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中古車を選ぶ際、なかなか悩ましいのが何を持って完調の状態といえるかわからないこと。そこで役立つのが、劣化や不具合のない新車当時の試乗レビューだ。自分が中古車を試乗して、それぞれの個体の状態を確かめる際の参考にしてみて。※以下、2021年10月公開時の内容に基づく
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:岡拓 ●外部リンク:カワサキ
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー
全方位にスペックアップした2021年モデル
2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。
ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バルブスプリング、点火時期といったエンジン系はもちろん、マフラーの内部構造を含む吸排気系、サスペンションのリセッティング、フロントフォークアウターチューブ、アシスト&スリッパークラッチの装備、マッピング変更、クイックシフターのオプション設定、ギヤレシオの最適化などがそれだ。
これによって車重は1kg増の168kgになった一方、最高出力(38ps→41ps)、最大トルク、燃費のいずれもがアップするなど、ほぼ全方位的に機能が向上している。
シート高は790mmで、平均的な体格の成人男性なら足つき性は良好と言っていい。同クラスのモデルの中では最も前傾姿勢はキツく、ステップも後退しているが、車重の軽さと車体のスリムさのおかげでリッタークラスはもちろん、ミドルクラスのスーパースポーツとも比較にならない安楽さだ。
このクラスの中では最もきつい前傾姿勢を持つが、ハンドルの高さはヘソと同じ程度の位置にあり、街乗りでも苦痛はない。また、シート高は790mmで足つき性も良好だ。大柄なライダーだと窮屈に感じるのは、後退したステップの方だろう。(身長174cm/体重63kg)
パワーありきのハイスペックマシンとはいえ、静的な状態ではフレンドリーと表現しても差し支えなく、車体を発進させても印象は大きく変わらない。クラッチレバーの操作力は極めて軽く、向上したトルクのおかげもあってストップ&ゴーに緊張感はない。3パターン設定されているライディングモードのどれを選んでも、この領域のフィーリングは等しく扱いやすい。
そこから車速を上げ、回転数が4000rpm前後になると、エンジンはにわかに盛り上がりを見せる。スロットルレスポンスがグンとダイレクトになり、「パパンッ」と一発一発の爆発が弾けるように響く。いかにも圧縮比が高い(実際12.1ある)、チューニングエンジンっぽさが顔を覗かせ、結構テンションが上がる。
このフィーリングは9000rpmあたりまで続き、スロットルのON/OFFに対しておもしろいように車体が反応してくれる。街中でも高速道路でもワインディングでも多用する回転域ゆえ、そのレスポンスがそのまま加速力に反映。つまり、速い。
9000rpmを超えると一時振動が増すものの、そこまで回している時はかなりアグレッシブな心理状態になっているはずだ。そのため少々のガサツさは意識からかき消され、夢中になってスポーツライディングに浸っている自分に気づく。
もちろん、いくら250ccでもアッと言う間に非合法な速度域になってしまうわけだが、CBR250RRのトルクレスポンスはパワーが優先されがちなサーキットでも活きる。
国際レーシングコースでもミニサーキットでも、立ち上がり加速は常にライバルを圧倒。この点に関しては4気筒のニンジャZX-25Rでも到底かなわず、コーナーとコーナーをつなぐ区間を最短で駆け抜けていく。わかりやすい最高速ではなく、中間加速でゴン攻めにしてから抜き去ることができるため、乗り手の心は「やったった」感で満たされていく。
HONDA CBR250RR[2021 model]
言い換えると、のんびりとしたツーリングに重きを置くなら選択肢から外れる。かつての2ストロークエンジン的とは言わないが、既述のようにスロットルのON/OFFを求める特性のため、巡航を好むライダーにとっては落ち着かないからだ。
対極にあるのが低回転域に特化したスズキGSX250Rで、パワーとトルクがバランスしているのがヤマハYZF-R25とカワサキニンジャ250。そういう棲み分けの図式だ。
ホンダも開発過程でそれを見越していたのか、ライディングモードを介してレスポンスの強弱を切り換えることができる。モードには、Comfort/Sport/Sport+の3パターンが設定され、それぞれに応じてレスポンスと加速感が変化。最も過渡特性が緩く、タンデム走行やウェット路面に適しているのが、Comfortだ。
実際それはその通りではあるが、他メーカーの250ccスポーツと比較すると、それでもハツラツとしており、その素性を活かそうとすれば結局Sportがほとんどのシーンをカバー。Sport+はツキが良すぎる領域があり、場合によってはピーキーに感じられることもある。
本気度の高い足まわりはレーシングマシンの雰囲気も
CBR250RRで特徴的なのは、サスペンションのセッティングだ。大まかかに言えば、適正よりもハードなリアに対して、フロントは大きくストローク。特に1Gの沈み込み量は過大と表現してもいい。
簡易的ながら、タイヤを浮かした0G、そこから接地させた1G、ライダーがまたがった乗車1Gのストローク量を調べてみた。露出しているインナーパイプの長さを計測すると、0G=128mm/空車1G=90mm/乗車1G=68mmというもので、ほとんどなにもしていない状態にもかかわらず、姿勢は最初から前下がりになることがわかる。
CBR250RRがスポーツ走行ありき……というか、サーキット向けなのはこのあたりの仕様だ。というのも、フロントブレーキを軽く引きずりながらコーナーへ進入するような走りを実践すると、最初に沈んだ分を維持しつつ、さらに奥のストロークを狙って荷重を掛け続けることができる。結果的にそれが高い旋回力を生み、コンパクトなラインで車体の向きを変え、立ち上がりではトルクレスポンスをフルに活かして鋭く加速。そういうシークエンスを正確に繰り返すことができるのである。
ただし、不確定要素が多い公道ではそれが難しい。あまりサスペンションを働かせず、浅いバンク角で走らせているとハンドリングは安定しているが、中途半端に荷重させると初期のソフトな部分と奥のハードな部分の狭間で挙動が安定しない。結果、思いのほか曲がらなかったり、車体がフワフワと揺すられることがしばしばある。
勝手知ったるコーナーに思い切って飛び込んでいける状況なら高い旋回力を発揮する一方、おざなりな入力では反応が鈍い。排気量は小さくとも、600や1000といった兄貴分の血筋を隠せない本気度の高さが、このモデルのウリだ。
例えばそれは、フロントフォークのアウターチューブが延長されているところからも分かる。マイナーチェンジの時に施されたこの改良がなんのためかと言えば、突き出し量の変更によって、車体姿勢を作りやすくするためだ。ピンポイントなセッティングを可能にする機能パーツであり、CBR600RRにも同様の方法が採用されている。
レーシングマシンの雰囲気をストリートで味わえるという意味で、方向性は実に分かりやすく、割り切って作られているところが清々しい。スポーツライディングを高いレベルで学べるのは間違いなく、どうせならセッティングの変化が学べるよう、前後サスペンションがフルアジャスタブルだとベストだ。
スロットルをガンガン開けて、エキサイティングな時間を過ごしたい。そういうライダーには間違いなくオススメできるスモールスーパースポーツがCBR250RRである。
HONDA CBR250RR[2021 model]
ホンダCBR250RRの最新相場情報
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