
国内最大の水平対向エンジンを搭載し、グランドツアラーという一大ジャンルを切り開いたホンダ「ゴールドウイング」。1975年に初代となるGL1000が登場してから50周年を迎える今、その変遷を振り返りたい。2018年モデルでは、6度目のフルモデルチェンジを敢行。外観だけでなく、ダブルウィッシュボーンサスや7速DCTを採用し新次元の領域に進化した。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ホンダ『Gold Wing 50周年記念サイト』
名称も一新したフルモデルチェンジ
17年ぶりにフルモデルチェンジを実施した2018年モデルは、2018年4月2日発売。新たに「ゴールドウイング・ツアー」とトランクレスの「ゴールドウイング」の2種類をラインナップした。
従来F6Bと呼ばれていた、いわゆるバガータイプが無印のゴールドウイングとなり、これまでゴールドウイングと呼ばれてきたトップケース付きのモデルが、ゴールドウイング・ツアーとなった。エンジンは6速MTと7速DCTが用意されるが、トランクレスはMTのみとなる。
この撮影車両は最上級版のゴールドウイング・ツアーのDCT&エアバッグ装備車
HONDA GOLDWING[2018model]の主なアップデート内容
走りの魅力がさらに増した
6代目となるGL1800は、走りの魅力を徹底的に進化させることに主眼が置かれた。テレスコピックフォークに変わり、フロントにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したことで、サスのフリクションロスが軽減。さらにクッション性能とノーズダイブの低減による快適性の向上した。
また、ハンドルの回転軸とフロントフォークの回転軸が別なため、ハンドル位置のみをライダーに接近させることが可能に。操作性も向上していた。サスは減衰力のみ電子制御調整式でライディングモードと連動するようになった。
右はゴールドウイング/ツアー、左は同様のダブルウィッシュボーン構造のサスを採用しているBMWのKシリーズ。写真は2008年モデルのK1300で現行のK1600も基本構造はこれと同一。ハンドルとフォークの回転軸が同位置で大柄な車格だとライダーの乗車位置からハンドルが遠くなってしまうが、ゴールドウイング/ツアーは、ハンドル軸をだけをライダーに近づけることで解消した。またBMWのフォーク支持構造はハンドルの回転軸とストローク軸が同一でフリクションが大きく不安定になるが、ゴールドウイング/ツアーでは軸を分離した構造としている。
同じ1800でも4バルブユニカムを採用
従来型の国内仕様1832ccから1833ccに排気量が若干アップ。一方、動弁系はOHC2バルブ→4バルブとなっており、さらに7速DCT仕様の設定もあった。尚、6速MTにはクラッチが軽くなるアシストスリッパークラッチが追加された。
カム駆動はVFR1200Fなどと同じユニカムを採用。吸気はスロットル・バイ・ワイヤを採用し、トラクションコントロールも装備。さらにDCT仕様のみ、エンジン駆動による微速前後進できるウォーキングモードも用意していた。
7速DCTは第3世代と言われ、微速前後進することも可能。。アフリカツインの2.5世代仕様よりも進化している。
Apple CarPlayに初対応
電脳系は、まず走行に関する部分ではライディングモードの採用がトピックだった。スポーツ、ツーリング、レイン、エコノミーの4モードでDCT、トラコン、サス、ABSを統合制御。また、ブレーキ圧を操作して坂道発進でのエンストを抑止するヒルアシスト機能も装備したのも話題のひとつだった。
エンタメ系では、Apple CarPlayに対応しており、音声コマンドでナビやオーディオなどをシームレスに切り替え可能になった。
メーターはアナログ+フルカラー液晶を採用。スイッチ類も一気に現代的なものに進化。左ハンドルにはインフォテインメント用のホームボタンや電話発着信ボタンが配置されていた。
GL初の電動スクリーン&フルLED
フロントマスクは洗練された張りのあるデザインに進化した。徹底した空力マネジメントを図りながらエッジの効いた面構成としているだけでなく、スクリーンは上下と角度を無段階に調整できる電動式に変更された。ヘッドライトやリヤまわりの灯火類もLED化し、装備が現代的に。フルフェイスが収納可能なトップケースやパニアケースの開閉も、電気式となった。
ヘッドライトはジュエルアイと言われる、小粒のLEDが連続しているタイプ。ホンダの4輪でも多数採用されていたデザインだ。テールランプ&ウインカーは2011年モデルのデザインと近い路線といえた。
HONDA GOLDWING[2018model]主要諸元
HONDA GOLDWING Tour/Dual Clutch Transmission<AIR BUG>
主要諸元■全長2575 全幅925[905] 全高1430 軸距1695 シート高745(各mm) 車重379[383]kg(装備)■水冷4ストローク水平対向6気筒SOHC4バルブ 1833cc 126ps/5500rpm 17.3kg-m/4500rpm 燃料タンク容量21L■タイヤサイズF=130/70R18 R=200/55R16 ●価格:295万9200円~[331万5600円] ●色:赤、青、白[赤] ●発売日:2018年4月2日 ※[ ]内はDCT
【HONDA GOLDWING Tour Dual Clutch Transmission<AIR BUG>[2018 model]】キャンディアーダントレッド
