
スズキは英国で、昨秋のEICMA(ミラノショー)で発表した「DR-Z4S」および「DR-Z4SM」の店頭価格を公開した。今春のモーターサイクルショーでは日本国内でも初披露されており、日本市場における価格が気になるところだ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:SUZKI GB、箱崎太輔
日本でも正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト
スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4SM」を発表。今春のモーターサイクルショーでは国内初お披露目を果たし、6月21日より全国3都市の「スズキ モーターサイクルコレクション2025」にてディスプレイ&跨りイベントを展開中だ。
そんな「DR-Z4S」「DR-Z4SM」の価格が、北米に続き英国でも明らかにされた。いずれも同価格の7999ポンド(日本円換算約158万3000円・6/26現在)。これは英国におけるSV650(7399ポンド)とGSX-8S(8299ポンド)の中間からやや8S寄りだ。
日本仕様のGSX-8Sは発売から間もないことから物価上昇による誤差が出にくいのでは……ということで、国内GSX-8Sの112万2000円との価格比で計算してみる。すると、DR-Z4S/DR-Z4SMの予想価格は108万1440円ということに。以前のDR-Z400SとDR-Z400SMのイメージからするとけっして安くはないが、最新排出ガス規制に適合したスポーティなシングルエンジンを搭載した国産オフロード/スーパーモトは他にないはずだ。
これまでの情報でもDR-Z4Sは2025年4月より、DR-Z4SMは2025年5月より、北米・欧州市場を中心に各国で順次発売される予定とされてきたが、いよいよ日本仕様の正式導入もカウントダウンだろうか。
ちなみにモーターサイクルショーで展示された車両は輸出仕様だったが、DR-Z4Sについてはローシートが装着されており、日本国内のレギュレーションであるシート高900mm以下はこのローシート装着状態で実現するものと思われる。
モーターサイクルショー展示車のライディングポジション(身長170cm)
DR-Z4Sのシートはクッションが薄めだが、そのぶんシート高が下がっており、沈み込みが大きめの前後サスペンションもあいまって両足のツマ先が接地する。上体は起き、ステップ&ハンドル位置は自然だ。
DR-Z4SMは輸出仕様のシート高890mmの仕様のままと思われる。DR-Z4Sに比べて厚めのクッションの標準シートであり、シート形状はフラットで前後の移動やしやすそう。足着きはDR-Z4Sとほぼ同じ。ハンドル幅はややナローに。
欧州仕様DR-Z4S / DRZ-4SM ギャラリー
【解説】車体はフレームから新設計、エンジンは電子制御の充実とユーロ5+適合
新型DR-Zシリーズの最大の進化点は、電子制御スロットルを中心としたスズキ独自の電子制御システム「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」の搭載だ。これにより、ライダーの技量や多様な路面状況に合わせたきめ細やかなライディングサポートが可能になる。
S.I.R.S.には、エンジン出力を3段階で調整できる「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」、オフロード走行も考慮したG(グラベル)モードを含む3段階(+OFF)から選択可能な「STCS(スズキトラクションコントロールシステム)」、そして解除モードを備えたABS(DR-Z4SはリアのみOFFも可能)が含まれる。特にトラクションコントロールのGモードは、オフロード走行時にある程度の後輪スピンを許容し、ライダーがマシンをコントロールする楽しみを損なわないよう、スライドコントロールをしやすい設定となっている。
エンジンは、実績のある水冷398cc単気筒DOHC4バルブユニットを搭載。電子制御スロットルの採用や吸排気系の最適化により、最高出力は従来モデルの40ps/7500rpmから38ps/8000rpmへと若干変更された(いずれも輸出仕様)ものの、低回転域のトルクを強化しつつ、高回転域までスムーズに伸びるフラットなトルク特性を実現した。
WMTCモード燃費はDR-Z4Sが28.4km/L、DR-Z4SMが29.4km/Lと良好で、容量8.7Lの燃料タンクにより約247kmの十分な航続距離を確保。また、スズキクラッチアシストシステム(SCAS)も採用され、クラッチ操作の負担軽減とスムーズなシフトチェンジに貢献する。
車体も全面的に刷新された。新設計のスチールパイプ製ツインスパーフレームに軽量なアルミ製シートレールを組み合わせることで、剛性バランスの最適化と軽量化を追求。サスペンションは前後ともにKYB製を採用し、フロントには圧側・伸側の減衰力調整が可能な倒立フォーク、リヤにはフルアジャスタブルタイプのショックアブソーバーを装備。オフロード性能を重視するDR-Z4Sは前21インチ/後18インチのワイヤースポークホイールを採用し、ホイールトラベルは前280mm/後296mm。オンロードでの運動性能を高めたDR-Z4SMが前後17インチホイールにトラベル前260mm/後277mmとなっている。
エクステリアデザインも一新され、エッジの効いたシャープでアグレッシブなスタイリングへと進化。灯火類はフルLED化され、特にバイファンクション式のコンパクトなモノアイヘッドライトは、現代的で精悍なフロントフェイスを印象付ける。メーターには、軽量コンパクトなLCD(モノクロ液晶)ディスプレイが採用され、速度、ギヤポジション、燃費、各種モード設定など、豊富な情報をライダーに提供する。
デュアルパーパスモデル「DR-Z4S」は“Ready 4 Anything”をコンセプトに、オンロードからオフロードまでライダーが望むあらゆるシーンで楽しめるパフォーマンスを追求。一方、スーパーモトモデル「DR-Z4SM」は“YOUR STREETS. YOUR PLAYGROUND.”を掲げ、ストリートを意のままに楽しめる自由度と高い運動性能を発揮してくれる。
メカニズムの詳細などは下記リンクへ↓
400ccのDR-Zが帰ってきた! モトクロス競技の主導権を4ストロークが握り始めて間もない2000年、公道市販車として産声を上げたのは水冷398cc単気筒を搭載するハイスペックなデュアルパーパスモデ[…]
SUZUKI DR-Z4S / DR-Z4SM[2025 model]
※写真はモーターサイクルショーで展示された輸出仕様
DR-Z4S
DR-Z4SM
| 車名 | DR-Z4S | DR-Z4SM |
