
① Z-8 または X-Fifteen を新規ご購入頂ける方
② 特定の日時に SHOEI Gallery TOKYO にご来店可能な方
③ 参加後、3回程度のアンケートにご協力いただける方
詳しくは下記リンクをご参照いただきたい。
今までのP.F.S.と違うのは、より緻密なフィッティング感
手元に届いたX-15の内装は、まるで地図の等高線のような調整パッドが貼付されていた。ブラタモリでこんなの見たなーという少し間抜けな感想を抱きつつ、標準内装と入れ替えて装着。X-15の内装は細かく分解することが可能なのだが、この場合はバラけさせないようにやや気を遣いつつ作業する。SHOEI Galleryでの施工であればユーザー自身が作業する必要はないはず。
こちらが筆者専用に製作していただいたP.F.S.内装だ。
さっそく被ってみると、ノーマル内装と比べてヘルメット位置が少し上に上がっていて、ヘルメットから相対的に目の位置が低くなっている。これは測定時に相談した通りで、シールドからの視界が上方に開けた感じだ。
P.F.S.内装の感触はノーマル内装に比べて明らかにむっちりとした包まれ感がある。特に筆者はなかなか激しい絶壁頭なので、ノーマルのままだと後頭部にあまり内装が接触しないのだが、凹んでいる部分に合わせてパッドが盛られているので、より頭の全ての面が内装と接触するようになる。つまり、“面で支える”がより徹底されるわけだ。
全体の面に均等に密着することで、どこかに圧力が集中することはなく、長時間被っていても痛みは出ない。
目の位置はシールド中央よりも少し下にくる。内装が新品に近いので頬パッドの圧力はやや強めに感じられる。これはレーシング対応モデルゆえだ。
まあ正直に言えば、SHOEIのノーマル内装はどのモデルもクッション厚がしっかりしているので、そのまま長時間被っても痛みは特に出ず、一定のフィット感は得られる。なので、P.F.S.を知らないまま被っていても特に不満はなかった。
なのではあるが、P.F.S.内装を使うと、今まで感じ取れていなかった小さなストレスがあったのがわかる。
まず、ノーマル内装は隙間があるゆえにヘルメットと頭の位置が思ったよりズレることがあった。ヘルメットを被ったら最初に位置を微調整し、頭に対するヘルメットの前後の傾きを決める必要があった。これがP.F.S.内装だと、雑に被っても位置が簡単に決まる。
ヘルメットの位置が決めやすいので、シールド越しの視界は常に安定している。
次に、走行中の風圧や振動でヘルメットが動くことが多少はあるのだが、クッションのストローク分だけしか動かないP.F.S.内装と比べると、ノーマル内装は隙間があるぶん動きの幅が少しだけ大きい。わずかではあるのだが、細かい頭の動きに対してヘルメットが遅れて追従するような感覚があり、これが長時間続くと疲れの元になったりする。
さらに、追従にラグがないP.F.S.内装のほうが、ヘルメットが軽くなったかのような感覚になるのも面白い(実際は内装パッドの追加でわずかながら重くなっているはずだが)。揺れや振動に対する余韻が少ないゆえだろう。
余談ではあるものの、手作業の従来のP.F.S.に対してはP.F.S. 3Dスキャナー内装のほうが細かい凹凸はより多く見え、なのに着用するとピッタリになる。今さらながら、自分の頭にはこれだけ凹凸があるのかと感慨深かった……。
ついでにX-FourteenからX-Fifteenの進化も体感
P.F.S.未施工のX-14(X-15の先代にあたるフラッグシップモデル)も手元にあったので、X-15と比較してみることに。
X-14が「静か(風切音や乱流が少ない)で頭の位置が安定するヘルメット」だったのが、X-15では「静かで安定していて軽い」という印象になった。実際の重量というよりは、重心から遠い位置が軽くなって、頭を動かしたときに余韻が残らない印象だ。ただし、X-14は内装に経年によるヘタりもある(追従にわずかなラグが発生する)ので、それも多少の影響はあるだろう。
また、風でヘルメットが前から押される感じについては、70~80km/hでも違いが体感できるくらいに低減されている。LIFT(ヘルメットが上方へ浮き上がろうとする力)は-1.6%、DRAG(前から押し付けられる力)は-6.1%にもなっているというから相当な違いだ。ヘルメットの周囲を流れる風が軽やかになったとも言え、これもヘルメットの軽さ感にかなり影響していると思う。
左がX-14、右がX-15。前から押される圧力は体感で違いがわかるレベルだ。
P.F.S.とは関係ないが、X-15はベンチレーションの風の通り方もより爽やかになった印象だ。少し気になるとすれば、センターロックになったシールドは厚手のグローブをしたまま操作するとベンチレーション開閉を動かしてしまうことも。 ただ、これは慣れで解決できた。
X-15のセンターロックシステムは、転倒した際にシールドが開いて砂利などが入ると再スタートするときに困るから、というマルク・マルケス選手からの要請で採用に至ったとか。シールド左右にボーテックスジェネレーターを備え、風切音をカット。シールドベースは着脱しやすい構造ながら転倒時のシールド脱落も防止できるトリガーロック付きだ。
エアロフォルムの中にベンチレーションのインレットを組み込む。リヤスタビライザーは左右に設けたシェルとのトンネル状の空間に風を呼び込み、 後方へ流すことで空気の流れの向きを制御し安定性を高めるとのこと。
まとめ
一度P.F.S.を体験すると、次からはもうP.F.S.なしではいられなくなる。最新ヘルメットの内装はそのままでも優秀ではあるのだけれど、やはり個人の頭に合わせたフィッティングを行うと使用感は一段上になるし、それ以前に自分の被るべきヘルメットの正しいサイズを知ることもできる。ヘルメットにとりあえず不満はなくとも、一度お試しすることをおすすめしたい。
最新モデルのX-15は、街乗りなどで使うにはさすがに大仰かもしれないが、ある程度以上のスピードで走る環境になると安心感および快適性が確実にレベルアップしていることがわかった。フラッグシップモデルだけあって転んだときの安全性も最高峰ではあるが、まず疲れない&快適であることが注意力の低下を防ぐ。これも一種のアクティブセーフティだと思う。X-14もいいヘルメットだったが、その延長線上にあって全方位でグレードアップしたのがX-15だと感じた。
現在SHOEI Gallery や販売店で受けられるP.F.S.についての概要は下記リンクをご参考に。
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