【HONDA GOLDWING Tour[2018 model]】パールグレアホワイト
HONDA GOLDWING
主要諸元■全長2475 全幅925 全高1340 軸距1695 シート高745(各mm) 車重365kg(装備)■水冷4ストローク水平対向6気筒SOHC4バルブ 1833cc 126ps/5500rpm 17.3kg-m/4500rpm 燃料タンク容量21L■タイヤサイズF=130/70R18 R=200/55R16 ●価格:273万2400円 ●色:銀、茶、赤 ●発売日:2018年4月2日
【HONDA GOLDWING[2018 model]】キャンディアーダントレッド
HONDA GOLDWING最新相場情報
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | 新型スポーツ&ツーリング)
“快適”と“スポーツ”を電サスで無理なく両立!! 超絶的な防風性にAT機構のDCT、グリップヒーターやコンフォートシートなどの快適装備。長距離を走るツアラーとして“疲れにくさ”にトコトンこだわったNT[…]
以前、Honda E-Clutchを開発した方々にインタービューしたとき「最初はHonda E-Clutchなんていらないと思っていたけれど、一度乗ったら考えが変わった」という話をお聞きしました。 じ[…]
初代はスポーツモデル:GL1000【1975年モデル】 1970年代当時、巨大なアメリカ市場を独り占めしていた英国車をCB750フォアで一蹴したホンダだったが、Z1とそれに続く競合車の登場でシェアを奪[…]
専用ロゴがファン心をくすぐる 1975年に初代GL1000が誕生してから50年が経つホンダのプレミアムツアラー、ゴールドウイング。2018年のフルモデルチェンジでは、フロントにダブルウィッシュボーンサ[…]
圧倒的! これ以上の“高級感”を持つバイクは世界にも多くない 「ゴールドウィング」は、1975年に初代デビューし、2001年に最大排気量モデルとして登場。そして2025年、50年の月日を経てついに50[…]
最新の関連記事(ゴールドウイングツアー)
初代はスポーツモデル:GL1000【1975年モデル】 1970年代当時、巨大なアメリカ市場を独り占めしていた英国車をCB750フォアで一蹴したホンダだったが、Z1とそれに続く競合車の登場でシェアを奪[…]
専用ロゴがファン心をくすぐる 1975年に初代GL1000が誕生してから50年が経つホンダのプレミアムツアラー、ゴールドウイング。2018年のフルモデルチェンジでは、フロントにダブルウィッシュボーンサ[…]
圧倒的! これ以上の“高級感”を持つバイクは世界にも多くない 「ゴールドウィング」は、1975年に初代デビューし、2001年に最大排気量モデルとして登場。そして2025年、50年の月日を経てついに50[…]
特別色と専用ロゴなどを配した『50th ANNIVERSARY』 ホンダは、1833ccの水平対向6気筒エンジンを搭載する大型プレミアムツアラー「ゴールドウイング ツアー(GOLD WING TOUR[…]
EICMA初公開のコンセプトモデルから世界初公開の初代オマージュ仕様まで ホンダは、「第41回 大阪モーターサイクルショー2025」「第52回 東京モーターサイクルショー」「第4回 名古屋モーターサイ[…]
人気記事ランキング(全体)
使い方は「水を含ませる」だけ。走行風を味方につける冷却アイテム 今回紹介するデイトナの「DI-015 ウェットクールベスト」は、水と走行風を利用した気化熱式のクールベストだ。使い方はシンプルで、ただベ[…]
並列4気筒と2気筒で基本設計/生産設備を共有 ’74年初頭からスタートしたスズキの4ストプロジェクトは、次世代の旗艦として、カワサキZを凌駕する大排気量並列4気筒車と、その車両と基本設計/生産設備を共[…]
三層一体構造で愛車を徹底ガード 「ウェザーシールド フリースガード」は三層構造になっていて、外側層の300デニール防水オックスフォード/中間層のTPUフィルム/内側層のフリースライニングを一体化した贅[…]
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
二見エリアはツーリングライダーを惹きつける場所の宝庫 二見の地に足を踏み入れれば、まず目に飛び込むのは、夫婦岩を模したユニークなJR二見浦駅舎だ。そこから二見興玉神社へと続く「夫婦岩表参道」、通称「旅[…]
最新の投稿記事(全体)
厳しい残暑、コストを抑えつつ対策したい 暦の上では秋が近づくお盆明け。しかし、天気予報によれば2025年の夏はまだ終わらず、厳しい残暑が続くという。 まだまだ続く汗との戦いには、高機能な冷感インナーが[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
XL750 TRANSALP:実物を見て気に入りました XL750トランザルプオーナーのヨッチンさんは、現在44歳のアドベンチャーライダー。 バイクに乗り始めたのは20歳で、長いこと古い英車に乗ってい[…]
コストダウンも意識した大胆なテコ入れ テコ入れを辞書で調べると、"期待した通りに進んでいない物事、停滞している状況を、外部からの刺激や援助で打開しようとする取り組みを意味する表現"とある。そしてこの言[…]
ワンタッチで取り付け可能な便利設計 「FDH-1」は、強力なバネの力でペットボトルをしっかりホールドし、片手でワンタッチ脱着が可能なバイク用ドリンクホルダーです。600mlまでのペットボトルに対応し、[…]
- 1
- 2