| 全長×全幅×全高 | 2270×885×1235mm | 2195×885×1190mm |
| 軸距 | 1495mm | 1465mm |
| 最低地上高 | 300mm | 260mm |
| シート高 | 920mm | 890mm |
| キャスター/トレール | 27.5°/109mm | 26.5°/95mm |
| 装備重量 | 151kg | 154kg |
| エンジン型式 | 水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ | ← |
| 総排気量 | 398cc | ← |
| 内径×行程 | 90.0×62.6mm | ← |
| 圧縮比 | 11.1:1 | ← |
| 最高出力 | 38ps/8000rpm | ← |
| 最大トルク | 3.77kg-m/6500rpm | ← |
| 始動方式 | セルフスターター | ← |
| 変速機 | 常時噛合式5段リターン | ← |
| 燃料タンク容量 | 8.7L | ← |
| タイヤサイズ前 | 80/90-21 | 120/70R17 |
| タイヤサイズ後 | 120/80-18 | 140/70R17 |
| ブレーキ前 | ディスク | ← |
| ブレーキ後 | ディスク | ← |
| 英国価格 | 7999ポンド | ← |
| 色 | 黄×白、灰 | 青、白 |
| 発売日 | 2025年9月以降 | 2025年9月以降 |
DR-Z4S / DR-Z4SM のディテール
水冷単気筒DOHC4バルブエンジンは、大部分のパーツをDR-Z400Sから再設計。最新排出ガス規制に適合しているほか、電子制御スロットル+FI、チタン吸気バルブ、中空排気バルブ、アシスト&スリッパークラッチなどの装備を奢る。
意外と異なる2車。フォークに対しオフセット量を調整することで、ホイールサイズと車両のキャラクターに合わせたトレール量に最適化。フロントフォークの圧側減衰アジャスターの位置も異なる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI] | 新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
400ccのDR-Zが帰ってきた! モトクロス競技の主導権を4ストロークが握り始めて間もない2000年、公道市販車として産声を上げたのは水冷398cc単気筒を搭載するハイスペックなデュアルパーパスモデ[…]
9/10発売:スズキ アドレス125 まずはスズキから、原付二種スクーターの定番「アドレス125」がフルモデルチェンジして登場だ。フレームを新設計して剛性を高めつつ軽量化を実現し、エンジンもカムシャフ[…]
正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4SM」を発[…]
前輪19インチの無印800は全色刷新、前輪21インチの800DEは一部刷新とホイール色変更 スズキ「Vストローム800」「Vストローム800DE」の2025年モデルが登場。前者の無印800は全カラーバ[…]
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI])
新色パールレッドだけでなくホワイトとブラックも色味新たに スズキは、原付二種スクーターの「アヴェニス125」をカラーチェンジ。2022年の発売以来、初めての変更を受けるアヴェニス125だが、ニューカラ[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦! ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。[…]
出展テーマは「By Your Side」 スズキは、2025 年10 月30 日から11 月9 日まで、東京ビッグサイトで開催されるJapan Mobility Show 2025 (ジャパンモビリテ[…]
前年モデルでTFTディスプレイを獲得した無印 北米スズキは、2005年型GSX-R1000(通称K5)由来の痛快な並列4気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド「GSX-S1000」およびスポーツツア[…]
人気記事ランキング(全体)
コンパクトで取り付けが簡単なスマートモニター タナックス(TANAX)の「スマートライドモニター AIO‑5 Play (SRS‑015)」は、本体サイズ78.8(H)×136.2(W)×26.8(D[…]
これぞCBだ! そう直感的に思えるライダーの視界 跨った瞬間に「CBだ!」と思えた。視界に入る燃料タンクの大きな面積や両腿の内側に感じる存在感、そして昔で言う“殿様乗り”が似合う大きくアップライトなラ[…]
X-ADVの兄弟車として欧州で販売される「フォルツァ750」 ホンダは欧州でフォルツァ750(FORZA 750)の2026年モデルを発表した。主要諸元に変更はなくカラーバリエーションの一部変更でイリ[…]
ヤマハ・ハンドリングのこだわりを400レプリカ路線へ融合! 1980年にRZ250をリリース、レプリカの時代に先鞭をつけたヤマハも、4ストのスポーツバイクXJ400系ではツーリングユースを前提とした、[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
最新の投稿記事(全体)
父とB+COM SB6XRで会話しながらプチツーリング すっかり秋模様。なんなら執筆している今日は、最高気温が15度。朝から冷え切っていて、冬気分です。 自宅近くを走っているスクーターの方を見て、「わ[…]
KATANAというバイク 一昨年のこと、キリンと同じ年齢になったことをキッカケにKATANA乗りになったYです。 ノーマルでも十分乗り易いKATANAですが、各部をカスタムすることで、よりカタナ(GS[…]
エンジニアもバイクに乗る、それがボッシュの面白さ ボッシュが二輪車向けABSを世に出してから今年で30周年を迎えた。ボッシュといえばドイツのメーカーだが、バイク部門の開発拠点が日本の横浜にあることはご[…]
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
純正アクセサリー『オーディオマイクキット』を期間限定セール 20%OFF バイク用インカムのカテゴリーにおいて、高性能・高品質な製品を展開する Cardo Systemsは、ヘルメットを複数所有してい[…]
- 1
- 2





































































